Like a fairy tale 24





はミネルバから遠い場所を選んでメテオブレイカーを設置した。

近すぎれば意味がない、しかし、遠すぎてもそのメテオブレイカーで破砕できるか微妙であるため、タンホイザーの出力から考えてその場所を選んだ。

アスランたちは無事に帰投しただろうか。

そう思いながら周囲を見渡すとアスランの乗っていたザクが見えた。

機体が破損している。

「それだと、温度上昇、早いでしょう...?」

は呟き、エンジンの出力を上げてアスランの前に回りこむ。

少しでも彼の受ける空気抵抗を抑えるためだ。

「だから、早く帰りなさいって言ったでしょ」

通信を送ると

、危険だぞ。この機体は爆破する可能性もある」

と心配される。大仰に溜息を吐いてやった。

「そうなったら逃げるから安心して。姿勢制御、それに気をつけて。ミネルバの位置は一応計算しているから大気圏を突破してから一緒に探しましょ」

ユニウスセブンの破砕は成功した。

だが、その破片は次々と地球へ落下している。大気圏で消えるものもあるが、それを突破するくらいの大きさものも多数あり、それによる地球側の影響は無視できない。



大気圏を突破したところで後方から機体が近づく。

はアスランの大破したザクを抱えているため、敵機だとちょっと大変だなと思っていた。

、手を離せ。今のノルンのエンジンでは2機分の落下エネルギーは支えきれないはずだ」

「黙ってなさい。アスランの恥ずかしい過去をオーブの代表にないことないこと言いふらすわよ」

はそう言って警戒を強めた。

だが、その機体はインパルスだ。

「ああ、近くに居てくれて良かったわ。2つも探すのって手間でしょ?」

の通信にシンはムッとした表情を浮かべる。

「手間って何だよ」

「言葉のとおり。さ、ミネルバ探そうね。ユニウスセブンの落下の影響で色々使えないけど、幸い、こちらのカメラは生きているでしょ?自分の目で探そう」

そう言っては周囲の状況を確認し始めた。

しかし、少しずつノルンの高度が落ちている。

先ほどの大気圏突入の影響でスラスターが壊れていた。

ノルンだけの飛行ならともかく、ザクを抱えているとどうしても力が追いつかない。

「半分持ちます」

シンの申し出には「助かった」と声を出す。

しかし、

「シン、いい。インパルスのスラスターでもこの機体を支えるのは危険だ。も」

とアスランが叫ぶ。

「どうしてあなたは、いつもそんなことばかり言うんですか」

不満そうに言うシンに

「じゃあ、何を言えばいいんだ」

と少し表情を和らげてアスランが問う。

「『オレを助けろ、このやろう』とか」

言葉を捜した挙句出たセリフがそれで、「その方が良いのか」とアスランは苦笑混じりに聞いてみる。

「いいえ、ただの例えです」とシンが憮然と返した途端、「アスランの恥ずかしい過去ぉー!」とが叫んだ。

突然のの言葉に意味が分からないシンは「はぁ!?」と返し、アスランは「な、ちょっと待て!」と止めていた。




大気圏内での移動が可能になったミネルバでは行方不明になった3機の捜索を命じる。

「彼らも無事に降下している、と?」

副艦長が聞く。

「平気でタンホイザーを撃っておいて、何を今更と思うかもしれないけれど。信じたいわ」

静かに艦長が応えた。

暫くしてセンサーに反応がある。

光学映像を出せば、ザクを抱えたインパルスとノルンが居た。

ブリッジは俄かにざわめく。

発光信号でミネルバの位置を知らせ、艦を寄せる。

ミネルバからの信号を見つけたシンは「!」と嬉しそうな声を出していた。


ドックに入り、ノルンを降りる。

アスランもザクから降りてきた。怪我はしていないようだ。同じく、シンにも怪我などの形跡は見られない。

「アスラーン!」とカガリが駆けてくる。

がドックを後にしようと歩き出したところで、衝撃がある。

おそらく、地球を一周してきた最初の落下の衝撃波だろう。

バランスを崩しかけたは何とか持ち直した。

振り返ると暗い表情を浮かべるアスランが俯いている。

はヘルメットを投げた。

アスランは慌ててそれを受け取る

「何をする!危ないじゃないか!!」

抗議をしたのはアスランではなく、カガリだった。

「馬鹿みたいに考え込んでるから。今更、よ。振り回されるだけ馬鹿らしいわ」

はそう言ってドックを後にした。

カガリが心配そうにアスランを見上げ、アスランは彼女を安心させるように微笑んだ。

暫くして着水の警告が艦内に流れる。

帰投してからまだ戦闘配備が解除されていないため、着替えられないはそのままパイロット控え室につめていた。

警報が解除され、そのまま戦闘配備も解除された。

は自室に戻り、シャワーを浴びる。

やはり、無重力の生活に慣れていたところで重力の生活にいきなり放り込まれると体が重い。

「...そういえば、着水って初めてか」

前回地球に降下したときは砂漠の中に降りることが出来たため、そういう経験はない。

海上ってのもあまりない。補給のために浮上した潜水艦くらいだ。

「トビウオ、居るかな?」

ニコルがはしゃいでいたことも思い出す。

シャワーを浴び終わったら眠ってしまおう。

ああ、ブローして寝ないとイザークに怒られる...

既に意識を手放しかけているは思いとは裏腹に、シャワーを浴び終わってそのままベッドにダイブした。









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桜風
09.1.26


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