Like a fairy tale 59





との通信が終わってイザークはそのログの消去を行っていた。

イザークもMSからの通信だから落とされない限り、というのはあるが、のノルンと違って生産ラインに乗っている機体を使っているため、いつ機体交換ということになるかわからない。

なるべくさっきのログについては鮮明に残さないように、と思っているのだ。

コンコン、とコックピットをノックする音がした。

開くとディアッカが覗き込む。

「時間。ブリーフィングルームにみんな集合してるぜ?」

言われてコックピット内の時計を目にした。

「ああ、すまない」

イザークはそのままディアッカと共にブリーフィングルームへと向かった。


「どうしたの?機体の調子が悪いのか?」

珍しくコックピットのハッチを閉めて篭っていたイザークに心配してディアッカが聞いてみる。

「いや、そうじゃない。駄目元でちょっと、な」

珍しく言葉を濁すイザークにディアッカが肩を竦めた。

、元気?」

気づいてか、そうでないのか。ディアッカが不意にそう声をかけてきた。

「元気になった、というべきか」

「ふぅん」とディアッカが相槌を返す。

「オレさ、最近どうしても考えちゃうんだけど」とディアッカが言う。

イザークは彼の顔を見て話を促した。

、何で復隊したんだろうって」

「今更だ。それについては俺が何度聞いても本当の事を言わなかった。挙句に家出だ。帰ってきたらこってり絞ってやる」

忌々しそうにイザークが返す。

「あと、ホーキンス隊長」

今日は良く聞く名前だな、と思いながら黙ってディアッカの言葉を待つ。

「あの人、全然元気じゃん?あの人が引退する10日くらい前かな?オレらに軍事法廷への出頭命令が来る前。あのとき、本部であの人に捕まってMSのシュミレーションの対戦させられたんだよ」

「それで?結果は」

「散々。オレボロ負け。ホーキンス隊長ってば、高笑いして『ストレス解消終了!』とか言ったあとに、『次は、良い勝負くらいしてくれよ』って言ってさ。てことは、あの人は“次”を考えていたことだろう?それなのに、10日後に突然引退って。変だろう?」

イザークは暫く黙ったあと、「考えるな」と呟く。

「へ?」とディアッカが返すと「考えるな」ともう一度繰り返す。

「けど、変じゃん!」

ディアッカは大人しく頷いてくれない。

「“変”というなら俺のほうこそ変だろう」

イザークの言葉にディアッカは首を傾げた。

「俺は、今この色を着ている。それなのに、ディアッカ。貴様は緑だ」

「そりゃ、オレは脱走の嫌疑があったし。まあ、遠からずって感じだけど」

ディアッカの言葉にイザークは睨む。

「俺だって、民間人の乗っているシャトルを撃ち落している。戦意の無い者を殺しているんだ、たくさん」

「いや、それは知らなかったんだし...け、けど、ヤキン防衛戦のときとか。プラントを守るのに戦果を挙げているだろう?それで、ってことじゃないのか?」

は赤だ。変わらない。あいつの方が戦果を挙げている。知っているだろう?」

「まあ、見てたし...」

そう言ってディアッカは俯いて黙りこんだ。

「それについては、俺だって散々考えた。考えたが、答えが出ない。だから、もう考えないことにしたんだ。迷いは、そのまま死に繋がる。貴様だって分かるだろう、それくらい」

ディアッカは頷いた。

「だから、貴様も迷うな。...俺は、仲間が死んでいく姿を『見慣れた』と言えるほど神経は太くない」

イザークの言葉にディアッカは返す言葉が無い。

今でも月の地球軍との戦闘は繰り返され、たくさんのザフト兵も亡くなっている。

勿論、ジュール隊にも被害が出ている。無傷ではいられない状況だ。

「...ごめん」

ディアッカは呟き、イザークは返さない。分かってくれたのだから、それでいい。









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桜風
09.4.13


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