| 「あっはっはー!!」 が声を上げて笑う。 食事くらいはホテルで、という話になり、朝っぱらから呼び出されて行ってみればルナマリアの愚痴に付き合わされた。 「何が可笑しいのよ!」 「アスランに何を期待しているのよ。あー、でも、何でクルーゼ隊のときにそういうアクシデントに見舞われなかったのかしら!」 そう言ってまた笑う。 「ちなみに、クルーゼ隊のときだったら、どうなってた?」 ハイネが横から声を掛ける。 「イザークがぶち切れてた」 きっと「何をやってるんだ貴様はぁ!」とか、「この腑抜けがぁ!!」とかいうに決まっている。 ついでに言えば、ディアッカが楽しそうに口笛でも吹くだろう。 ニコルは「どうしましょう」ともしかしたら視線で訴えてくるかもしれない。アスランがラクス・クラインと部屋を共にしたことではなく、怒り出したイザークをどうしようという意味で。 それを話しながらはコーヒーを口にした。 昨日の缶コーヒーに比べると、やはり味が違う。 「で、たちにはそういうのはなかったのかよ。それこそ艦内で四六時中一緒だったんだろう?」 不意にハイネに水を向けられては一瞬怯んだ。 言われてみれば、あのときから既に“婚約者”だった。 「残念ながら、ありませんでした!ごめんなさいね、期待に添えられなくて」 の応えに「へー...」とハイネが疑わしそうな視線を向けてきていた。 「だって。イザークってば、かなり長い間私が彼との婚約を嫌がっているんだって思い込んでいたもの」 懐かしい、と思う。 イザークは、意外と思い込みが激しい。...いや、“意外と”でもないな。 「何だ、アイツ意外と奥手なんだな」 ハイネの言葉には思わず噴出した。 「せめて、“紳士”と言ってあげてください」 笑いながらはそう返した。 暫くしてアスランがやってきた。 その腕にはラクス・クラインの腕が絡まれている。 は噴出すのをこらえながら敬礼を向けて、 「おはようございます、ラクス様、ザラ隊長。夕べは良く眠れましたか?」 と声をかけた。 の言葉が耳に入ったアスランは顔を向けてに文句を言おうとしたが、その隣に居る人物を目にして慌ててラクスの腕を解いた。 「おはようございます、ラクス様」 とハイネが先に挨拶をする。 アスランも敬礼を向けた。 「あら、皆様。おはようございます」 ラクスが近寄ってきた。 は違和感を感じた。 は一度だけだがラクス・クラインを目の前に見ている。そのときと雰囲気があまりにも違うのだ。 曲や衣装は演出だと思っていたが、そうではない。本人の纏っている空気が違う。 「何か?」 の視線に不快感をうけたらしいラクスが責める様に声をかけてきた。 「いえ、失礼いたしました」 は敬礼を向けて視線を外す。 それをフォローするようにハイネが昨日のコンサートの事を口にする。 楽しんでもらえたか、と聞かれてハイネは頷いた。 そして、これで兵士たちの士気も上がると話を締める。 アスランに向き直り、改めて自己紹介をした。昨日は結局ごたごたしていて話す時間はなかった。 アスランも名乗ると「知ってるよ、有名人」とハイネに言われて彼は眉をしかめる。 「復隊したって聞いたのは最近だけどな。前は、クルーゼ隊に居たんだろう?と一緒で。オレは大戦のときはホーキンス隊でね。ヤキンデューエのときには、すれ違った、かな?」 知ってるくせに、と思いながらはハイネを見た。 ハイネは、あのヤキン直後の始末をホーキンスに押し付けられていたため諸々の事を知っていておかしくない。 打ち合わせがあるからラクスは別のテーブルで、といわれて彼女は不満そうにその場を離れていった。 「仲が良いんだな」 笑みを含んだ声でハイネが言う。 「え、いや、そんなことは...」と歯切れ悪くいうアスランに「いーじゃないの」とハイネが軽い口調で返した。 「仲が良いって事は良いことよ。な、」 「まあ、そうですね。勿論、良いことでしょうね」 「で、ここに居る全員がミネルバのパイロットだよな」 いつの間にかレイとシンがいた。 「え、まあ。はい」 インパルス、ザクウォーリア、ブレイズザクファントム、セイバー、そして、ノルン。 パイロットを指差しながら確認するようにハイネが言う。 以外は訳が分からない、といった表情を浮かべていた。 「で、お前FAITHだろ?艦長も」とハイネがアスランに言う。アスランが躊躇いがちに頷いた。 「人数は少ないが、戦力としては十分だよな。シルバーレイだって居るし。なのに何でオレにそんな船に行けと言うかね、議長は」 その言葉に以外が驚きの表情を浮かべる。 「正式に辞令が出たのですか?」 「そ、今朝ね。話半分で思ってんだけどな、オレは。休暇明けからの配属だよ。後でミネルバに挨拶に行くけど...」 ハイネが外を眺めながらそう返す。 「面倒くさそうだよな、FAITHが3人って」と付け加えて肩を竦ませる。 ハイネは用事があるというため、たちは別の基地に慰問に行くラクスを見送ることになった。 目の前で展開される“婚約者”というものの姿にルナマリアの機嫌は斜めに下がっていく。 そんな事に気づかないシンはに向かって「本当に、がお母さんになってんの?」とか声をかけていた。 昨日のの告白がまだ信じられない状態のようだ。 は頷きながら、ご機嫌斜めのルナマリアを見遣る。 ああいう天然っぽい人物はもてやすいのだろうか... 戻ってくるアスランに苦笑を浮かべて、考えても仕方ないことを何となく思っていた。 |
桜風
09.3.30
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