| ミネルバはステーションワンに向かった。 アークエンジェルとエターナルが交戦中でミネルバはその支援に向かうように命令が入ったのだ。 今回、シンとレイは議長に呼び出されてメサイヤに出ている。 残った機体は、のノルンとルナマリアのインパルスだ。 「...上手く動けば援護できる」 コックピットに入って口の中でそう呟く。 だってあのレクイエムは全く要らないものだ。 「ノルン、発進どうぞ」 「・。ノルン、出ます!」 は発進し、前線へと向かった。 「アー、アー。マイクテス、マイクテス」 国際オープンチャンネルの回線からそんな声が聞こえ、は思わず引き金を引く手を止めた。 「、聞こえるか。聞こえているな。お前が落ちるはずないし。お前の運命の女神の安全は確保したぜ。お前は自由だ」 ホーキンスのその言葉を聞いてはすぐさまその戦域を脱してそのままステーションワンへと向かった。 「はいはい。以外の人物は何のことか分からないよな。知りたいよな。知る権利はあるな。だから、モニタを見れるやつは見ろ。手が離せないやつは音声だけでも聞いてみろ」 ホーキンスが言い終わってすぐに全てのモニタがジャックされた。 ドアをノックして開けるとそこにはギルバート・デュランダルが居た。 「お呼びだてして申し訳ない。どうぞ、お座りくださいホーキンス隊長」 彼はそう言ってホーキンスに座るように促す。 この映像はホーキンスが撮ったものらしい。カメラの位置からそう推測される。 「いや、オレはこう見えて忙しいんでね。手短に頼む」 「そうですか。そういえば、カナーバ元議長はお元気ですかな?」 その言葉の含みから考えたホーキンスはゆっくりと口を開いた。 「アイリーンはカナーバ家が守ってくれる。オレに対する脅しにはならんぞ。オレが離れていてもあいつを守れる家を探した末に、カナーバ家と決めたのだからな」 「はは、脅しなど...では、ご息女は?ナチュラルの、父親がブルーコスモスだった彼女は、お元気ですか」 「残念だが、今はオレが父親で。オレはブルーコスモスじゃない。ついでに、フレイを人質ってのもいただけないぞ。カインがついてくれている。そんなくだらない話をするためにオレを呼び出したのか?議長ってのは案外暇人なんだな」 少しだけ、勝ち誇ったような声でそういう。 「おやおや。まあ、私があなたと話したいのはこんなことではないのですよ。軍事裁判をね。行おうかと」 彼の言葉に初めてホーキンスがまともに反応した。 映像を見ながらイザークは「まさか、」と呟く。 信じられないと思いながらも話は進んで行き、そして、ホーキンスがまた驚いた。別の人物が現れたようだ。 「ホーキンス隊長、引退してください」 その人物を見てイザークは呆然とした。 だ。 「イザーク!」 ディアッカも驚いてイザークに顔を向けた。 イザークは眉間に皺を寄せてじっとモニタを見ている。 そのまま進む話を聞いて、そして、納得した。 さっきのホーキンスの言葉。復隊すると言ったの行動。そして、自分たちの処遇。 「クソッ!何故俺に言わないんだ、あいつは!!いつもいつも独りで何でも背負いおってぇ!!」 悔しくて、そう叫んだ。 ミネルバの中でもどうやら孤立をしていたらしい。 けど、ミネルバの中だけではない。ザフトの中でたったひとり議長と戦っていたのだ。 褒章を要らないといっていたわけ。 自分に復隊の理由を言わなかったわけ。 そして、娘の写真を議長から受け取っていたわけ。全ての答えがこの映像にあった。 イザークは悔しそうに顔をゆがめた。 それなのに、自分はまだここに居なければならない。 部下を指揮する責任がある。彼らの命を預かっている重みがある。 「...ディアッカ。貴様は行け」 あの映像を見てディアッカが何を考えているのかくらいは分かる。 議長のデスティニープランの宣言を聞いて、そしてその後に行われたレクイエムのアルザッヘルへ向けられた攻撃は、簡単に受け入れられるものではない。 あの瞬間から、議長への不審は確かなものに変わっていた。イザークも、ディアッカも。 イザークが搾り出すように言ったこの言葉にディアッカは肩を竦めた。 「いやだね」 それを聞いてイザークが驚いたように振り返る。 「...にイザークの事任されてるんだ。簡単にそれを放り出せないっての」 イザークはディアッカのその言葉にすら悔しそうな表情を浮かべた。 ミネルバのブリッジで映像を見ていたグラディスは思わず立ち上がった。 議長は、に対して人質を取っていた。 彼女の、愛しい娘を。娘の命を盾にされれば、母親は従うしかない。例えそれが意に沿わないことでも。 「何てことを...!」 絶望に近いその呟きは、静まり返ったブリッジに響き渡った。 そして、納得した。 が議長から娘の写真を受け取っていたこと。 FAITHを固辞していたこと。 イザークは議長から写真を受け取っていないといっていた。不思議に思ったが、イザークが言った言葉に何となく納得した。 だが、実際はそうではなかった。 イザークもの復隊の理由を知らされていないといっていた。 それは、本当だろう。 艦から離れていく白銀色の光を見つめ、ノルンとの回線を開くように指示をした。 |
桜風
09.7.6
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