| メサイヤに向かう途中、シャトルを発見した。 「こちら、・。ミネルバクルーですね。応答願います」 こんな戦闘のど真ん中で移動するのは危険すぎる。 「!?」 帰ってきたのは副長の声だった。 「ミネルバが落ちたため、艦長からの退艦命令で我々は脱出した」 「では、艦長は?」 「艦長は...おられない」 ふと見上げるとジャスティスとデスティニーの戦闘が繰り広げられていた。 「ちょっと、待っていてください」 はそう言って上空へと上がった。 「シン、やめなさい」 「!あんたも..アンタも裏切った!!アンタまで何故!?」 そう言ってシンがに向かっていく。 「やめろ、シン!」 アスランが止めるが、はデスティニーの頭部とエンジンを撃ってアームを両方とも切り落とした。 「あなたの未来は、本当にあんな希望もないものでいいの?人に勝手に適正だとか決められて、それで幸せになれるの?本当に?」 落ちていくデスティニーを抱えて地面にそっと下ろす。 「アスラン、ジェネシス壊してきてね」 軽くそう通信を入れてミネルバクルーの乗るシャトルへと戻っていった。 「どちらまで?」 戻ってきた瞬間が聞いた。 「ゴンドワナ、だが...」 は息を吐く。 そうだよな...ミネルバクルーはザフトだもんな... 「近くまで送りましょう。ちょっと雑に扱いますけど、我慢してください」 がそう言ってシャトルを抱え、ゴンドワナに向かって進路を取った。 「何、簡単に楽になろうとしてんだよ。クソったれ!!」 響く声に全員が振り返った。 メサイヤの司令室でギルバート・デュランダルがタリア・グラディスに抱えられている。彼の胸からは血が流れていた。 「やあ、ホーキンス隊長」 「ふざけんな。お前のお陰で“隊長”じゃないだろう、今は。ったく、一発ぶん殴って、ついでにの前に連れてきて蹴っ飛ばさせてやろうと思ったのに...」 睨みつけながらホーキンスが言った。一歩一歩デュランダルに近づく。 「ホーキンス、隊長...」 呆然と呟くグラディスにホーキンスが苦笑した。 「ミネルバのクルーはが拾った。たぶん、ゴンドワナの付近まで運んでるだろう。心配すんな。しっかし、その馬鹿のどこがいいんだか...」 ものすごく盛大に溜息を吐きながらホーキンスが言う。 困ったように笑ったグラディスが「ご迷惑を、おかけします」と頭を下げた。 「迷惑ついでに、ホーキンス隊長」とデュランダルが言う。 「何だよ」 吐き捨てるようにホーキンスが返した。本当に、もう何も出来ないのがむかつく。 「レイを、お願いできませんか」 その言葉に泣いていたレイが顔を上げる。 「レイ?お前の子だろう?お前が最後まで親をするのが義務だ、馬鹿」 「はは。見ての通り、もうそれは出来ないようなのですよ...ホーキンス隊長。レイの、テロメアは短いんです」 「...クルーゼと同じじゃねぇか」 ホーキンスの言葉にデュランダルが驚く。 「おや、ご存知で?」 「いや、お前の事調べてて偶然知ったんだ。じゃあ、あいつも?」 そう言ってレイを振り返る。 レイは怯えたようにホーキンスを見ていた。 「...お前、名前は?」 ホーキンスがレイに近づきながら言葉を掛ける。 デュランダルに背を向けているが全く気にしない。 レイが応えないともう一度ホーキンスが「名前、聞いてるんだけど?」と声を掛けながら膝をつく。 「レイ・ザ・バレル」 そう返したレイにホーキンスは「オレは、ヴァン・ホーキンスだ」と言って笑った。 「レイ、この先の事はお前が決めることだ。デュランダルと一緒に死にたいと言うのなら、オレは止めない。が、まだ生きてみようと思うのなら出て来い。この要塞が爆発する寸前まで待っててやるから」 くしゃりとレイの頭を撫でてホーキンスは立ち上がる。 「ほら、お前らももう行くぞ」 そう言って司令室に居るキラとアスランを促す。 「キラ、ヤマト...ラミアス艦長に伝えて。子供が居るの。男の子よ。『いつか会ってやってね』と」 グラディスがそう言うと「分かりました」とキラは頷き、背を向ける。 「レイ、行きなさい」 グラディスが言う。 驚いたようにレイが顔を歪めた。 「あなたにも、明日はあるのよ」 「レイ。先に行って待っているよ。だから、君はもう少しゆっくりしてきたまえ」 「ギル...」 「さあ!行きなさい。私のもうひとりの息子。...頑張ってね。あなたにも、ちゃんと未来はあるのよ」 グラディスに促されてレイは立ち上がる。 一度振り返るとデュランダルは頷いた。 レイは駆けていった。 メサイヤが落ちていく。 「ホーキンス隊長、もう...!」 アスランが脱出を促した。 「オレに構うな!お前は先に出てろ!!」 そう話していると人影が現れた。 ホーキンスが手を伸ばす。 レイはそれを取った。 「早く乗れ」と急かしてテュールに2人で乗り込む。 ホーキンスが発進したと同時にメサイヤは完全に崩れ落ちた。 「もうちょっとごたごたするからゆっくり話は出来ないが、あとでちゃんと話しをしような」 ホーキンスが振り返って声を掛ける。 「はい」とレイは静かに頷いた。 |
桜風
09.7.13
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