| ザフトによる中継基地の制圧は速やかに行われた。 地球軍としても司令部が落ちたため、抵抗もあまり出来なかったのだろう。 ミネルバと月艦隊に休息をとらせるように指示が出た。 とりあえず、一息つける。 はノルンへと向かった。 「休めるって言うのに、何でノルンに行くのかしら?」 の背中を見つめながらルナマリアは首を傾げていた。 「じゃ、そろそろ動くか?」 そう言ってホーキンスが促した。しかし、部屋を出る前に入ってきた情報に足を止める。 「どうしたの?」 フレイが聞く。 「隊長、早くしないと。行動は迅速にってね」 ラスティが声を掛けた。 「うーん...」 あごに手を当てたまま唸っていた。 「お父さん!」 フレイが呼ぶ。 「お前ら、先にシャトルに乗っててくれ」 「はあ!?」と声を上げたのはフレイとラスティ。 「どうしてよ!」 「時間、ないでしょう?何を言い出すんですか」 「何か、あるのですか?」 ノルンを抱いているエザリアが問う。 「ま、路頭に迷った子供がね。勝手に大人に利用されて、そのあとは使い捨てられそうな奴だ。放っておけないだろう、オレの性格的に」 「...オレも行こう」 一連のホーキンスの言葉を聞いていただけのカインが言う。 「カインさん!」 フレイが声を上げた。 「仕方ない。こいつの性分だ。オレが一緒に行った方が早く事は済むだろうし。オレとホーキンスで様子を見てくる。無理はしないし、させない。心配するな」 「わ、私も行くわ!」 フレイが一歩進み出る。 「お前、シャトルに乗ってろよ。時間になったらそのまま発進したらいいし。そうなったらオレらもなんか考えてどうにかするし」 「ダメよ、お父さんは時間にだらしないもの」 「“おおらか”、って言うんだよ」 「それに、カインさんにご迷惑を掛けかねないわ」 「今まで十分に掛けられたからもう慣れてるんだが...」 そう呟くカインに「お前が言うな!」とホーキンスが返す。 「今回の作戦、の動きが分からないんだから余裕を持って行動していないと手遅れになるんでしょう?!」 フレイがそう言って詰め寄る。 「じゃあ、ラスティも護衛につけば良いじゃないですか。それなら、ホーキンス隊長も安心でしょう?」 ニコルが声を掛ける。 「は!?」と驚くラスティ。 「お前、射撃の腕が落ちたって。だから、護衛はオレに任せるって...」 「まだこの都市の中だったら味方もいますし。此処を離れたときの話をしていたんですよ、この前は。エザリア様は、どうですか?」 ニコルが話を振る。 「そうね、フレイさんの事が心配ですし。だからと言って、私たちと共にシャトルに行くように言っても聞きそうに無いから、やはり、護衛は居たほうが良いでしょうね」 「じゃあ、僕たちは先にシャトルに向かっておきますね」 そう締めくくってニコルはホーキンスの意見を聞くことなくエザリアと共にポートへと向かって行った。 アークエンジェルは正式にオーブ軍となった。 オーブを出て月面都市コペルニクスで情報収集の任務を行っていた。 が、そういうと聞こえは良いが、結局ラクスの買い物に付き合っているだけの状態になっていた。 そんな中、ミーアのハロが手紙を持ってきた。 その内容は助けを求めるものだった。 アスランは罠だと主張するが、ラクスは自分に助けを求めているのだから、と指定された場所へと向かうことにした。 ここでもアスランは何だか不憫である上に、貧乏くじを引いた気分を味わっていた。 指定された劇場へと向かう。 そこには、ミーアが居た。 アスランは彼女に声を掛けて、銃を向ける。 これが、最後のチャンスだ、と。 ラクスが語りかける。 しかし、ミーアは自分がラクスだと主張する。 名前が欲しいなら、上げる。姿も。それでも、自分はミーアとは違う人間だ。それは変わらない。 ラクスはそう言った。 「わたくしたちは、誰も。自分以外の誰にもなれないのです。でも、だからわたくしもあなたもいるのでしょう」 ラクスの語りかけに、ミーアは涙を零した。 ラクスに向かって発砲がある。 ラクスを庇ってアスランがキラに渡し、ミーアも壁の裏に連れて銃弾から守る。 「何人だ」 「サラしか分かんない!」 ミーアの返事に舌打ちをしてアスランは劇場へと飛び出した。 銃撃戦が展開される。 アスランは次々に刺客の急所を狙い撃ち、倒していく。 目の前で人が死んでいく様に目を逸らしていたミーアはそれを見届けているラクスに気づく。 こらが、ラクス・クラインだ。 アークエンジェルから暁がやってきた。 ラクスたちを連れて先に戻ることになり、手を差し伸べる。 ラクスは先に暁の手に乗った。 そして、キラに手を差し伸べられたミーアはその手を取るのを躊躇っていた。 不意に、ミーアの目に入った光景がある。 あのサラがラクスに銃を向けていた。彼女は、他の刺客たちと違ってまだ生きていた。 |
桜風
09.6.22
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