| ローエングリーンゲートを落としたその足で、黒海沿岸都市ディオキア内のザフト基地に入港した。 レストルームのモニタから外の映像を見る。 すると、上空からピンクのザクがオレンジの機体とディンに支えられて降下してきた。 は苦笑する。 たぶん、あのオレンジ色のパイロットとは顔馴染みのはずだ。 「何てことに借り出されているのでしょうね、貴方は」 は呟き、レストルームを後にした。 揺れない床に立ちたい。 下艦途中、アスランとルナマリアを見かけた。 「!」と後方からメイリンがシンと共に追いつく。 「ああ、何。コンサート?早く行かないと終わっちゃうわよ」 振り返ってメイリンに返す。 前方を歩くアスランが振り返った。ルナマリアも同じく振り返る。 「は、興味ないの?」 「残念ながら、クラシックのほうが好きなの。眠れるもの」 そういう基準で... とルナマリアは呆れた。 「ていうか、前のほうが好きだったの。落ち着かないもの、この曲のアレンジって。しかも彼女の変わり様は、まるで、別人のようよね」 そう言ってアスランを見た。 アスランはから視線を外して艦の外へと向かった。 はそのまま基地の中を歩く。 フェンスの向こうに見たことのある人物を見かけて首を捻る。 何でこんなところに居るんだろう? まあ、此処が地球で。彼女はたぶんオーブの出身だ。 だから、違和感を感じるっていうのも変なことだ。 「ま、いっか」 そう気にせずにはそのまま足を進めた。 とりあえず、あの音から遠ざかって海でも眺めよう。 基地の中をウロウロしていると、放送で呼び出された。 『・。至急、ミネルバに帰艦してください』 「恥ずかしいね、私...」 が、周囲の兵士たちはざわめいていた。 の名前はザフト軍の間ではとても有名だ。本人を見ようと、ミネルバへと野次馬が群がり始めていた。 は近くの通信できる施設に入ってミネルバのブリッジと連絡を取る。 どうやら、議長がこの基地に来ており、ミネルバのパイロット全員が呼び出しを受けたらしい。 「ここに居るから、途中で拾ってって伝えてくれる?」 の言葉にブリッジ要員は了承の返事をしてそのまま通信を切った。 迎えに来た車に乗り込むと早速ルナマリアとシンに文句を言われる。 凄く動きにくかったのだ、と。 「仕方ないでしょ?私のせいじゃないでしょうに」 「きっと、まだ待ってるわよ。可哀想に」 ルナマリアの言葉に「そろそろ諦める頃よ」とは適当に返していた。 アスランは小さく笑う。 彼女もそれなりに苦労をしていると言っていたが、本当のようだ。 目的地に着き、車が止まる。 出迎えたのは、元ホーキンス隊所属のハイネ・ヴェステンフルスだった。 が敬礼し、アスラン、ルナマリアそしてシンが彼に敬礼を向けた。 それを返してハイネがニヤッと笑う。 「久しぶりだな、」 「どうも。ハイネさんは、あのラクス・クライン専属ボディガードが任務ですか?」 先ほど、ピンクのザクを抱えて降りてきたオレンジの機体はハイネのものだろう。彼のパーソナルカラーだ。 「違うよ。オレは、議長の護衛で降りてきたんだ。ま、オレもとは話をしたいって思ってたから嬉しいよ。ホント」 はあからさまに嫌そうに顔をしかめ、それを見てハイネは笑う。 ついて来いよ、と言って彼が歩き出し、4人がそれに続いた。 テラスに案内されるとテーブルに着いたグラディスとレイ、そしてデュランダルがいた。 「失礼します。お呼びになったミネルバのパイロットたちです」 ハイネが声を掛けるとデュランダルが振り返って立ち上がる。 シンは慌てて制服を改めていた。 「やあ、久しぶりだね。アスラン」 そう言って手を差し出す。それを握り返してアスランも返事をする。 「も、会えて嬉しいよ」 と差し出された手をも握り返した。 「ええ、そうですね。議長もお元気そうで何よりです」 一応社交辞令を返しておいた。 そして、隣に立つルナマリアは自己紹介をして、最後のシンも自己紹介をした。嬉しそうに。 「君の事は良く覚えているよ」という議長の声にシンは俯いた。 カガリがミネルバに乗艦しているときに議長の前で揉め事を起こしたことがある。それを指してそう言っているのだろうと気まずくなったのだ。 だが、議長はそのことには触れずに最近のシンの活躍についてを口にする。叙勲の申請も来ていたため、近々結果が届くだろうと言葉を向ける。 シンはそれを受けて議長の手を取って礼を言った。 「は、要らないといったそうだね」 「はい」 その言葉にルナマリアとシンは驚きを隠せない。後ろに控えているハイネも驚いた様子だ。 「まあ、無理強いをするつもりはないよ。勲章がなくても、君は今までどおり、いや、これまで以上にその力を世界の平和のために尽くしてくれると信じているからね」 「ありがとうございます」とは笑顔を返した。 |
桜風
09.3.16
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