| アスランとメイリンを連れてミネルバクルーが居るという区域に向かった。 「そういえば、私も挨拶してないんだよね」 メイリンと話しながらが言う。 彼女の言葉にメイリンは驚いたが、そういえば、さっきまで寝ていたとか言っていたことを思い出す。 第8区に着くと、見た顔が増えてくる。 メイリンを見つけてヴィーノが駆け寄ってきた。 「メイリン!」 その声に周囲が反応する。 少ししたらルナマリアも駆けてきた。 何も言わずにメイリンを抱き締める。 暫く2人は硬く抱き合い、ルナマリアがメイリンを引き剥がす。 「馬鹿!」 短くそう言った。 メイリンは目に涙を溜めてまたルナマリアに抱きついた。 「アスラン!」 シンが寄ってくる。 「怪我、大丈夫か?」 アスランが声を掛けた。 その言葉で少し気持ちが楽になったのか、シンはアスランと話し始めた。 「ああ、レイ」 近くに居たレイを見つけた。 「...」 何やら後ろめたそうにレイがの名を呼ぶ。 「さっき国防委員長の執務室でレイに伝言頼まれたの。本日2100に国防副委員長室に来るように。遅刻は5分まで。もし、今回のこの機会を逃したら当分話をするのは無理だろうって」 レイは困惑しながらも復唱した。 「国防副委員長、って...」 「かの有名なヴァン・ホーキンスさん。今は“臨時”らしいけどね」 そう言ってが笑う。 「...そう、だったのか」 レイは目を丸くしていた。 そして、また俯く。 「どしたの?」 が顔を覗きこむと彼は苦しそうに顔を歪めていた。 「ごめん」 突然謝られては困る。 「いや、意味分かんない...」 「オレが、ギルに進言したんだ。ジュール隊長の捕縛」 言われて納得した。 「別に、いいんじゃない?」 の言葉にレイが顔を上げる。 「私、イザーク守ってザフト全滅させる覚悟あったし」 の言葉にレイが目を丸くした。 「全滅...?」 「そ。悪いけど、私の中で優先順位ってのは決まってるからさ。イザークの上にザフト軍はいないもの。ミネルバに居たときのあなたと一緒。議長が一番、以下どうでも良いだったでしょ?」 の言葉にレイは俯き、視線を逸らした。 「いいじゃん、もう。終わったことだし。イザークもそれで口やかましく文句言わないよ」 はそう言ってレイの頭をくしゃくしゃっと撫でた。 アスランはに声を掛けてひとりボルテールに向かった。 ナスカ級の艦の中は懐かしく、隊長室に行くのにわざとゆっくりと歩く。 ブザーを押すと「入れ、あいてる」と返事があり、首を傾げながら隊長室に入った。 ブザーが鳴ったので、ディアッカが書類を持ってきたのだと思って声を掛けた。 「適当においておけ」 そう言ったが返事が無い。 顔を上げるとディアッカではない。アスランが居た。 「...なんで貴様がここに居る!?」 「いや、入れって...」 確かに言ったが、あれはアスランに対してではなく。 そう思ったが、言ったことに変わりないためイザークは息を吐いた。 「ぼさっと立ってると邪魔だ。座ったらどうだ?」 そう言って自分は立ち上がる。 隊長室はコーヒーを淹れられる。 休憩がてらにコーヒーを飲むことにした。仕方ないので、ついでにアスランの分も淹れてやろう。 隊長室に置いてあるソファに腰掛けていたアスランの前にカップが置かれる。 驚いてアスランは顔を上げた。 イザークはその前に座る。 「で、態々本部からボルテールまでやって来て。何の用だ?」 コーヒーを一口飲む。 「いや、特には。ただ、せっかくだから話がしたいと思って...」 「話、ね...ノルンを傷つけたな」 アスランは眉間に皺を寄せる。 どっちのノルンだ? 「あ。言い忘れていた。物凄く今更だけど、おめでとう」 イザークの眉間に皺が寄る。 「結婚と出産。子供が居たのは、初耳だったぞ」 「...は言わなかったのか?」 アスランは苦笑しながら頷く。 「議長がに写真を渡して。それを見て知ったんだ」 イザークは大仰に溜息を吐いた。 「ディオキアか?」 「知ってるのか?」 「まあ、グラディス艦長から聞いたんだ。お陰でがおかしなことになった。全く...」 溜息を吐く。 よくよく考えれば、あのからの手紙はディオキアからだ。ハイネ・ヴェステンフルスが地球に降りたのはそれくらいだった。 もちろん、プラントに戻ってきたのも。 それから、アスランはポツポツとミネルバでのことを話し出した。 何でこんなことに時間を割いているのだろう、とイザークは自分が不思議でしょうがなかったが、休憩するのに手持ち無沙汰になるからと何だか自分に言い訳をしているようなことを思い浮かべながらアスランの話を聞いた。 「は、最初からオレがザフトに戻ったのを良く思っていなかったようなんだ」 まあ、そうだろうな。 イザークはそう思った。 先の戦争で英雄と呼ばれた2人が揃うなんて、議長にとっては良い演出だ。 まあ、自分もそれを勧めてしまったのだが... しかし、議長の腹の中を全く疑わなかった自分やアスランにそこまで深読みしろなんていうのは無理な注文だったはずだ。 「ジブラルタルで、オレがザフトを離反したとき。が手を貸してくれた。いや、アレは手を貸したというのか...?」 殆ど運任せの話が進められた気がする。 そうだ、に文句を言わないと。 イザークに言うと、彼は鼻を鳴らした。 「はちゃんと手伝っただろうが。あいつの大切にしているノルンを傷つけてまで、お前を逃す道を作ったんだ。その先で死んだら貴様の運がなかっただけだ。それだけのことだろう」 相変わらずには甘いらしい。 「まあ、そうだな。けど、1回くらい文句は言っても良いだろう?」 アスランが言うとイザークは目を眇めた。 「ま、せいぜい頑張れ」 イザークの言葉の意味が分からずにアスランは首を傾げる。 しかし、それについてはその日のうちにその意味は分かった。 アスランとイザークが話していると通信を告げるアラームが鳴る。 イザークが出ると 「・です。アスラン居ますよね。もう帰るぞとお伝えいただけますか。今、ボルテールのドックです」 「...分かった。あと、敬語はやめろ。気持ち悪いし、何か怒っているのかと思うだろうが」 苦々しく言うイザークには笑いながら「はーい」と返して通信を切った。 「聞いての通りだ」 「了解。ありがとう」 アスランは空になったカップを置いて立ち上がる。 「じゃあ、また」と言って部屋を後にしていった。 イザークは自分のカップも空にしてアスランの使用したものと共に流しに持っていって洗った。 ドックでアスランを待っているは彼の姿を目にして先にシャトルに乗り込む。 「、さっきイザークと話していて思い出したんだけど」とアスランが言うからは続きを促した。 「死に掛けたぞ。あのジブラルタルでは」 「ああ、うん。ごめん」 が軽く言う。 まだ文句を募ろうと思ったが、何だか無駄なような気がしてきた。 そんな中、イザークの言葉を思い出した。 「ま、せいぜい頑張れ」とイザークは言った。 もしかして、このことか? 何を言っても飄々と流す。イザークもそれに結構苦労していたことを思い出す。 を見てアスランは笑った。 そんなアスランには奇妙なものを見る目を向ける。 「...何?」 「いいや。そうだな。ディアッカの言っていたとおり、いい組み合わせだ」 「は?」とは眉間に皺を寄せながらアスランに聞き返す。 アスランは「何でもない」と返してそのまま話を切り上げた。 「ふーん」と少し煮え切らないといった感じでは返してそのままエターナルへと進路を取った。 |
桜風
09.7.27
ブラウザを閉じてお戻りください