Like a fairy tale 39





アスランとがセイバーのコックピットに上がったら既にルナマリアの姿がなった。

「ったく、離れるなら一言声を掛けていけよ」

とアスランが零す。

一応、へんなところを弄られていないかを確認してにシートを譲った。

「やっぱ、真新しい機体は違うね」

そう言いながらOSをまず大雑把に見ていく。

「これって、インパルスと同じくらいに作られたの?」

「強奪された機体と同時期らしいに製造されたらしい」

それから暫くセイバーの構造について話をした。

アスランとシートを変わって、今度はアスランがに色々と訪ねてくる。

が先ほど見せたOSに組み込んでいた関数や、変わった数値など。セイバーに取り込めるものなら、取り込みたい。


「ザフトには戻って欲しくないって思ってたけど...でも、アスランが来てくれてよかったな。実際は。」

OSについての会話をしている中でがポツリと呟く。

「え?」とアスランが聞き返した。

「私ね、あのオーブ近海での戦闘以降は結構情緒不安定だったのよね」

の言葉が信じられない。

彼女はいつも飄々としており、そういう神経質なところを見た記憶がないのだ。

アスランは黙って聞くことにした。

ノルンが満身創痍で。このまままた戦闘となったらノルンでの出撃が危ういとは感じたそうだ。

そして、そのために、ノルンに篭ってずっと調整を続けていたという。

「私、ずっと甘えてたって気づいたの」

「そうか?オレは、そう思っていなかったけどな。どちらかといえば、考え方は厳しかったと思うし、MS戦でも殆ど隙がなかっただろう。...オレと違って」

は苦笑しながら首を振る。違う、と。

は、甘えていたのだ。

アカデミーの頃からずっと一緒にやってきたイザーク、ニコル、ディアッカにアスラン。

長い間共に戦場を駆けていた仲間が傍にいた。

そして、ひとり、またひとりといなくなっていく中で結局最後まで一緒だったのはイザークだったのだ。

「私ね、前の戦争の中で。ずっと頼れる存在が傍にいてくれたの。だから、あんな感じで居られたんじゃないかな」

「今は、シンが居るだろう。物凄い活躍だったと聞いたぞ。と同じくらいで、勲章ものだとか」

「うん、凄かったよ。けどね、彼に背中を預けて戦えるかって言われたら頷けない」

の言葉にアスランが驚く。

「前の戦争のときと比べるほうがおかしいとは思うけど、あの時は、アスランでもニコルでもディアッカでも。勿論、イザークも。安心して背中を預けることが出来た。けど、今のこの艦のパイロットたちだったら、私はきっと無理だなって思う」

ナイショだよ、と人差し指を自身の唇につけてそう付け加えた。

「未熟なのは仕方ないだろう。彼らはまだアカデミーを卒業したばかりだ」

「けど、これって重要でしょ。信じられる、頼れる存在が傍にあるかどうかってのは」

の言いたいことは分かる。実際、この艦のパイロットで一番の経験者はだ。それでも、彼女は一度除隊をして、2年近くMSに一切触っておらず戦場に戻ってきた。

「だから、アスランがこの艦に来てくれたのは、私の精神衛生上とてもありがたいことなのよ。安心して戦える。私、守ってるつもりで、ずっとイザークに守られて戦場を駆けていたの。それに気づいたら、何だか自分が情けなくなっちゃった」

肩を竦めて笑う。

どこか、すっきりしたようなの表情に

「まあ、お互い守りあってたんだろう。がたちは」

とアスランも笑みを零しながらそう返した。

「またそういう恥ずかしいことを言う」とが零すが、じゃあ、今言っていたの惚気は何だと聞いてやりたい。

アスランは溜息を吐いた。


「オーブのこと、は何か知らないか?」

「フリーダムに持っていかれたカガリさんの事?」

「...フリーダムの犯行ってのはオーブか隠したがっている情報らしいから、一般の兵士が知っているとは思えないんだが」

アスランがに顔を向けて呟いた。

「まあ、偶然にも私の耳には届いていたのよ。そうね、でも。私が聞いたのはそんな噂だけ。けど、フリーダムならキラさんでしょ?アスランの幼馴染だし、安心じゃないの?」

「まあ、そうだが...」と俯くアスランにが苦笑した。

「アスランが連れ去ったらよかったのに」

「馬鹿を言うな」

間髪入れずに返された言葉には肩を竦めた。冗談なのに。

「オーブからの脱出の際、地球軍に待ち伏せをされたってのは、本当だよな」

「さっき、ノルンのデータ見たでしょ?そうじゃなかったらあんな大量の地球軍と戦闘になることはないでしょ?」

アスランは俯く。

は息を吐いた。

「けど、それはきっとカガリ・ユラ・アスハの立てた作戦じゃないわ」

顔を上げたアスランに「でしょ?」とが首を傾げる。

「何故、そう思うんだ...?」

「遠慮なく言っていい?」

の言葉に躊躇いがちにアスランが頷いてみた。

「カガリさんって、それはもう開いた口が塞がらないくらい甘ちゃんでしょ?自分の信じた道を進めなくて、誰かの言葉を受けて簡単に心を揺るがす。そのくせ、感情だけでものを言うし。それでも、義理人情には篤い性格のようで、まっすぐで。
だから正直、為政者には向いていないと私は思うな。少なくとも今の彼女はね。
この先、成長するかもしれないけど、まだまだ子供よね。結局、彼女が口にしているのは、“我侭”の域を脱してない。政治じゃないの、あれは。って、言っても私が政治というものを知っているかって聞かれたら、弱いけど。きっと、アスランのほうが知ってるわ。だから、アスランも今のカガリさんは為政者としては合格点をあげられないでしょ?」

の言葉にアスランが俯いた。「彼女は頑張っている」と言いたかった。が、“頑張っている”だけでは駄目なのだ。少なくとも、今の情勢では。

「だから、カガリさんの立てた作戦じゃないの。人の裏をかくとか陥れるとか出来ない性格でしょ?だから、きっと他の人。たしか、宰相がいるでしょ?その人は、“政治家”なんじゃないの?」

の言葉に「セイラン...」とアスランが呟いていた。

名前までは知らないし、興味がないのではアスランに対して何も言葉を返すことはしなかった。

「ま、そういうわけで。私はカガリさんによる作戦じゃないって思ったの。けど、アレが彼女の立てた作戦だったら、中々やるなと感心するけどね」

の言葉にアスランは半眼になって彼女を睨んでおいた。









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桜風
09.3.2


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