| コックピットに響く声に驚く。 オープンチャンネルでの通信であるため、艦内のMSにもその言葉は届く。 「何か、似たようなことが前にもあったような...」 は呟いた。 あれは、前にアークエンジェルをオーブ近海で追い詰めたときのことだ。 あの時も彼女は何かを叫んでいた。 「これで、オーブは止まるのかなぁ?」 全くそんな事を思っていないは呆れたように声を出していた。 「おい」と通信が入る。レイとルナマリアにも同時に回線が開いている。 「何でしょう?」 「動きがあったらオレらも出る。艦長にもそう伝えてあるからな。はオレと一緒に外のMSを落としていくぞ」 「了解」 は答え、そのまま出撃の命令を待った。 出撃命令が出て左舷のカタパルトからノルンで飛び立つ。 遠くに見える艦を目にしては嘆息を吐いた。 何でまた、あんなのがここにいるのか... ノルンはそのまま距離は取らずにミネルバへと向かってくるミサイルを迎撃していく。 セイバーはカオスと、インパルスはアビスと。そしてグフはガイアと交戦している。どの機体もミネルバの護衛には回れない。 ミネルバからは離れることが出来ないはアークエンジェルを気にしていた。 何故、出てきたのか。 前の大戦のときは地球軍に居て、オーブから空に上がり、エターナルと組んで、俗に言う三隻同盟を築き戦争を止めようとしていた。 そして、あの艦の艦長は、オーブのモルゲンレーテ工場で技術員をしていた。 ついこの間までは。 それなのに、突然現れてミネルバの艦主砲を撃ち、今はミネルバの援護射撃も行っている。 「何がしたいの...?」 そして、フリーダムは以前と同様にコックピットは狙わない戦いを行っている。 「悔しいね...」 舌打ちをした。 はそれが徹底できなくなっていた。今回、ミネルバに配属されても尚、自分の信条としてパイロットを殺さないように戦ったつもりだが、結局殺した。 しかし、フリーダムはパイロットを殺さないように戦える。それだけの力があると言うことだ。 こういうところで歴然とした力の差を見せ付けられた気がした。 フリーダムがガイアに向かう。 インパルスとアビスは無力化された。 「まずい...!」 もその後を追う。 フリーダムに右アームを切り落とされたグフがそれに向かう。 だが、その背後から同じくフリーダムに破壊されたガイアが向かっていった。 目の前に立ちはだかる形になったグフにガイアのサーベルが向かう。 「ハイネ!」 はガイアのそのサーベルを撃ち、バランスを崩させて何とかコックピットを外させた。 だが、機体は大きく損傷しており、スラスターも爆発したため飛行不可能となり、グフ墜ちていく。 は着水寸前のそれを回収して上空へと上がる。 「生きてる、ハイネ」 「...?」 声がか細い。 コックピットの中もきっと酷いことになっているはずだ。 再び背後から迫ってくるガイアを振り向きざまに蹴っ飛ばして海に叩き落し、そのままミネルバへと帰艦した。 ドックにグフを持って入る。 「開けられる?」 ハッチが歪んでおり、外からの操作ではコックピットのハッチが開かない。 「どいて」とは声をかけてノルンの手で強引にそのハッチを開けた。 中には、深い傷を負ったハイネの姿があった。 すぐに医療班がハイネを連れて行く。 「、あなたは出られるわね」 艦長からの通信に頷いた。 が再び艦から発進したときに地球軍から撤退命令の信号弾が上がった。 それを確認したかのようにフリーダムとアークエンジェルも引いていく。 目の前には黒煙があがる海が広がっていた。 「本当に、戦争を止めるためだけに来たの...?」 呆れたようには呟いた。 今、この状況でそんな事をしても混乱するだけだ。もっと時機を見て行動を開始されれば納得も出来たかもしれない。 「何を考えているんですか、ラミアス艦長」 あの白い戦艦の艦長の名前を呟いては奥歯を噛み締めた。 |
桜風
09.4.6
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