Like a fairy tale 49





インスタントのコーヒーだが中々香りは良い。

は自分のものとイザークのものを作って戻ってみた。

イザークはまだ固まっている。

こういうときの夫の反応は楽しいと何かで読んだが、中々どうして。本当に楽しい。


、もう一度聞くぞ」

何とか立て直せたらしいイザークが口を開く。

「どうぞ?」

「誰が、何だって?」

「私が、妊娠しました。勿論、この子の父親はイザーク・ジュールです」

イザークが勢いよく立ち上がった。

さすがにこれにはも驚く。

「俺の子か!?」

「違うほうがいい?」

「んなわけあるか!俺の子以外あってたまるか!」

イザークが怒鳴る。懐かしいと思いつつも

「イザーク、今は真夜中。声のトーン落として。皆起きちゃう」

の言葉にイザークはグッと言葉を飲む。

すとん、とソファに腰をかけての入れたコーヒーを一気飲みした。

熱くないのかな、とはどうでもいいことを思う。

「誰かに、言ったのか?」

は首を振る。

「ううん。今日、じゃないか昨日だ。病院にいってイザークにメールを打ったの。やっぱ、最初に報告したかったから。だから、誰も知らない。この家の人たちも、お父様も、エザリア様も」

「お、俺は何をしたらいいんだ?!」

「とりあえず、今は落ち着いたらいいと思う」

の言葉にイザークは頷いた。

しかし、そわそわしっぱなしだ。

そんなイザークを見てはクスリと笑った。

「直接言いたかったから帰って来てってお願いしたの」

彼女の言葉にイザークは頷く。

そして、はたと気がついたようにイザークは立ち上がっての手を引く。

「こんな夜遅くまで起きていて良いのか?!良くないだろう。寝ろ!」

「え、ちょっと..!!」

の抗議の声に耳を貸さずイザークは彼女の手を引いて寝室に向かった。


とイザークの寝室は2階だ。

イザークはを抱えて階段を上がる。

「あの、これくらい大丈夫...」

の言葉に耳を貸さないイザーク。

というか、耳に入っていないようだ。

は深い溜息を吐いた。

寝室のドアを開けてをそっとベッドに下ろす。

「もう寝ろ。いいな」

イザークはそう言った。が、「やだ」とが返す。

」とイザークは窘めるように彼女の名前を呼ぶ。

「我侭を言うな。お前はもう母親なんだから」

と続ける。

「やだ」ともう一度言うにイザークは呆れたように溜息を吐いた。

「だって、せっかくイザークがここに居るのに。寝たらきっと次に目を覚ましたらイザーク居なくなってるんでしょう?」

「まあ、明日も仕事があるしな」

イザークは肯定した。

「だから、やだ」

イザークは溜息を吐いて立ち上がった。

「シャワーを浴びてくる」

そう言って部屋を後にした。

「イザークのけち」とは呟いて布団の中にもぐった。


そう時間を置かずに部屋のドアが開いた。

はもぐっていた布団から少しだけ顔を覗かせる。

「寝たか?」

とイザークが声をかけてきた。

「寝てますー」と拗ねた声が返した。

イザークは小さく笑って自身もベッドの中へと入る。

そして、布団にもぐったままのを抱きしめて彼女の額に唇を寄せる。

「悪いな、俺も眠れるときは寝たい。今回はこれで我慢してくれ」

「ん...」と不機嫌そうな声が返ってきた。イザークはそっと布団の隙間から彼女の表情を見る。

声は不機嫌だが、表情はとても嬉しそうだ。

相変わらず、素直じゃないな...

、愛している」

「ん、」と返事をしながらはイザークの胸に額を押し付けてきた。グリグリと顔を動かす。

くすぐったい、と思いながらもイザークは苦笑いを浮かべた。

短い返事はもう不機嫌な声を装いきれておらず、だから、は照れ隠しにイザークに額をつけてきている。

人の体温は眠りへと誘うのに物凄く適しているのだろうな、と思いながら重くなった瞼を閉じた。

ああ、違う。だからか。

いつも自分より先に寝息を立てるのその規則正しい息遣いを耳にしながらイザークもゆっくりを深い眠りの中へと落ちていった。









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桜風
09.3.23


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