Like a fairy tale 55





黒海に地球軍が集結しているとの情報があった。

それを受けてその付近のザフト全軍に戦闘命令が下される。


「んで、アスランはオーブが援軍だって聞いたら気落ちしたんだぜ。何で?」

約束のグフのOSを見せてやりながらハイネがに話す。

本当はもっと早くに見せるつもりだったが、その前にメカニックの方に慣れておいてもらわないと後々困るため、メカニックを優先した結果、が見せてもらうのが今に至った。

出航したため、あまり時間は取れない。

出来ればもっとじっくり見てみたいと思っていたのに...

そう思いながらも、仕方ないと諦めながらはグフのコックピットでキーボードを叩いていた。

「ああ、アスランはオーブに縁が深いからね」

「どういうこと?」

「ご想像にお任せします」

の言葉に「冷たいなー。こうしてグフのOS、見せてやってるのに」とハイネが零す。

「そうねぇ。でも、今までOSを見せてくれた人はみんな見返りなんて求めてこなかったわ」

が返すとグッと言葉に詰まる。

「可愛くねぇな。そんなんじゃ、旦那にも可愛いとか言われないだろ」

「イザークが私の事を可愛いとか言ったら全速力で逃げるわ。気持ち悪い。それってイザークじゃない」

「...お前ら、どういう夫婦よ」

「そんな夫婦」

「ふーん」と呟いてハイネは立ち上がる。

「それ、見終わったら落としとけよ」

声をかけてその場を後にする。

「りょーかい」とは返してそのまま暫くグフのコックピットの中にいた。


ハイネはアスランの姿を探す。

こういうときは一人になりたいのかもしれない。

だから、甲板に上がってみた。

ビンゴ、と心の中で呟き声を掛ける。

「オーブに居たのか、大戦の後ずっと」

不意の声を掛けられてアスランは驚いて振り返る。

今、丁度考えていたところだから見透かされたかと思ったのだ。

「良い国らしいな、あの国は」というハイネに「ええ、そうですね」とアスランが返す。

「この辺も、綺麗だけどな」と対岸の景色を眺めながらハイネは言った。アスランは暗い表情で相槌を打つ。

「戦いたくないか、オーブとは」

「...はい」

「じゃあ、お前。どことなら戦いたい?」

ハイネの問いにアスランの時間が止まる。

―――どことなら戦いたい。

驚いて止まった頭を働かせる。その言葉の意味を考える。

だが、答えが出るはずもなかった。

「どことならって、そんなことは...」

応えられないアスランにハイネは「あ。やっぱり?オレも」と軽く言う。

それに驚いた表情を浮かべるアスランに対して途端に真剣な眼差しを向けた。

「そういうことだろ。割り切れよ。今は戦争で、オレたちは軍人なんだからさ」

ハイネから視線を逸らしてアスランは俯く。

「でないと、死ぬぞ」

そのまま、ハイネはアスランに言葉を重ねた。

拳を握り締めてアスランは応える。その通りだと、割り切ろうと努力をした。



暫く艦が航行し、コンディションレッドが発令される。

は早々にコックピットに収まっていたため、ノルンのコックピットからドックの様子を見る。

またアスランとシンがもめていたのかもしれない。

同じくオーブに縁のある2人で、それに対する思いにすれ違いがある。

シンも、おそらくオーブの事は嫌いではない。むしろ好きだったのだ。

だから、あの国が自分の家族を守れなかったことに対して必要以上に憎しみを感じているのだろう。

本人も、何となくその自覚もあるようだ。

だから彼は苦しんでいるのだ。



地球軍からの攻撃が始まった。

ミネルバは離水し、インパルスとセイバーが出撃をすることになった。

暫く戦闘が展開されており、ノルンに出撃命令が出ない。

待機をしているところに大きな揺れがある。艦が攻撃を受けたのか...?

状況の見えないまま、出撃命令を待った。









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桜風
09.4.6


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