Like a fairy tale 47





テーブルについて話をする。

先日のローエングリーンゲートでの戦いの事。そして、それまでの事。

グラディスが宇宙の情勢について聞く。月の地球軍基地の動きなど。それについては、変わらず時折小規模な戦闘が繰り返されるだけだと議長が応えた。

本当に、それなら良いが...

はふとアスランに視線を向けると、彼は気分が優れない、というか機嫌が悪そうな表情だ。

「停戦、終戦に向けての動きはありませんの?」

グラディスが問う。

「残念ながらね、連合側は何一つ譲歩しようとしない。戦争などしていたくないが、それではこちらとしてはどうにもできんさ」

「軍人の君たちにいう話ではないが」と断ってから、戦いを終わらせる、戦いをやめると決めることは、戦いを始めることよりも遙かに難しいことだと、デュランダルは言った。

その言葉にシンが「でも!」と声を出す。

全員の視線が集まったことにより彼は口を噤んだが、デュランダルに促されて自分の思いを口にした。

彼は言う。

確かに、戦わないようにすることは大切だと思う。

でも、敵の脅威があるときは、仕方ない。

戦うべきときには戦わないと、何一つ、自分たちすら守れない。

普通に、平和に暮らしている人たちは守られるべきだと。

しかし、今度はアスランが口を開く。

そうやって、殺されたから殺して、殺したから殺されて。それで最後は本当に平和になるのか、と以前言われたことがある。

自分は、そのとき答えることができなかった。

そして、今もその答えを見つけられないまま、また戦場にいる、と。


議長はそこが問題だという。

人々はいつの時代も平和を願っているのに、戦争はなくならない。

それは何故か。シンに問う。

シンは、身勝手でバカな、ブルーコスモスや大西洋連邦のような人たちが居るからだと答えた。

少しだけ、自信無さそうに。

議長はそれ以上のどうしようもないものの有ることを言う。

兵器を生産販売している死の商人の存在。その彼らが戦争を作り出しているのだ、と。

今更のことだ、と思っていたは驚いているシンたちを見て、驚いた。

そして、議長は続ける。

今度の戦争の裏には間違いなくロゴスの存在があり、ロゴスこそが、ブルーコスモスの母体でもある、と。

だから、彼らに踊らされている限り、プラントと地球は戦い続けていくだろう、と。



皆が息を呑み、議長の今話した言葉に衝撃を受けていると彼は思い出したかのように声を出す。

「そうだ、。こんな話の後ですまないが。忘れてはいけないのでね。約束のものだよ」

そう言って彼は胸ポケットから封筒を取り出した。

「此処で会えなかったらジブラルタルに送ろうと思っていたのだが。良かったよ、会えて」

は「ありがとうございます」と義務的にそれを受け取ってテーブルの上に置いた。

周囲はその封筒の中身に興味津々のようだ。

「確認してくれないか」と議長に促されて渋々それを開いて中身を確認した。

確かに、あれから成長した娘のノルンの姿がある。

「本当に態々ありがとうございます」

は立ち上がって敬礼を向けた。コノヤロウ、と思いながら。

そして、気になるのかアスランがを見ていた。

「見る?」と渡すと「いいのか」と確認してくる。

「ダメだったら最初から渡さない」というの言葉を受けて封筒の中身を取り出した。

中には写真が数枚入っており、赤ん坊が写っている。

「これ、って...」

「“これ”!?」とに睨まれてアスランは一度咳払いをし、

「この可愛らしい赤ん坊は?」

と聞きなおした。

「娘よ。もっと褒めても良いわよ」

とにこりと微笑んでが応えた。

「念のために聞くけど、誰の?」

「...他人の赤ん坊の写真を態々議長に届けていただくことってあるのかしら?」

の言葉にアスランは絶句した。

「...知らなかったんですか?」

ルナマリアがアスランの顔を覗き込む。

「だって、式の招待状以降まったく音沙汰もなかったから...」

「プラントからしょっちゅう連絡が行ってたらまずいでしょ?アレックス・ディノさんにとっては」

の言葉に「まあ、そうだったかもしれないが...」とアスランは呟いていた。

「私にも見せてくれるかしら」と艦長が興味を示したため、がアスランの手にある写真を彼女に渡した。

「議長は、何故彼女に写真を?」と聞きながら艦長が写真を見る。

手元の写真の赤ん坊はに似ているが瞳の色が違う。

「ああ、彼女が復隊をしてくれると聞いてね。ご息女がまだまだ幼いというのに、それは申し訳ない。が、彼女の力もザフトは必要だし。だから、せめてものお礼にご息女の写真などで元気だということを知らせさせてもらっているのだよ。きっともその方が安心できるだろうからと思ってね」

そう言ってに視線を向ける。

「感謝しております」とは返した。

「そうだったの。でも、何も議長自らそのようなことをしなくても...、この可愛らしい女の子の名前は何と言うのかしら。いくつ?」

「1歳です。名前は、ノルンです」

その言葉に議長とレイ以外が驚いた。

さすがに、あの機体に乗っている今ならこんなに驚かれても無理はないと思いつつ「亡くなった母の名です」とは一言添えた。

「そう。でも、そんなに小さいと心配でしょう。今は誰が?お父様が?」

「いいえ、エザリア様です。父に預けたら私みたいなのがまた出来上がってしまいそうなので」

の言葉に「そう」と目を細めて彼女は再び写真を眺めた。「ありがとう」と返されたその写真をは制服の裏ポケットに仕舞った。

娘はまだ、議長の手の届くところに居るようだ。

下手に動けない。

議長はの表情を見て口角を上げる。

は自分の駒だ。あの赤ん坊がこちらの手にある限り、彼女は絶対に裏切らない。

今のザフトを。

そして、ギルバート・デュランダルを。









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桜風
09.3.16


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