Like a fairy tale 27





が運転をしてその助手席にナタル。後部座席に付き添いの、アーノルド・ノイマンという男性が乗ることになった。

「ノイマンさんは、いつでもナタルさん守れるところに座っておいてくださいね」

というの言葉に驚いた表情を見せる。

「私がナタルさんをどうこうするつもりはありませんが、何かに巻き込まれたとき、私はきっと咄嗟にナタルさんを守るよりも何かを起こした人物を抑えるほうに走ると思いますから」

の言葉にノイマンが頷いた。


車を走らせてすぐにナタルのほうから話を切り出した。

「ドミニオンに所属していたガンダムのパイロットのことを聞きたいのでしたね」

「ええ。勿論、無理にとは言いません。マリューさんから貴女が軍人家系の出身だということも伺っています。だから、そういう情報を話すのに普通の兵以上に抵抗があると思いますので」

の言葉にナタルは苦笑した。

「いいや、貴女には命を助けてもらった。だから、その恩返しくらいはと思っています」

がチラリと隣に乗るナタルを見た。

「そういうつもりでお助けしたのでもなければ、お話を伺いたいと言っているのではないのですが...」

「ああ、すみません。私も、そういうつもりで言っているわけではないのです。気分を害されたのなら、謝ります」

「いえ」とはそれに応えた。

「実は、本当のところ彼らの情報はないのです」

「どういう...?」

ナタルの言葉には続きを促す。

「私も、彼らの経歴が気になったので調べたことがあるのですが。彼らは経歴を消されていて、生体CPUという扱いでした」

「彼ら自身が兵器ということですか?」

「そう位置づけられていました。彼らは、アズラエルが連れてきたと聞いています。そして、ドミニオンにもご存知のとおり彼が同乗しておりましたし、大抵パイロットたちにの傍には研究者らしき人物たちがいました」

は少し考え込む。

経歴を消すだけならまあ、分からないでもない。が、生体CPU...?

「彼らは、その。命令どおりに働くパイロットだったのですか?」

「いいえ。むしろ、自由というか統率は取れていなかったと思います。どこか、アズラエルのことを恐れていた感はありましたが...」

「名前を、伺っても良いですか?」

「レイダーのパイロットが、クロト・ブエル。カラミティがオルガ・サブナック。そして、フォビドゥンがシャニ・アンドラスです。彼らについての情報は私自身もこれくらいしかもっていません」

ナタルの言葉には礼を言う。

「じゃあ、今度はもっと気軽な話題にしましょう。というわけで、どこかお勧めのカフェはありますか?」

突然の話題転換にナタルは目を丸くした。

しかし、意外にも早くの言葉に反応する。

「では、次の信号を右に」

「了解」

笑いながらはウィンカーを点灯した。



暫く車を走らせてナタルのナビでやってきたのは小高い丘の上にあるカフェだった。

「中々の絶景ですね。よくいらっしゃるんですか?」

「時々、ですよ。私一人では中々出歩かせてもらえないから」

そう言ってノイマンを見上げていた。

は小さく笑ってドアを開けてナタルを待った。

席に案内されて3人は注文をする。

注文したものがそれぞれの前に置かれた。

「そういえば、ナタルさんはフレイをご存知ですか?同じ船に乗っていたと思いますけど」

の言葉にナタルが驚いた。今日一番の驚きだ。

「彼女を、知っているのか?!」

思わずそんな口調で聞いてしまう。

「ええ、今はプラントに居ますから」

「それは、聞いた。理由は分からないが、プラントに残ったと。連絡は取れないのか?」

「取れるとは、思いますけど。ただ、私は今ザフトなので中々外とは連絡が取れないんですよね。検閲されちゃいます。それに、今回のユニウスセブンの落下の件がありますから、また世界情勢は不安定になると思います。すぐに連絡を取ることは、きっと不可能ですね」

の言葉に彼女は目に見えて落胆した。

「彼女は、元気ですよ」

の言葉にナタルは顔を上げる。

「私の知り合いの養子になっています。本当は彼女は新しい地で一人で生きていこうと思っていたようなのですけど。さすがにあの戦争の後でナチュラルの彼女が一人でプラントで生活するのは難しいだろうって。だから、後見人が居たほうがいいだろうって事で。今は、フレイ・アルスター・ホーキンスって名前です」

「“アルスター”?」

彼女の名前についている単語が気になった。

「捨てる必要はないだろうって。今の彼女の養父が言ったんです。戦後のどさくさに紛れての養子縁組でしたので多少変なことをしていても見落とされているようですよ。まあ、普段は“フレイ・ホーキンス”と名乗っていますけどね」

「そうか」と安心したようにナタルは微笑んだ。

「今度私が本国に帰ることができて、フレイに会ったら連絡するように言ってみます。モルゲンレーテのベルネスさんもご存知なのでしょう、彼女のこと。だったら、ベルネスさんに連絡を取ってからという形も作れます」

の言葉にナタルは「ありがとう」と頭を下げた。


「ご馳走させてくださいね」とが言うとナタルとノイマンが断ったが、それを言いくるめてが持つことになった。

そして、ナタルたちのエレカを置いている駐車場まで送り届ける。

ふと通った海岸線は見たことのある風景だったため、が思わず声を漏らした。

「ああ、綺麗でしょう」

ナタルが外の風景を見て言う。

「ええ。実は私、前にオーブに来たことがあるんです」

の言葉にノイマンが反応した。

「いつです?」

「アークエンジェルが此処に隠れていたとき、ですね」

その言葉に2人は絶句した。

「絶対にこの国に居るって主張した隊員がいて。じゃあ、まあ。潜入しますかってなったんですけど。守りが堅くて結局捜索は断念したんです」

「けど、待ち伏せていたじゃないか」

少し責めるようにナタルが言った。

「キラ・ヤマト氏とうちの隊長が幼馴染だったんです。偶然、彼を目にしたので、隊長の独断で待ち伏せって流れになったんですよ」

「...あの時は生きた心地がしなかったぞ」

ナタルの言葉に「同じく」とは返して2人は笑った。

こうして数年前の戦争を笑って話せる相手が居るとは...

正直、軍人家系だというのを聞いていたのでもっと堅いのかと思っていた。

それを話せば、「私は、もう軍人家系の人間ではないからな」とナタルは苦笑をしていた。


ナタルたちを送り届けては帰艦する。

帰るとルナマリアがご立腹で仁王立ちしていた。

ショッピングに誘った時は断ったくせに!と。

「以後、気をつけると思うわ」

はそう応えて逃げるように自室に帰っていった。









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桜風
09.2.2


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