| がノルンの調整を行っていると外からメカニックの声が聞こえる。 まだ実戦というのが信じられないという。 そして、まさかこのまままた戦争になるということにはならないと良いがと不安そうにも言っている。 はコックピットの中で溜息を吐いた。 これが、約2年の間で得た平和というものの副産物か、と。 確かに、がクルーゼ隊に配属になって暫くはプラントで実戦演習のようなものを何回か経験した。 メカニックはその間どうだったかまでは聞いていないが、似たようなものだろう。 そして、現在も似たようなもののはずだ。 彼らがこの間に配属されて即日戦闘ということではなかった。 だから、それなりにプログラム訓練を受けただろうしその演習も行っていたはずだ。 それなのに、実戦が信じられないといっている。 「その方が、信じられないなぁ」は呟き、ノルンのコックピットを後にした。 『・、至急ブリッジに出頭してください』 不意に呼び出された。 何だろう、と首を傾げつつもすぐさまブリッジに向かう。 「・。出頭いたしました」 敬礼をしてブリッジに着くと副艦長が居た。 「ああ、艦長からの伝言だ。現在、士官室でお休みいただいているオーブの代表に現状を説明しているため、それに加わるようにとの事だ。お待たせするのは悪いといって先に出て行かれたからすぐに向かってくれ」 は了解して教えられた士官室へと向かった。 ちょうど艦長が出てきた。 「遅くなりました。もう、よろしいのでしょうか」 物凄く疲れた顔をしている艦長に向かってが声を掛ける。 「いいえ、ちょうど良かったわ。議長が、代表にこの艦内を案内すると仰っているから、あなたが同行して」 「艦内を、ですか?」 が思わず聞きかえす。 「ええ、そうよ。議長たちは中にいらっしゃるから」 そう言ってグラディスはブリッジへと向かっていった。 「失礼します」 が入ると議長は立ち上がった。 「やあ、君が案内を手伝ってくれるのか。助かるよ」 何が助かるのやら、と思いつつ敬礼を向ける。 「こちらは、オーブの代表の」 議長が紹介をしようとしたところで 「いや、もう顔は合わせている。先ほど、ドックで会った」 とカガリが制した。 はカガリとアスランに敬礼を向ける。 「この艦内をご案内すると伺いました」 の言葉に議長は頷き、カガリたちを促した。 「どちらにご案内すれば..」とが問うと、「艦の中心部だよ」と議長が返す。 艦の中心といえばMSデッキだ。あのインパルスの全てが収められている。 「了解したしました。こちらへ」とはカガリたちを促した。 暫く艦内を歩いてエレベータの前で立ち止まる。 ボタンを押して「こちらから、MSデッキへと上がります」と説明した。 さすがにアスランは驚いた表情を見せ、を見る。 あえてその視線は無視してはエレベータに乗り、アスランも慌ててエレベータに乗り込んだ。 エレベータが開くとそこはMSデッキで、ザクが多く整備されている最中だ。 そんな中、アスランは先ほども見た、懐かしい白銀色の機体を目にする。 少し装甲が変わったようでシルエットが違うが、間違いなく、あれはの機体、ノルンだ。 「あちらの白銀色の機体は、先の戦争でも活躍したこの世に二つとない機体、ノルンです。パイロットは、この・。姫も、先の大戦時にご覧になったことがあると思います」 「...ああ」と少し目を伏せてカガリが頷く。 そして、議長がミネルバ最大の特徴である発進システムを使うインパルスの説明を行う。 その説明を聞いてカガリの表情は益々曇る。 「争いがなくならぬから、力が必要だと仰ったな」とカガリが議長に鋭い視線を向ける。 へー、そんな事を言ったんだと思いながらもは視線でアスランに訴える。ちょっと黙らせたほうがいいと思う、と。 彼もの視線が何を訴えているのか分かっているが、強くは止められない。 尚も言葉を重ねるカガリには吐きたい溜息を懸命に飲んだ。 そんな中、「さすが、キレイ事はアスハのお家芸だな」という声が聞こえた。 が視線を落とす。 「シン!」と傍にいたレイがシンを窘める。 憎しみに満ちた視線を受けたカガリは怯む。 は今度こそ溜息を吐いた。 「申し訳ありません、議長。この処分は後ほど」 シンを止めに入っていたレイがそう声をかけてきてパイロット控え室に向かった。敵艦を細くしたとアナウンスがあったからだ。 「申し訳ありません。私も失礼いたします」 も声を掛けてパイロットスーツに着替えるべくその場を後にした。 一度振り返るとアスランと目が合う。呆然とを見送る彼にカガリを指差して見せた。 議長が彼女に声を掛けており、何かショックを受けている様子だ。 「そういえば、シンはオーブ出身とか言ってたな」 は呟き、その場を後にした。 |
桜風
08.12.22
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