Like a fairy tale 71





ミネルバに艦隊司令部から命令が下った。

エンジェルダウン作戦の援護に、とのこと。

その目的を示さないまま、ただ戦局を混乱させるただけのあの艦を沈めるというのが今回の作戦だ。

これは、本国の決定でもある。

とシンがパイロットとしてノルンとインパルスで出撃することになる。


!」

「まだ居たの?」

の言葉にアスランは足を止めた。

「シンはきっとやるわ。あなたが、ストライクを討ったようにね」

「なっ!」とアスランが絶句した。

「だが、フリーダムは。キラは!」

「強いよ。うん、めちゃくちゃ強い。けど、無敵でもないでしょう?隙はある。ノルンには出来なくても、インパルスには出来るのよ。残念ながら。それにシンが気づいているかどうかが問題だけど」

はそう返した。

アスランとすれ違い、そのまま足を進めた。

暫く動けないで居たアスランは艦長室へと向かった。


更衣室からパイロットスーツに着替えたシンが出てきた。レイと目を合わせ自信ありげに頷く。



その存在に気がついた彼が名前を呼ぶ。

はこれから着替える。

「遅くない?」

「遅くない。丁度よ。宿題は?」

「完璧。この戦闘で答えを出すよ」

自信に満ちた笑みを浮かべてシンはブリーフィングルームのソファに腰を下ろした。

更衣室ではパイロットスーツに着替える。

先ほどのシンの瞳を思い出した。

「...まずったかなぁ」

シンに協力したことを少しだけ後悔する。

憎しみに駆られたその心にしたがって何かを討つ。それはオススメできないものだ。

シンにも、その話はした。それでも、彼はフリーダムを討つといった。

「愛情だけではおなかがいっぱいにならないけど、憎しみだけでも満たされないんだけどな...」

は呟く。スーツに着替え終わってロッカーを閉めた。

「アスランは、ここに居たらいけないのに...」

ブリーフィングルームへと足を進めた。


程なく、コンディションレッドが発令された。

とシンはドックへと向かう。

エレベータの扉が閉まる前にアスランがやってきてシンとの名前を呼ぶ。

は溜息を吐き、シンはドアを閉めた。


インパルス、ノルン共に発進した後、攻撃が開始される。

インパルスはまっすぐにフリーダムに向かった。

ノルンはアークエンジェルに向かう。

さて、どこを撃てば一番損害が少ないだろうか...?

今までは地球軍が居たからそっちの方に気をとられているフリをしていたが、今回はそうは行かない。

先ほど、見事にミネルバの攻撃を避けたあの操舵士は先の戦争のときと変わらないのか、相変わらずの腕だ。

突然国際救難チャンネルから艦長の声が聞こえてきた。

アークエンジェルとの話を試みているようだ。

もその間の攻撃は手を止める。

グラディスは投降を呼びかけた。投降すれば、クルーたちの命の保障を約束する、と。

しかし、マリューからの返答はそれを受け入れられないというものだった。

そうだろう。

此処で投降するようだったら最初からこんなわけの分からない、少なくとも今のにはそう思えるその行動は取らない。もっと上手く立ち回れるだけの物は持っているはずだ。

ミネルバが攻撃を再開しないが、他のMS隊が攻撃してきた。ミネルバが着くまでアークエンジェルと戦っていた友軍のMS隊だ。

猛攻撃を受けるアークエンジェルは海へと向かっていく。


インパルスがその機体の性能を生かしてフリーダムを追い詰めていく。

が部屋を後にした後、レイと話した。

何故、ノルンはダメでインパルスならいいか...

決して、がダメでシンならいいと言うわけではないと念を押して出て行った。

「...きっと、これだろう」

そう言ってレイが示す。

フリーダムは武器かメインカメラしか撃たないことを指摘した。

ノルンなら武器を落とされたり、カメラを打たれたらさすがに太刀打ちできない。

しかし、インパルスはスペア、というかコアスプレンダーが生きていれば数回に渡って攻撃を仕掛けられる。

機体が破損しても、それはまだ負けにはならない。

反応速度や他のものはこれである程度解決した。だったら、後はシュミレーションで鍛えていくだけだ。

そうして今日、この場にシンはいる。



「艦長」

がブリッジに通信を入れた。アークエンジェルはもう海に出る。どうするのか、と。

「...攻撃を再開。タンホイザー起動。目標、アークエンジェル。、射線から離れて」

がアークエンジェルのエンジンのひとつを撃った。

推進力が落ちる。

そして、そのままアークエンジェルは海へと沈んでいった。

潜行しているその最中に、ミネルバの主砲が放たれる。

「間に合うか...」

は呟いた。

先ほどの攻撃で無理やり高度を落とした。乱暴だが、あの操舵士なら姿勢制御を何とか保ってくれるのではないかという淡い期待を込めてのそれだった。

そして、海で大きな爆発が起こる。

ノルンは上空へと逃げた。

これだけ大きな爆発は...

カメラを向けたが水蒸気によってそれが見えない。

艦が沈んだか...?フリーダムは..居ない。残っていたのは爆発の衝撃によって大きく破損したインパルスがかろうじてその場で浮いていた。

「シン」

が交信を試みる。シンの返事は無い。

しかし、墜ちていないというならパイロットは生きている証拠だ。

「艦長、インパルスを回収して帰投します」

通信を入れてはインパルスに向かった。

海中で爆発が起きる。

先ほどの爆発はフリーダムのものだったのだろう。

そして、今回は...

「シン」

もう一度通信を入れる。

「大丈夫、自分で帰れる」

そう返したシンはそのままミネルバへと向かった。

もそれに続く。

一度振り返った。あの爆発は、意外と小さくなかったか?

そんな疑問を抱きながら再びミネルバへと向かう。

戻ったらアスランがまた何か言い出してシンと揉めるのだろう。

憂鬱に思いながら溜息を吐いた。









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桜風
09.5.11


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