| 「!」 周囲の警戒を命じられたが少し遅れて帰艦したら、待っていたかのようにシンとルナマリアメイリンが居た。レイは何だかつき合わされている様子だ。 「何?」 「ねえ、アスラン・ザラなの?」 「主語を言ってね。会話の基本よ」 呆れながら更衣室へと向かう。 「ねえ、だから。あの随行員をやっていた人よ」 「アレックス・ディノって名乗ってたでしょ?だったら、そうなんじゃないの?」 「でも、議長が...」 メイリンが言う。 そういえば、艦長も『アスラン』と言っていた。 彼のことを知っていると思うが、それでも、ここで彼の本名を出すなんて相当あせっているのかと思ったのを思い出す。 「そうなの」と適当に相槌を打ちながらはレストルームに向かった。 ドリンクを飲んだらまたノルンの調整でもしよう。 「でも、本当に名前まで変えなきゃなんないものなの?」 メイリンが姉のルナマリアに聞く。 「さあ?どうなのかしらね」 白を切っているにルナマリアが挑発的に話を振った。 「今の、『・』って、本名じゃないんだけど、私。それに、同姓同名じゃないの?」 まだ白を切るのか、とルナマリアはを睨みながら歩く。 「でも、あの人。前は...」とメイリンが食い下がるが「何言ってんのよ、あんたは」と呆れた風にルナマリアが応えた。 そんな会話をしながらレストルームに入ると今ちょうど噂に上っていたその人物がソファに座っていたため、メイリンは慌ててレイの背後に隠れる。 本当に、タイミングが悪いな、と思いながらは気にせずに自動販売機のほうへと向かった。 「へー、丁度あなたの話をしていたところでした。アスラン・ザラ」 ルナマリアがアスランに近づく。 アスランは不思議そうにを見上げた。 私、しーらないという表情でアスランの前を素通りし、はドリンクを購入して「じゃ、私は戻るから」と皆に声を掛けて部屋を後にしようとする。 が、ルナマリアに腕をつかまれてそれを阻まれた。 諦めたようには天を仰ぐ。 そんなを気にせずにルナマリアがアスランに近づく。 「まさかというか、やっぱりというか。伝説のエースにこんなところでお会いできるなんて、光栄です」 「そんなものじゃない。オレはアレックスだよ。それより、今君が腕を掴んでいる彼女こそ、伝説の英雄だろう。・って紹介された」 「だからもう、あなたはMSには乗らない?同じ伝説の彼女が乗っているのに」 「ルナマリア。もういい加減になさい」 が少し口調を鋭くして窘める。 「そうだよ、ルナマリア」との意見に賛成したのはシンだった。 が、彼の心中はとは違ったものだ。 「オーブなんかにいるやつに。...何も分かってないんだから」 そう言ってシンが去っていき、レイも「失礼します」と踵を返す。 「でも、船の危機は救ってくださったようで。感謝します」と敬礼をしてルナマリアも部屋を後にし、メイリンが慌てて彼女の後を追った。 「...ま、この船。落とされるわけにも行かなかったしね。仕方ないよ。思わずって言ったところでしょう?」 ドリンクをもう1本購入してアスランに渡した。 「...ありがとう」 「カガリ様は?一人にして大丈夫?」 の言葉にアスランは情けない笑顔を向ける。 「オレが、一人になりたかったんだ」 「それは失礼」 はそう言ってレストルームを後にしようとした。 「」とアスランが声を掛ける。 「何?」 「彼は...」 アスランの指す『彼』が誰か暫く考えて「シン?」と聞き返す。 「ああ、彼は、オーブ出身だと。それなのに、何故?」 「オーブ出身の彼が何故、ザフトに身を置いているのか。それが分かったら合点もいくと思う。けど、私は彼の考えに同調して同情は出来ないけどね」 寂しそうに笑ったにアスランはもう言葉を掛けることができず、そのまま俯く。 「人の考えって言うのはそれぞれでしょう?皆が皆、同じというわけには行かないの。知ってるでしょう、アスランは。最も近しい存在のはずの家族でも考え方に違いが出るって事。難しいのよ」 はそう言ってアスランに背を向けた。 「あまり思い悩むと禿げるわよ」 が笑いながらそう言ってレストルームを後にした。 「ほっとけ」とアスランは呟き、からもらったドリンクを口にした。 |
桜風
09.12.29
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