| ミネルバに帰投した。 メカニックに言って補給と整備を頼む。 避けたつもりだが、色々と掠って装甲が溶けている。 「...ま、ノルンを評価してくれているって事かしら?」 シンにはビームを向けなかった。 それなのに、には遠慮なく向けられたビーム砲。 しかし、その結果がこれだった。 「“光栄”、とか言ってらんないわよね」 は遠い目をして呟く。 ちなみに、同じブリーフィングルームに居たルナマリアにはの呟きの内容までは聞こえずにただ、彼女がブツブツ言っているように聞こえて不気味に思っていた。 シンとレイが見事な連携でフリーダムを追い詰める。ノルンと戦ったことが多少なりとも影響しているのかもしれない、フリーダムはその2機に動きを鈍らされる。 シンがフリーダムをロックしたその瞬間、 「やめろぉーーー!!!」 デスティニーのコックピットに響き渡ったのはアスランの声だった。 「アスラン...?何で、そんな...」 が殺したはずだ。彼女もそう言っていた。 それなのに、何故彼は目の前にいるんだ...? アスランの言葉で思考が停止する。停止ではない、変更か... 自分の願っていたもの、思っていたものを思い出し、動けなくなる。 が、レジェンドがそれを中断させる。 デスティニーとジャスティスの間に割り込み、2人の会話を中断させる。 しかし、そのレジェンドをフリーダムが追いかけ、その2機から離す。 ジャスティストデスティニー、フリーダムとレジェンド。それぞれが交戦する中、デスティニーの腕がジャスティスに切断された。 「シン!」 映像を見ていたルナマリアが声をあげる。 その後方で見ていたの口角は小さく上がっていた。 何とか、彼は運に見放されずに済んだようだ。動きで分かる。あれは、アスランだ。 「メイリンのお陰かもね」 の呟きはルナマリアの耳には届いていない。彼女はモニタを見て心配そうな表情を浮かべていた。 ミネルバのすぐ傍で大きな爆発がある。 海中からだ。 旗艦が落とされたか? ミネルバは潜行できないが、たしか、アークエンジェルは潜れる。 火力もあるし、勿論腕もある。 落とされたかもしれない。 ブリッジから突然発進命令が出た。 ノルンはまだ補給整備中で出られない。 島の裏側からシャトルが発射したそうで、それはジブリールの逃亡機の可能性が高いという。 さすがのも言葉を失った。 彼を宇宙には行かせたくない。それは、あの逃亡の情報を耳にしたときから思っていたことだ。 きっと碌なことにならない。その思いが警鐘を鳴らす。 「まだ整備は終わらない!?」 珍しくが整備をせかす。 どんなときでも万全にしてもらいたいからせかすことはしなかった。 けど、今は時間が無い。 「ノルン、整備が完了しました」 はコックピットへと滑り込んだ。 しかし、 「、発進はないわ。今、信号弾を打った。一時撤退よ」 艦長が通信を入れる。 「どういう...」 「シャトルには、もう届かない。形成はこちらが不利。これ以上の戦闘はもう無意味よ」 はしばし呆然として、ヘルメットを脱いだ。 ダン、と目の前の計器に拳を打ち付ける。 「くそっ!」 この無力感はもう味わいたくなかったというのに... は歯を食いしばり、もう一度呟いた。 「くそっ...!!」 暫くはノルンから出てこなかった。 艦長に呼び出された。 「アスランが、生きていたそうね」 先ほどの戦闘でシンとレイが対峙した。その報告を受けたのだろう。 「そう、ですか...」 「どうして、生きていたのかしら?」 「分かりません」 「あなたが、あのグフを討ったとき、アスランを逃がしたということはないの?」 艦長が鋭い視線をに向けて詰問した。 部屋の中には艦長とだけだ。こういうときは、副長も同席するものだろうが、席を外させているようだ。 「どうやって、あの海のど真ん中で逃がせるのですか?」 が質問で返す。 「では、あなたは命令に背いていないというのね?議長の、本部の命令に。その軍服に賭けて誓えるわね?」 は頷いた。 「はい、背いていません」 そう、背いていない。屁理屈だといわれるだろうが、の受けた命令はあの『逃亡犯の乗ったグフの撃墜』だ。 は、言われたとおりブラックボックスも残らないようにグフを撃墜した。 命令に背いたとは言わせないし、言わないと思う。 暫く艦長と睨み合っていたが、艦長が息を吐いた。 「そう...ならいいわ。あなたが撃墜した上で彼が生きていたというなら、よほどの強運の持ち主だったということでしょうし」 「もういいわ」、といわれては敬礼をして踵を返した。 そろそろ、限界かも... 俯きながらは唇を噛む。 彼らは、きっとミネルバが宇宙に上がるまで動くことはない。 早く、そらに上がらなければ... あせっても何の力も無いはただ歯がゆさだけを感じていた。 |
桜風
09.6.1
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