| シンから連絡があり、ディアッカがイザークの指示通りシャトルでやってきた。 その知らせを受けてイザークはを抱えてドックへと向かう。 「オレがMSに乗って帰ろうか?」 ディアッカが聞くが、「いや、いい。頼んだぞ」と返してイザークはグフへと向かった。 「イザーク」とグフにブリッジから通信が入る。 イザークは目を丸くした。 相手は、ジョン・だった。 「あなたが、艦長だったんですか?」 「ああ、お前とにボロボロにされてザフトに居られなくなったオレがこの艦の艦長だ。ま、下手なことは出来んさ。先代が目を光らせているからな」 そう苦笑した。 「国防委員長に伝えてくれ。予定通りに動く、と」 イザークは首を傾げた。 「国防委員長閣下に、ですか?」 「本部に戻れば言葉の意味も理解できる」 そう素っ気無く返されてそのまま通信も切られた。 イザークは首を傾げて先にユグドラシルからノルンを連れて出た。置いてきたらが寂しがるに決まっている。 シャトルに一緒に乗り込んだシンたちはを心配そうに見ている。 それを見てディアッカは苦笑した。 相変わらず人気者だな... ボルテールへと戻り、本部へと向かった。 ボルテールに帰ってすぐにブリッジへと向かう。 殆ど放置していたから艦の状況を確認しておかなければならない。 「すまない、遅くなった」 「いいえ、艦の状況は殆ど被害がありません。オレンジのザクとグフの支援がありましたし」 そういえば、あの2人はどこに居るのだろうか。 突然やって来て援護をしていなくなった。自隊に戻れたのだろうか。 「・の容態は如何なんです?」 不意に艦長に聞かれてイザークは言葉に詰まったが 「寝ているだけだ。体に負担を掛けすぎだと診断されたが、心配するほどじゃない」 と返して自室に戻る旨を伝えてブリッジを後にした。 「本部から入電です。ジュール隊長は本部に戻り次第国防委員長執務室に出頭、とのことです」 オペレーターが通信を入れる。 「了解した」 イザークは椅子に深く背を預けて息を吐いた。 クルーは何としても守らなければならない。 本部に戻り、命令どおりに執務室に向かった。 ボルテールを出る前にディアッカが心配そうに自分を見ていたことを思い出す。 あいつは俺の保護者か... 思わず笑みが零れた。 ブザーを鳴らして「ジュール隊隊長、イザーク・ジュール。出頭いたしました」と声を掛けた。 「入れ」という声に聞き覚えがあり、首を傾げたが敬礼をしながら入室してイザークは固まった。 「面白いな、お前...」 ホーキンスがしみじみと言った。 国防委員長の椅子に座っているのは、カイン・だった。 先ほどジョンの言っていたことがやっと理解できた。 「あ、あの...」 「つい、数時間前に就任したんだよ。臨時だけどな」 面倒くさそうにカインが言う。 「とりあえず、ジュール隊の離反は白紙だ。アレは、命令としておかしいしな。オレは認めん。あと、は?」 「あの戦闘後、気を失いました」 その言葉にホーキンスは驚いたが、 「ま、そうだろうな。走りすぎだ。じゃあ、目を覚ましたらエターナルに行けと伝えてくれ」 「エターナル、ですか?私が行っても...」 「ばーか。隊長がそんなほいほい抜けられるかっての。そんな難しいことじゃないし、エターナルにはこの付近に停泊してもらっている。アスランと、えー、と。メイリン・ホーク?をちょっと連れてきてもらうだけだ」 ホーキンスの言葉にイザークが驚く。 「アスラン、ですか?!」 「まあ、前の戦争と同じ轍を踏まんようにな」 カインがそういう。 部屋のブザーが鳴った。 「ミネルバ副長アーサー・トラインです。出頭いたしました」 そう言って人が入ってくる。 「ああ?!」と声を上げて中の3人に驚きの表情を浮かべた。 「ミネルバ副長、だな。艦長は戦死を確認した。そこで、ミネルバクルーの事は当分副長にそのまま任せたい。ただし、一人転属だ」 「...・ですか?」 アーサーが言う。 その言葉にホーキンスは目を丸くし、カインは俯いて口角を上げる。 「中々良い勘だな。まあ、そうだ。とりあえず、ミネルバクルーは本部に着いてもらう。いいな。詳しいことは追って通達する」 「了解しました」とアーサーは敬礼を向ける。 イザークは呆けていたが、はっとして同じく敬礼をした。 「の辞令はジュール隊長の端末に送っておく。目を覚ましたら突きつけてやれ」 カインはそう言って笑う。 イザークは頷いた。 「今のところ、以上だ。色々とごたごたしているが、落ち着いて対処するように。ああ、ジュール隊が預かっているパイロット3人は一応ミネルバに返してくれ。じゃ、もういいぞ」 カインの言葉に返事をして2人は部屋を後にする。 が、イザークは一度足を止めた。 「ユグドラシル艦長から、言伝です。『予定通り動く』だそうです」 「了解した」 カインの返事を聞いてイザークは改めて敬礼をして部屋を後にした。 が目を覚ますとそこは知らない天井だった。 体を起こそうとすると物凄く重く感じる。何だ、これ...? 「ああ、目が覚めましたか」 ドクターが声を掛けてきた。 脈を診たりと簡単な診断をして「もう大丈夫そうですね」と声を掛けた。 「隊長が、お呼びですよ」 まだはっきりと覚醒していない頭で頷いては医務室を後にした。 「...ナスカ級?」 数年前、過ごしていた艦の構造を思い出しながら隊長室に向かった。 ブザーを押して「・、出頭いたしました」と声を掛けて部屋に入る。 「もう大丈夫なのか」 その声で完全にの頭は覚醒して回れ右をした。 だが、「おい、こら。待て!」と言われて足を止めた。 「えーと、ボルテール?」 「そうだ。お前は転属してこの艦の所属になったからな」 は首を傾げた。何だ、それは? イザークはカインに言われたとおりに辞令をの目の前に突きつけた。 たしかに、・の転属が命じられている。 「で、さっきの。もう大丈夫なのか?」 「目までバッチリ覚めました」 の言葉にイザークは溜息を吐いた。 「国防委員長閣下からの命令だ。エターナルに居るアスラン・ザラとメイリン・ホークを本部に連れて来いとの事だ。シャトルで行けよ」 「...ここはどこですか?」 「本部のステーションだ。第5区」 「了解しました。エターナルは...」 「付近に停泊している。これがデータだ」 そう言ってにディスクを渡す。 は敬礼をして部屋を後にしようとした。 が、一度振り返る。 「大変ご心配をおかけしました」 そう言ってドアから出て行った。 「...それは現在進行形だ」 閉まったドアに向かってイザークは呟いた。 |
桜風
09.7.20
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