Like a fairy tale 106





オーブに帰国したエターナルとアークエンジェルは歓迎されていた。

「居心地悪いね...」

が呟く。

彼女は先ほど泣いたため、目が赤くなってる。


・ジュールさん」

声を掛けて振り返る。オーブの軍服を着ているアーノルド・ノイマンがいた。

「あれ?ノイマンさんってオーブ軍だったんですか?」

「まあ、そうだな。先ほど艦長から先に家に戻っているようにと言われてね。つまりは、君たちを案内しろと言うことだけどね」

「ちょっと着替えてくるから待っててくれ」と言い置いてノイマンは姿を消した。

すぐに戻ってきたノイマンの運転でナタルの家へと向かう。


「そういえば、君がシルバーレイだったね」

ノイマンが言ってきた。

「ええ、まあ。そう呼ぶ人も居ますけど」とが返す。

「フリーダムが撃たれたあの渓谷での戦闘では助かったよ。お礼を言い損ねてた」

ノイマンの言葉には苦笑する。

「エンジン撃たれて何言ってるんですか」

「エンジンを撃ってくれたからミネルバの主砲から逃れることが出来た。高度も、まあ力らずくって感じだけど落としてくれたから潜行するのに少しだけ時間が短くなった。逃げられたのは君のお陰だよ」

笑いながらノイマンが言う。

「...ノイマンさんは、アークエンジェルのクルーですよね?」

「ああ、」と頷いた。

「ちなみに、どこですか?」

「操舵士なんてものをしているよ」

の口はぱかーっと開く。

この人があの神懸り的な動きを見せていたアークエンジェルの舵を握っている人だったのか!?

の反応に気を良くしたノイマンは笑う。

「ちなみに、アークエンジェルの操舵はずっとノイマンさんが?」

「ああ。ヘリオポリス以降ずっとね」

どんな人があのアークエンジェルの舵を取っているのかと思っていたが。

今は車のハンドルを握っているノイマンを眺めては感嘆の息を吐いた。



ナタルの家は小高い丘にあった。海が良く見えて見晴らしが良い。

「ただいま」とノイマンがドアを開けた。

「...“ただいま”!?」

が驚きの声を上げた。

その反応にノイマンは笑い、中に入るように促す。

「お邪魔します、」と家の中に入った。

「ああ、いらっしゃい」とナタルが出てくる。ノイマンには「おかえり」と声を掛けていた。

「ナタルさん。大勢で押しかけてお世話になりました」

が頭を下げる。

「いえ。フレイから連絡があったことが嬉しかったし。連絡、取れたんですね」

は頷く。

ハイネに預けたホーキンス宛の手紙の中にオーブでのことも書いておいた。ナタルと言う人物に会った。彼女はフレイに会いたがっていた、と。

!」

中から赤い髪の少女が出てきて抱きついてきた。

は受け止める。

「フレイ、ノルンを守ってくれてありがとう」

フレイは嬉しそうに、くずぐったそうに目を細めて首を振る。

「あ、ほら。ノルンは中よ」

そう言っての手を引いて中に入っていく。

「え、ちょっと..!」

は困惑しながら引きずられていった。まだ心の準備が出来ていない。

フレイにとってどうでもいい、寧ろ全く視界にも入っていなかったらしい、イザークとディアッカは顔を見合わせてナタルとノイマンに挨拶をしての後を追った。



〜!」とラスティが突進してきた。

はそれをひらりとかわしてノルンの元へと向かう。

ニコルはそんなラスティに冷ややかな視線を向けていた。

「ノルン?」

「ママ!」

指差してノルンがそう言った。

1年全く顔を合わせていなかったを忘れていなかった。

「覚えてくれていたのねー」とノルンをぎゅっと抱きしめた。

「エザリア様に感謝しなさいよね」とフレイが言う。

顔を上げてフレイを見て、エザリアに視線を向けた。

「エザリア様、毎日ノルンにとイザークの写真を見せて『これがママとパパよ』って教えていらしたのよ」

「あ、ありがとうございます!」

が勢いよく頭を下げた。

の腕に抱かれているノルンは突然動いたことに喜んではしゃいでいた。

「カイン殿にね、頼まれていたの」

は首を傾げた。

さんは、覚えていないでしょうけど。カイン殿はずっとザフトに居て。あなたが生まれてまもなく家を出て2年くらいしてから久しぶりに家に戻ったら『おじちゃんだあれ?』ってあなたに聞かれたそうよ。即行軍本部に戻ったと仰っていたわ。勿論、ショックで」

は思わず視線を逸らす。過去の自分ながら、それは酷いと思った。今だからそう思える。

、ひでぇな...」とディアッカが後方で呆然と呟いていた。

反論できないは俯いてその場をしのぐ。

ディアッカもイザークも笑った。

「姫さん貸して」

そう言ってディアッカが手を伸ばす。

は立ち上がり、ディアッカの手にノルンを渡した。

何となく見たことある人、という認識があったためノルンもディアッカを嫌がらない。


が。

ドアの開く音がしてとディアッカが同時にそちらを見た。

女の子が居る。

「ミリィ...!」

「可愛いわね、その子」

そう言って彼女は出て行った。

ディアッカはヘナヘナと床に沈む。

はその途中でノルンを受け取り、イザークを振り返った。

「えーと、これは...彼女、勘違い?」

イザークは手を伸ばしてノルンを受け取る。

「少なくとも、ノルンは勘違いされただろうな」

イザークの腕の中にいるノルンは床に突っ伏したディアッカを珍しいものを見るように見下ろしていた。

「これって、ノルンの人生の汚点よね?」

「オレを慰めろ」

床に突っ伏したままディアッカが間髪入れずに抗議の声を上げるが、はそれに応じる気は皆無だ。

「車だったら流石のお前でもアウトだろう?」

「車じゃない。エンジンの音が聞こえなかった」

は答えてその部屋を後にした。

「ママは?」

「ちょっと、お前への誤解を解きにな」

イザークはノルンの疑問にそう簡潔に返して「ディアッカ、邪魔だからせめて部屋の隅で落ち込め」と酷いことを言い放っていた。









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桜風
09.8.3


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