Like a fairy tale 53





ラクスを見送ってホテル内に戻る。

「でも、どうしよっかなー。今日はこれから」

背後から聞こえるのはルナマリアの声だ。

街に出たい気もするが、一人ではつまらないという。

は、用事があるんでしょ?」

「ハイネに案内頼まれちゃったからね。まあ、休暇って言っても出かける気はなかったし。ちょうどいっかなってもう受けちゃった」

の返事にルナマリアが溜息をつく。

「レイにも悪いから、船にもどろっかなー」

レイは既にミネルバに戻っている。

がハイネの案内を頼まれたため、長い時間艦にパイロット不在という状況は良くない。

そんな事を言っていたルナマリアの背中に「シンと行けば良いじゃないか」という声が掛けられた。

彼女はムッと顔をしかめる。

「あー、お馬鹿」

は楽しそうに呟いた。

丁度エレベータが開き、4人はそれに乗り込む。

「せっかくの休暇だ。のんびりしてくればいい。船にはオレが戻るから気にしなくて良いぞ」

アスランは物凄く気を遣ってそう言った。

にはそれは分かっている。たぶん、ルナマリアにだって分かっている。

何となく分かっているのか、分かっていないのか。シンは逆にアスランに気を遣ってその言葉に頷かない。

「そっか。隊長はもう良いですもんねぇ。ラクス様ともう十分!ゆっくりされて」

ルナマリアのその言葉にアスランが驚きの表情を浮かべる。シンも何だかびっくりしたようだ。

自業自得だね。

は笑う。

そんなの様子にアスランは助け舟を請うが、知らん振りを決め込むは何も言っては来ない。

「どうせなら、ラクス様の護衛について差し上げれば良かったのに」

そう続けるルナマリアにアスランは名前を読んで窘める。

「隊長はFAITHですもの。そうされたって、問題はないでしょ」

ひとり取り残された感じのシンはルナマリアとアスランを交互に見ていた。

エレベータが目的の階に着き、4人は降りる。

「先に行っておくね」とが声をかけてシンを連れてさっさと行く。


「ねえ、さっきのあの2人って何?」

シンが聞いてきた。

「軽く..修羅場ってところじゃないの?」

楽しそうに言うにいまいちピンと来ないシンは「ふーん」と返していた。

「ね、シンは外に出る?」

「う..ん。まあ...何?」

「お願いがあるんだけど。買い物」

「ルナに言ってよ。オレ、街には行く気ないから」

の言葉にシンが返した。

あまり人ごみに行くつもりはない。

「んー、分かった。アスランでも外出しないかな...?」

「ルナには言わないの?」

「今の彼女に声を掛けたら延々と愚痴を聞かされるでしょ、きっと。それだけの労力を使ってまで欲しいものじゃないから」

の言葉に「そういうもんかな」と呟いてシンは部屋に向かっていった。



「さっきの。助けてくれても良かっただろう?」

ロビーにきたアスランが声をかけてきた。

「まあ、ある意味自業自得でしょ?曖昧な態度を取ってしまっているアスランが悪い。女心を弄ぶと後が大変よ。ディアッカが昔ぼやいてたもの」

というにアスランは眉間に皺を寄せたまま憮然とした。

「オレにも落ち度はあるし、それで言い訳なんてしたくないとは思っていた。けど、も何にもなかったって分かってたんだろう?」

「うん、ないよね。アスランは。ハイネ曰く、イザークって奥手らしいから」

の言葉にアスランは首をかしげた。

何故今、イザークの名前が此処に出るんだろう?

「アスランとイザークって似たもの同士なのよ。だから、イザークが奥手なら、アスランもそれだってね。というか、ね?違うもんね、今は」

の言葉にアスランは視線を逸らせた。

の言う『違う』はあのラクス・クラインが本物ではない、と言う意味ではなく、アスランは誰を想っているかを指していたのだが、そこまでは思い至らなかった。

「ねえ、出かける?」

「いいや。船に帰る」

の言葉にアスランが返す。

は仕方ない、とルナマリアの部屋へと向かった。


「そんなもの、どうするの?」

に頼まれてルナマリアは首を傾げた。

「まあ、気が向くかもしれないときのために。いいかな?」

「私の好みで良いのね?」

が頷くと「了解」とルナマリアは了承した。



やがてハイネがロビーにやってきた。

「じゃ、よろしく頼むよ」

「ねえ。今更だけど、案内っているの?昨日勝手に来たじゃない」

の言葉にハイネは肩を竦める。

「艦長室に行くんだから、やっぱ案内要るでしょ?」

「はいはい。畏まりました」

は適当に返事をしてハイネと共にミネルバへと向かった。









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桜風
09.3.30


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