Like a fairy tale 60





ロドニアにある放棄された様子の研究施設の探索に向かったシンからの通信により、艦を発進させたらしい。

その施設の中でレイの体調が悪くなったというのだ。


施設内の検査をし終わった頃、セイバーが戻ってきた。

アスランとシン、は艦長と副長とともに施設の中へと足を進めた。

「施設の廃棄時についでに自爆に失敗でもしたのかしらとか。なら、何で施設自体壊さなかったの?ああ、目立つか。死体がそう腐敗していないから最近廃棄処分された施設なんだろうね」

独り言を口にするをシンが睨み、「失礼」と返して彼女は足を進めていった。

研究室らしきところで研究ログを見つけた。

艦長がそれを操作する。

その部屋には脳の標本がずらりと並べられている。

「64年7月11廃棄処分、3入所」艦長が読み上げていく。

とアスランはその画面を覗いた。

「この施設の入所記録、と言ったところでしょうか」

が声を掛けると艦長も言いにくそうに頷く。

「連合のエクステンデッド。あなただって聞いているでしょ?」

驚く副長に艦長が告げる。

艦長がログを見ている中で、耳にしたことのある名前を見つけた。“クロト・ブエル”。先日オーブでナタルに聞いたレイダーのパイロット。連合の中では生体CPUという扱いだったらしいが...

「...じゃあ、此処でその研究を進められたんですね。強化人間、エクステンデッドを作るために薬を使ったり、脳を弄ったり。しかし、遺伝子操作を忌み嫌っていても、これでは...」

皮肉っぽくが言った。

遺伝子を操作しているほうがまだましだろう、と。

「戦うだけの人間。ここは、その実験、製造施設ってことよ。私たちコーディネーターに対抗できるように、薬や何かで肉体を改造、強化され、ひたすら戦闘訓練だけを施されて。適応できない、またはついていけない者は容赦なく淘汰されていく。ここは、そういう場所なのよ」

施設内を歩きながら艦長は続けていた。



施設を後にしてとりあえず外に出た。

時折副長が口を押さえて走っていく。

「これまた、物凄いものを見つけちゃったよね」

はコーヒーをアスランの前に置いた。

アスランは視線をに向けて軽く睨む。

「お前な。そんな風に軽く言うな。だって母親なんだろう?子供があんな目にあってたらどうする?」

「そいつを殺す。皆殺し」

間髪入れずに返されてアスランは一瞬言葉を失った。何より、の目は本気だったから。

「ホントにもう。信じられませんよ」

唸るシンにもはコーヒーを渡すが、断られた。

「コーディネーターは自然に逆らった間違った存在とか言っておきながら。自分たちはこれですか!遺伝子弄んのは間違ってて、これはありなんですか!良いんですか!!」

「シン、落ち着きなさい。アスランに訴えても何も変わらないから」

「分かってるよ!けどアンタも、さっきからよくそうやって落ち着いてられるよな!!アレを見てなんとも思わないのかよ!!」

「あら、私がいつ『なんとも思っていない』と言いまして?」

にこりと微笑んで言うにシンは言葉に詰まる。

目が全く笑っていない。

「やめろ、シン。も。落ち着け」

「いったい何なんですか、ブルーコスモスってのは」

まだ憤りが収まらないシンはテーブルを叩きながら吐き捨てていた。

「レイ、もう大丈夫なの?」

テントの傍に来ていたレイの姿を見かけたが声を掛ける。

「ああ、大丈夫だ。もう、心配ない」

そう言って彼はその場を離れる。

「なら、いいけど」とは呟いてコーヒーを口にする。


不意にミネルバから通信が入った。

ガイアが1機で向かってきているという。

MSが外にあったアスランとシンはすぐさま自分のMSに乗り込んだ。

「施設を守るのよ。アスラン、シン」

艦長の指示に2人は声を返して発進した。

「ノルンで待機しておきます」

が声を掛け、艦長は了承した。









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桜風
09.4.20


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