Like a fairy tale 40





互いのコックピットの前で情報交換を済ませ、がノルンに向かおうとしたらアスランに止められた。

とりあえず、艦内を案内して欲しいというのだ。

「嘘だ」とは笑う。

アスランは少し怯んだが何も言わない。

「いいよ、ちゃんと休憩取れとかそういうのが言いたいんでしょ。ついでだからご案内して差し上げますよ、アスラン・ザラ殿」

が芝居がかかって言うとアスランは眉間に皺を寄せる。全くもって嫌味だ。


艦内を案内して食堂へと向かった。

食堂のクルーに声を掛けて適当に座る。

「最近、寝てるのか?」

「寝てます。カーペンタリアに入ってからは、ニコルのお陰で快眠よ」

の言葉にアスランが驚く。先日会ったばかりの人物だ。

「ニコル...?」

「そ。何でか知らないけど私が地球に降下しているのを知ったみたいでさ。ミネルバが地球に降下したのは、まあニュースか何かで見てるとは思うけど。私の所属は知らないでしょ?けど、此処に入港したら手紙が来てて。その手紙にディスクを入れてくれていたの」

の言葉にアスランは納得した。

「ニコルになら、会ったよ。ラスティとディアッカ。イザークにも」

「いつ?」とが聞くとあの開戦直前にプラントにオーブの代表の特使として向かったことを話す。

「ギリギリだったんだ...?だって、港が封鎖されたでしょ」

「ああ、そうだな」とアスランは頷いた。

「けど、そのメンバーって同期クルーゼ隊大集合じゃない。私、仲間外れ?」

の言葉にアスランが笑う。

「ラスティが残念がっていたな。も居たらよかったのにって」

は笑う。またイザークに色々言ったんだろう。ラスティもへの気持ちとかそういうのは既に“友情”しかないのに、イザークをからかうためにまだ色々言っている。

「みんな元気だった?特にラスティ。ニコルは、この間手紙で近況を教えてくれたけど」

「元気そうだった。ああ、ラスティは何でも正式に後継者だとお披露目されたそうだ。イザークとディアッカもそれには驚いていたな」

「まあ、正式な後継だとはずっと前から言ってたから遠くない未来にそうなるとは思ってたけど。じゃあ、紹介できるくらいに力をつけたって事だね」

が自分の事のように嬉しそうな表情を浮かべている。

それから、アスランは先日のあのホテルでの短い再会の話しをした。

はそれを興味深そうに相槌を打ったりしながら楽しそうに聞いていた。


食事を終える頃、アスランが思い出す。

「そういえば。イザークに素直に礼を言われたな」

は飲みかけたコーヒーが器官に入り、咽る。

「大丈夫か」とアスランがの背をさすり、どうにか彼女は落ち着いて顔を上げた。

アスランもの向かいの席に戻る。

「何それ...」

は呆然と呟いていた。

イザークはアスランに素直にならないというのはデフォルトだ。

素直じゃないなー、と皆が温かい目で見守ってこそ、イザークとアスランの関係だ。

少なくとも、はそう思っている。

それなのに...

「イザークが、アスランに対して素直にお礼を言った...?」

確認のため、さっきのアスランの言葉を繰り返す。

「ああ。オレの聞き間違いかなと思ったけど、ディアッカも物凄く驚いていたから聞き間違いでも勘違いでもないだろうって」

「何をしてあげたの、アスランは」

の言葉にアスランが苦笑する。

って、ユニウスセブンから単独降下しただろう?だから、ちゃんと無事に降下できて怪我もないし元気だったって教えておいたんだ。きっと心配しているだろうって思って」

は絶句した。まさか、それで?

「そしたら、『ありがとう、教えてくれて』って言われて。驚いたな、本当に」

「イザーク、体調崩してたんじゃないの?ほら、開戦後だからイザークも無茶苦茶忙しかったんだろうし」

が言うとアスランが笑う。

「本人にそういわれたよ。『俺たちは今無茶苦茶忙しいのに』って。けど、それまでは普通に怒鳴り散らしていたから、別に疲れのせいではないと思うぞ?きっと、本当に心から安心したんじゃないか。いつも心配を掛けられているようだからな」

そんなアスランの言葉にはグッと詰まる。

全くもって反論できない。

アスランはクツクツと肩を震わせながら笑った。

あまりにも変わらない同期の友人の姿に、何だか少しだけ安心したのだ。









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桜風
09.3.2


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