Like a fairy tale 61






インパルスが帰投すると知らせを受けてドックはにわかに慌しくなった。

コックピットから降りてきたシンは誰かを抱えている。

、ガイアの回収のために発進してください」

「了解」

ということば、あれはガイアのパイロットかと納得しながらは指定された地点へと向かった。

爆散させずに倒すようにしていたお陰でパイロットは生きていたのだろう。

はノルンでその機体を抱えてミネルバへと帰投した。

持って帰ったガイアをトレーラーに積んでドックに運び込む。

「やっと、1機ね」

は呟きコックピットで待機をする。

後続の攻撃があるかもしれない。



待機命令が解除され、はノルンから降りた。

艦内はシンが連れて帰った敵軍のパイロットの事で持ちきりだ。

は自室に戻り、やっと先日の戦闘データをまとめることにした。

あのアークエンジェル介入後、手をつけられなかった。

色々と気持ちが落ち着かなかった。

でも、今はもう迷わない。

「イザークは本当に凄いよねぇ」

は呟きながら手を動かす。

』と通信が入った。

返事をするとそれは艦長自らのそれで艦長室へ来るように、とのことだった。

は手を止めて艦長室へと向かう。

ブザーを押して名乗るとドアが開けられた。

「何か」

敬礼をしながら部屋に入ると彼女にファイルを渡される。

見ろということなのだろうと思い、目を向ける。

一瞬思考が止まった。

「これは...?」

「アスランが先日艦を離れたことは、知っているわね」

「独自に捜査したいことがあるから、と伺っております」

の言葉に艦長は頷く。

「そうね。彼はアークエンジェルの行方を捜していたの。あの艦の意向を知りたいと言っていたわ」

なるほど、と思いもう一度写真を見る。

フリーダムのパイロットとオーブの代表。もう一人は見たことがあるが名前が思い出せないということはきっと言葉を交わしたことはない人物だ。

「それで、艦長はこれを私に見せて何を...?」

困惑気味にが返した。

見せただけ、などの一言で終わるはずがない。

「あなたは、これを見てどう思ったかしら?簡潔に」

抽象的に聞かれては少し悩んだ。

「あの、」少し戸惑ってが口を開く。

「ああ、本当に率直に思ったことを口にして構わないわ。何を言っても不敬だとか言わないから」

「では...また馬鹿みたいに悩むんだろうな、と」

「どういう...?」

何だか簡潔過ぎる意見だ。

「写真では、会話の内容が分かりませんのではっきりと言い切れませんが。きっと彼はザフトのままでしょうし。けど、こうやって言葉を交わしてしまえば自分の中に迷いも生じます。彼が、前の大戦の終結時にどこにいたかは、ご存知ですよね」

の言葉に艦長が頷く。

「地球軍を離反したアークエンジェル、ラクス・クラインそしてオーブ。その連合の中にいたわ」

「フリーダムのパイロットと彼は幼馴染だったそうです。それで、フリーダムのパイロットはその前はストライクのパイロットでした。そのストライクと戦うことを彼は避けていました。最後の最後には捕獲。つまりは殺さずに説得でもしようと思っていたのでしょうね。けど、お互いがお互いの友軍を討たれてアスランはやっとストライクを討つ覚悟を決めたそうです。私は、その場に居ませんでしたから聞いた話で申し訳ありませんが...」

の言葉に艦長が首を傾げる。

「アスランが特務隊になるまでは、同じクルーゼ隊だったのでしょ?」

「私、1回撃墜されて1日ですけど艦に戻れなかったことがあるんです。そのときの事なので同じくクルーゼ隊に所属していたイザーク・ジュールから聞いた話になります」

艦長は頷いた。

「アスランは、真面目ですから。どうしようもなく不器用で一本気で。だから、簡単にアークエンジェルのクルーと話をしたくらいであの軍服は脱ぎません。アークエンジェルの考えに賛同したらまずこちらを説得してくるでしょう。それがない、ということは話にならなかったと考えられます。もし、今アスラン・ザラが再びザフトから離反するとお考えでしたら、それは杞憂だと私は思います」

の言葉に艦長は息を吐く。

「そうね。私も、そう思っていたのだけれど。一応、昔から彼を知る人にもそう太鼓判を押しておいて欲しいと思ってあなたを呼んだの。ごめんなさいね、態々こんな話のために」

は首を横に振って敬礼を向けた。

部屋を後にしては溜息を吐く。

「つけられているって気付かなかったんでしょうね...」

それとも、つけたルナマリアが上手だったのか。

別に艦長はあの写真を撮ったのは“誰”とは言っていない。

が、アスランが不在になったタイミングでルナマリアも別命で居なくなっていた。

だから、きっとそうなのだろう。

「けど、ルナマリアも気の毒なことに...」

憧れのパイロットのスパイみたいな真似をしなければならなかったのだから。

気を取り直しては自室へと戻る。

そろそろ出港となるだろう。

だったら、次の出撃までに先の戦闘のデータを纏めて組み込んでおきたい。









Next


桜風
09.4.20


ブラウザを閉じてお戻りください