Like a fairy tale 14





休日が終わってアカデミーでの毎日が始まる。

本日は屋外演習場での実践訓練だ。

内容はまだ明かされていない。

「何だろうな」

隣を歩くラスティが声を掛けてくるが、は肩を竦めるだけだった。



演習場に着くと数人の教官がいた。


本日の演習はどうやら模擬戦らしい。

パイロットクラス全員が敵となって白兵戦をするというものだ。

潜入工作をすることがあるかもしれない。その時のための訓練だという。必ずしも複数で行動できるとは限らないため、今回は個人での行動となる。

プロテクターと銃とその予備の弾倉、ナイフ、そしてゴーグルが全員に渡る。

プロテクターはパイロットスーツとあまり変わらないが、急所だけは特に防護されるようになっているものだ。そして、このゴーグルはプロテクターが受けた衝撃によって致命傷だと判断されれば真っ暗になって周囲が見えなくなるものだという。

つまり、ゴーグルをつけている人間だけが生存者と判断できるのだ。

銃弾はペイント弾。勿論当たれば悶絶する程度には痛いらしい。ナイフは刃を潰しているが同じく痛い。

演習場にはカメラが設置してあって生徒たちの様子はモニタに映り、戦闘不能となった生徒は現在居る場所に戻ってくることとなっている。

「つまり、バトルロイヤルか」

ディアッカが呟くと教官が肯定した。


10分後に演習は開始される。

開始と終了の合図には煙火が打ち上げられることになっている。

銃の中の弾数を確認しながらは演習場の奥へと向かう。

演習場はフェンスに囲まれており、大まかに分けて3つのエリアがあるようだ。林のように木々が茂っているエリア、街中のように建物が整備されているエリア、そして、その建物を崩したような瓦礫が広がっているエリア。

それぞれはさほど広くはないが、その特性にあった動きをしなければならない。

開始までの10分、その地形を頭に入れながら歩く。

自身の時計も教官言った時刻の合わせているので大体の目安は付く。

は瓦礫のエリアに身を潜めることにした。


『パンッ』という音と共に煙火が上がった。

それから銃声が響く。

気配が近付いてくる、はその背後に回るべく、移動をして瓦礫の影からクラスメイトの背後から心臓に銃弾を一発当てる。

そしてそのまま静かに場所を変えた。




30分経てばクラスの半分以上が最初の集合場所に戻って来ている。

「やはり、トップテンはまだ全員残っているな」

数あるモニタで生存者を確認しながら教官が呟く。



街中のエリアにやって来ては『敵』を見つけた。

ラスティだ。

しかしその一方でさっきから自分の背後について来ている人物もある。

さて、どうしたものか...しかたない、行くか。

は飛び出してラスティに向かって駆ける。

気付くのが遅かったラスティはに銃を向けるが、そのときには眉間に壮絶な痛みを受けていた。

はそのままラスティの傍に行き、彼のナイフを拾って振り向きざまに投げる。

を狙って追って来ていた人物は咄嗟に銃を持っている利き手でそれを叩き落し、その隙には引き金を引き、彼の心臓にペイント弾が直撃した。

ラスティの拳銃も回収しては身を潜める。

「後で文句を言われるな...」

は小さく呟いた。



額を押さえながらラスティは集合場所に着いた。

「お、お仲間〜」

そう言って仲の良いメンバーの元へと足を向ける。

「よー、結構粘ったじゃん」

そう言ったのディアッカ。その隣にはニコルも居た。

「誰?」

。もうホントど真ん中。プロテクター越しでももの凄く痛いの」

まだ痛むそこを擦りながらラスティは答える。

「そっちは?」と聞いてきたディアッカに聞けば「イザーク」という返事があった。

「しかもナイフ。ナイフも結構いてぇよ」

とディアッカは苦笑いを浮かべる。

ニコルを見れば、

「ラスティと同じくです。僕は林の中で銃を持って背後から近づいたんですけどは気付いていたらしくて。を見失ったと思ったら上から降りてきてそのまま心臓に...何だか気持ちのいい話じゃないですよね。そのあと、ナイフを奪われましたけど」

「オレ拳銃」

「今のところ、倒した数だとがトップだな」

ラスティたちの傍に居た教官が教えてくれる。

「後何人ですか?」

「3人だ。ザラととジュールだ」

それは見ものだ、とラスティとディアッカは教官の見ているモニタを覗き込む。いいのかな、と遠慮がちにニコルもそれに倣った。

「イザーク何処?」

「林。アスランが..瓦礫で、も林だな」

へえ、とディアッカは楽しそうに笑う。

だったら、まずはVSイザークだろう。




随分と人の気配が薄くなっている。

時計を見れば2時間を越えていた。

「後何人だろう...」

は呟き、気配を探る。

かすかに、土を踏みしめる音が聞こえる。注意深く足を進めていき、その足音に近づくと銀色の光が見えた。

「イザークか...」

ちょっと色々とやりづらい。

イザークの実力を鑑みてもちろんの事、自分の精神的なことでもそう思ってしまう。

深呼吸を3回繰り返しては気配を殺してイザークに近付いていった。

イザークも何となく周囲に誰か居る気配を感じていた。

移動しているのか?

先程よりもさらに注意深く耳を澄まして神経も研ぎ澄ます。

かすかに土を踏みしめる音がきこえる。その方角から死角になるように移動した。

気付かれた...?


はひとまずイザークから距離をとることにした。

自分の装備品の確認をする。

は頷いて先程よりは幾分慎重さを捨ててイザークに向かっていった。








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桜風
08.1.1


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