| 「ま、事情を知っている誰かが仕組んだって事だよな」 エレベーターで階下に降りているところでディアッカが口を開いた。 その人物に思い至ったアスランは微かに頬を緩める。 ホールに着いてエレベータを降りた。 「それで。どこに行きたいんだよ」 というディアッカの言葉に続いて 「これで買い物とか言ったら俺は許さんからな」 とイザークが言った。 彼の不機嫌はもう直ることはなさそうだ。 「そんなんじゃないよ」とアスランが否定をする。彼は、墓参りに行きたいと言った。 イザークとディアッカの足が止まる。 「あまり来られないからな、プラントには。だから、行っておきたいと思っただけなんだ」 振り返ってアスランがそう言った。 そして再び歩き出す。 「ヘイヘイ。兄ちゃんたちどこ行くんだい」 「ちょっと。何ですか、それ」 聞き覚えのある声に3人の足が止まった。 振り返るとオレンジの髪のラスティと緑色の髪をしたニコルが立ち上がる。共に仕事中なのか、スーツ姿だ。 「イザーク、は元気?」 「一言目からそれってどうよ、お前」 ラスティにディアッカが苦笑して片手を挙げた。 「お久しぶりです、アスラン」 駆け寄ってきたニコルは随分背が伸びていた。今は、眼鏡を掛けている。 「あ、ああ。久しぶり。元気そうだな」 呆然とアスランは返した。 まさか、彼らにも会えるとは思ってもいなかった。 「議長がな。情報横流し。いいのかねぇ、教えても。て思ったよ、オレ」 と軽い調子でラスティが言う。 「けど、お陰でアスランに会うことが出来ましたよ」 とニコルが返した。 「ま、そうだけど。だったらやっぱり此処にが居ないことが残念だよな...」 肩を竦めてラスティが言う。 「は、元気ですか?復隊したって聞きました。今は、イザークたちとは一緒じゃないんですか?」 「は、ミネルバだ。あいつはまたMSで単独降下したんだ」 イザークの言葉にニコルが目を丸くする。 ミネルバのことはニュースで見た。あのユニウスセブンの地球落下を防ぐために一緒に地球に降下したと。しかも、はMSで単独降下...?! 「また、地球に降りたんですか。じゃあ、当分会えませんね。あ、単独降下って言いましたよね?怪我とかはなかったんですか?」 ニコルが心配そうな表情を浮かべてイザークに詰め寄ると 「元気だったよ。どこにも怪我はしていない。昔と変わっていないよ、彼女は」 とアスランがイザークの代わりに応えた。 「そっか。それは安心だな。けど、当分地球のカーペンタリアかな。開戦、しちゃったし」 ラスティが呟く。 「...んで、お前たちはこれから何か予定とか入ってんの?時間有るなら一緒にどうよ」 このちょっと重い空気を何とか払拭しようとディアッカが話を変えた。 ちょうどそのとき、ラスティの携帯が鳴る。 「悪い」と言って彼はそれに出た。 「ラスティ、この間正式に後継だってお披露目されたんですよ」 こっそりとニコルが言う。 「後継...?」 アスランが首を捻った。 「まだ早いんじゃないのか」とイザークがいい、「へー、面白いじゃん」とディアッカが続く。 「ラスティのお父さんの会社、最近経済界で注目されているらしいんですよ。ラスティも経済が面白いって言ってますし、僕は向いているとは思うんですけどね」 ニコルの言葉にアスランが目を丸くした。 ラスティの実家の話は何度か聞いたことはあるが、まさか、といった感じだ。 「はいはい。向かってるって。んー、じゃ」 そう言ってラスティが通話をきる。 「どうしたんですか」 「んー、もう時間ないなって。会合があるから、今からダッシュしたらギリ間に合うってところなんだ。悪いな、付き合えないわ」 そう言って手を合わせて片目を瞑った。 「忙しそうじゃん。今、ニコルから聞いたけど。正式に後継だって?」 「まあねー。には社長婦人になりたかったらいつでも声を掛けてくれって言ってるのに、中々声を掛けてくれないんだよなー。いい加減、旦那に愛想を尽かすころだと思ってるのに」 「バカかお前は。いい加減諦めろ」 イザークが呆れたように言った。 「んじゃ、ニコルは?」 ディアッカが言う。さっきの『時間があるなら〜』ってやつだ。 「ごめんなさい、僕もこれから打ち合わせがあるので。ラスティはどこですか?」 「オレはステーションに行って、そこから移動」 「じゃあ、僕が送りますよ。僕はまだもう少しだけ時間には余裕がありますから」 2人のそんな会話を聞きながらイザークたち3人は顔を見合わせた。 進んでいる道が違うというのを計らずも確認することになった。 「悪いな、ホント。また、今度飯でも行こうぜ。によろしくな!」 ラスティがそう言って腕時計を見て時間を確認する。 「じゃあ、また。今度はゆっくり話が出来るといいですね」 そう言ってニコルも荷物を持って慌しくホテルを後にしていった。 「えーと。ニコルのことは、アスランも知ってるよな」 一応、補足的に説明が要るだろうかとディアッカが声を掛ける。 「ああ。数は少ないけど、オーブでもニコルの演奏しているピアノのディスクは販売されていたから一応な」 アスランの言葉にディアッカは口笛を吹いた。 さすが、ニコルと言ったところか。 「おい、何をぼさっとしている。行くぞ」 イザークが促して歩き出し、2人はそれに続いた。 |
桜風
09.2.9
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