Like a fairy tale 17





「ねえ、イザーク。現在の心境をちょっと口に出してみて」

に言われてクツクツと肩を震わせていたいザークは

「愉快だ」

と一言言った。

「ひどッ!ちょっとさぁ。私がこんなに困った顔をしているのよ。助けようとかそんなこと思わないわけ?」

が訴えるが、

「だから、愉快だと言ってるんだ」

と返される。

「だから、万年2位なんだよ」

がそう言うと「やかましい。貴様は一々一言多い!」と怒られた。

理不尽だ、と思いながらは頬を膨らませる。

「こちらなんかもお似合いですよ?」

店員に声を掛けられて、一応目を向ければ

「あの、もの凄く動きづらそうなのですが...」

あのラクス・クラインもビックリするのではないかというほどふわふわした感じのドレスでは思わずそう言った。

「そうですか?凄くお似合いと思いますよ。彼氏さんも、そう思いますよね?」

不意に水を向けられたイザークは組んでいた腕を少し緩める。

「ええ、そうですね」

そう言った後、に背を向けてまた笑い出す。

覚えてろよ...

は軽くイザークを睨みながら何とか店員の推薦品をやんわりと断ろうと言葉を選んでいた。



「で、結局どれにするんだ?」

イザークに言われては困った。

目の前にはありとあらゆるデザインのドレスが山と積んである。

「どれ、が良いか分かんない...」

心底困った様子のにイザークは苦笑をして

「じゃあ、これなんてどうだ?」

そう言って1着その山から取り出しだ。

「イザークってばえっちー」

がからかう。

イザークが選んだものはタイトなドレスでボディラインがくっきりと分かる。

「じゃあ、そっちにするか?」

イザークが『そっち』といったのは先ほど店員が勧めたラクスもビックリドレスだ。

「い、イザークが選んでくれたからそれにしようかな」

白々しくそう言う。

店員は「仲が良いんですね。羨ましいです」とか言っているが、とイザークは

微妙...

と口には出さないものの、心の中で思っていた。

ドレスはイザークが買ってやると言って支払った。

ならば、夕飯ぐらい奢らせろとが主張したため、食事に行く事にした。



「別に気にすることないぞ」

イザークがドレスを買ったことを言う。

それは、自分にとっては当たり前だし、そういう教育を受けて育ってきたのだ。

が、

「一般家庭は気にするものなの!」

がそう返す。

の家ではそんな教育は受けていない。

イザークは肩を竦めて溜息を吐いた。

「エザリア様もいらっしゃるんだよね」

が突然問う。

話が飛んだため、一瞬何のことか分からなかったイザークもパーティの話だとわかって頷く。

「ああ、久しぶりにに会うから楽しみにしていた。ただ、その日は評議会があるらしいからな。議会が長引けばパーティの方が先に終わるだろう。カイン殿もいらっしゃるのだろう?」

このパーティは一応親が来てもいいものだ。子供の晴れの舞台でもあるから。

「うーん、どうだろう?軍の関係者が来るところはあまり好きじゃないらしいから」

「何で?古巣だろう?」

「だから、だと思う。前に『面倒くさい』って何かの招待状捨ててたし」

捨てるのか...

しかし、まあ。ザフトに居るパイロットは大抵あのカイン・には憧れを抱いている。だから、この先も大変だろう...

イザークはそんなことを思いながら会話を続ける。

「でも、今回のは流石に招待状は捨てないだろう?」

「捨てないとは思うけど...わかんないね」

そう言っては肩を竦めた。

本当に、大雑把というか、大らかな性格の人だとつくづく思う。




食事を済ませた後、そのまま寮までを送る。

「明日、此処を出るのか?」

「うん。荷物送ったら自分も帰るよ。イザークは?」

「荷物は昨日のうちに送ったから明日の朝帰るつもりだったが...何なら荷造り手伝うぞ」

イザークの言葉には笑って手を振る。

「ああ、いいよ。少しずつ送ってたから。実際はもう殆どない。ありがとう」

の言葉にイザークは頷いた。

「じゃあ、また明後日。ステーションまで迎えに行くからな。待ってろよ」

は頷き、「はーい」と間延びした返事をした。

イザークの眉間に皺が寄ったがそれはすぐに消え、「じゃあな」と声を掛けて自身の寮へと向かって行った。








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桜風
08.1.21


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