Like a fairy tale 42





アスランはガイアと交戦しているシンに、乗せられているから下がれと命令をしていた。

だが、シンは「うるさい」と言って聞かない。

は自分が追っているウィンダムの動きに妙な違和感を感じる。もしかしたら、カオスとの連携出来るタイミングを計っているのかもしれない。

向こうにそのタイミングを計らせてやるほど、は優しくない。

「アスラン、スイッチ!」

の言葉の意味を彼はきちんと受け取り、お互いがすれ違う進路をとった。

セイバーがウィンダムを、ノルンがカオスを相手にする。と、同時にはカオスのスラスターのひとつを撃ち、バランスを崩させて推力も落とす。

機動力が自慢であろう、カオスの動きを鈍らせたはカオスのもうひとつのスラスターを撃ってそのままガイアと交戦しているシンの元へと向かう。

背を向けたノルンにカオスのビーム砲が向けられるが、それをひらりとかわして振り向きざまにその砲を撃ち、またインパルスの元へと向かっていった。


シンはビームサーベルを振っているが当たらない。

しかし、シンとガイアの距離は離れていないため、こんな動きをされていてはシンに当てかねない。

ライフルでの狙撃を諦めてサーベルを抜いた。

「アカデミーのMSの教育方針変わったのかな?」

はっきり言って、あの動きは無茶苦茶だと思う。振り回していても当たらないものは当たらない。ナイフのフレッドは引退でもしたのだろうか。

一応、インパルスはガイアを押し気味では有るが...

はガイアとの距離をつめていった。

しかし、何かが聞こえる事に気づいたはその場で耳を澄ませた。

「艦長、付近に基地及び空母などの拠点はないと仰いましたよね」

ブリッジに通信を入れる。

「ええ、そうよ。どうしたの?」

「アラートが聞こえます」

の言葉にブリッジが耳を済ませる。ノルンのマイクが音を拾っているはずだ。

微かだが、聞こえる気がする。

「シンとアスランの様子は?」

と艦長がメイリンに聞くと、「以前ガイア、ウィンダムと交戦中です」との返答がある。

、アラートの元を探してみて」

「了解しました」

がそこへ向かい、上空から観察すると建設中と思われる基地があった。

そして、そこではおそらく現地の民間人がその基地の建設のために強制労働をさせられているようだ。

「艦長、基地があります。建設中のようですね」

「地球軍の...?まさか!」

「大胆ですよね。いかがしましょうか。多数の民間人が強制労働をさせられている模様ですが」

そう話をしているとインパルスがその基地傍までやってきて地球軍のガトリングの砲撃を受けていた。

装甲の性能のお陰でダメージにはならない。

後方で水飛沫が当たる。飛沫というよりは水柱だ。

ミネルバのある方角で、は更に上空へと上がる。ミネルバはあるがそのすぐ傍での爆発だったようで。ということは随伴していたニーラゴンゴが沈められたのかもしれない。

通常のウィンダムの姿はなく、先ほどまでアスランと交戦していたウィンダムやカオス、シンの近くに居たはずのガイアの姿もなくなっていた。

どうやら、撤退したようだ。

「艦長、シンが破壊工作を始めました...」

そう言いながらはシンを止めに向かう。

「シン、やめなさい。彼らにはもう戦闘力はないでしょ!勝手な判断で勝手なことをしないの!!」

はそう言って止めるが、シンは聞かずに民間人を解放していた。



ドックに帰ってノルンを降りようとしたらマイクが乾いた音を拾う。

モニタでその音の元を拡大してみた。アスランが、シンの頬をぶったようだ。

「殴りたいなら、別に構いやしませんけどね。けど、オレは間違ったことはしてませんよ!あそこの人たちだってあれで助かったんだ!」

シンが言い終わると同時にアスランが再びシンの頬を打つ。

「戦争はヒーローごっこじゃない!」

アスランの言葉にシンが睨む。

「勝手な判断をするな!力を持つ者なら、その力を自覚しろ!!」

そう言い終わってアスランはその場を後にした。

その場に居た人たちは彼の背中を呆然と見送っていた。

は溜息を吐く。

「やっぱり、上手くいかないものね...」

そう呟いてコックピットを開けた。アスランの居なくなった先を睨み続けるシンの様子に肩を竦め、も着替えることにした。

アスランがこの艦でMSの指揮を執ってくれることは、の精神衛生上物凄くありがたいことだが、もしかしたら、艦長の精神衛生上で言うなら、結構胃が痛い状況なのかもしれない...









Next


桜風
09.3.9


ブラウザを閉じてお戻りください