Like a fairy tale 38





艦長室を後にして、自室に荷物を置いたアスランはドックへと向かった。

セイバーの細かい調整を行うためコックピットへと上がろうとしていた。

が、傍にいたルナマリアに「無視しないでください」といわれて彼女が一緒に上がってきた。

セイバーのコックピット内で調整を行っていても彼女が色々と聞いてくる。終いにはコックピットの中に体を乗り入れて話しかけてくるため彼女にコックピットに座ることを許可してアスランは外に出た。

シンの姿を見つける。ルナマリアの言葉に生返事を向けながらアスランはシンの姿を眺めた。

彼の向けてくる言葉はいくつもアスランの頭に残って消えないで居た。

そして、先ほど艦長が心配していた人物の姿も目にする。

「おい、あまり弄るなよ」

とコックピット内に居るルナマリアに声を掛けてアスランは降りていった。

「え、ちょっと!」

残されたルナマリアは抗議するがアスランは聞く耳を持っていない。


!」

名前を呼ばれて振り返ると先ほど此処に来るまでに何度も聞いた名前を持つ人物が近づいてきた。

「うーわ。本当だったんだ...」

目の前にやってきたアスランを見てが顔を顰めてちょっと嫌そうに言った。

「挨拶だな」と返すアスランには敬礼を向けた。彼は“FAITH”だ。一介のパイロットであるよりもずっと“偉い人”である。

「やめてくれ。に敬礼を向けられると気持ち悪い。というか、何故にはこれが授与されなかったんだろう...」

自分の持つ徽章に触れて呟いた。

彼女は核攻撃からプラントを救ってあのジェネシスの破壊まで行った。勿論、それまでの戦績は悪くない。

「断ったの。要らないもの」

の言葉にアスランが目を丸くする。

彼女は“FAITH”すら断ったのだ。最も誉れある勲章といわれるそれを。

「じゃあ、オレに敬礼なんて向けないでくれ。オレとの違いはこれを受けたか、断ったかだけだ。それより、艦長が心配していたぞ。食事は?」

「...アスラン、『自分がイザークの代わりに』なんて思ってたら、禿げるよ」

の言葉に「茶化すな」と返した。

「カーペンタリアに着いてからは戻ったよ」

の言葉にアスランは安堵した。まあ、それでも今話をしていて顔色も悪くないし、体調は崩していないのだろうと想像はできていたが。

「あれ、アスランの?」

見上げた見慣れない機体。

「ああ、セイバーだ」

「...ふーん。ね、OS見せて」

新しい機体があるとは必ずOSを見せてもらっている。シンのインパルスも見せてもらったことはある。

「ああ、構わないがその前に、オレにもノルンのOSを見せてほしい。あと、オーブ脱出の際のデータとか。新型MAが居たと聞いたが」

「“ザムザザー”とか言うらしいよ。いいよ、ちょっと待ってね」

そう言っては近くに居るメカニックに声を掛けて外部にOSを映せるようにしてもらった。

アスランはすっかり失念していたが、のノルンは彼女以外が操作しようとしても受け付けない。それどころか、ダウンしてしまうという。

ノルンのコックピットにそれらを接続してはノルンのOSを立ち上げる。

「そっち、弄らないでね。干渉があるとノルンダウンしちゃうから」

の言葉にアスランは軽く手を上げて応えた。

まずが見せてくれたのが、オーブ近海での戦闘のデータだ。

「もうまとめたから消しちゃおうって思ってたのよ。ギリギリだね」と言いながらその様子の話をする。

「これが、さっき言っていたザムザザーってのか...」

大きなMAが出てきた。

「可愛くないでしょ?背中に陽電子のリフレクターか何かが付いているみたい。遠くからの狙撃はまず無理。装甲も硬いクセに動きも悪くないでしょ?実弾ぶち込むにも骨が折れるって所ね。昔戦ったフォビドゥンも似たような機能持ってたよね」

の言葉にアスランが「あれはビームを曲げるものだったけどな」と頷く。

そしてそのデータについての意見を暫く交わして、今度はアスランが見せて欲しいノルンのOSに組み込んでいる関数や数値を映し出す。

「これは、どういうものだ?」

ノルンはが色々と手を加えているため、既成の機体のOSよりも随分と構造が違う。

もそれは自覚しており、アスランに聞かれる箇所について「ああ、そこの数字は私のクセを修正するのにそういう風にしているの。それと、」などと応えていった。

「随分、弄ってたんだな」

アスランが苦笑しながらに言う。

「まあ、1年乗って。砂漠でも海上でも。勿論宇宙でも色々戦ってきたから。そのたびに色々書き換えてきてたし。それに、先日はデブリでの交戦。あと、またしても単独降下。ノルンは、今あるザフトの機体の中で一番経験豊富だからね。元に戻せって言われてももうダメね」

笑うに「だろうな」とアスランが返した。

セイバーから降りてきたルナマリアはそんな2人の様子を下から見上げる。

不機嫌な表情を浮かべてフイッとそっぽを向き、自機に向かっていった。








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桜風
09.2.23


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