Like a fairy tale 109





ミリィに送ってもらってナタルの家へと戻った。

しかし、家の前には少し高級そうな車が停めてある。さっき会ったマリューたちのものも有り、別の客人がいるというのがわかった。

静かに家の中に入る。

ジャケットの内側にある銃を確認して部屋の中を覗いた。

そこには、オーブの代表、カガリ・ユラ・アスハがいた。

「...なんで?」

は首を傾げる。


「ママ...」とフレイに抱かれたノルンがの姿を目にして手を伸ばしていた。

部屋に居た人物たちが一斉に振り返る。

はそっと溜息を吐いて部屋の中に入った。

「何をしていた。...ここに座れ」

イザークに咎められて「失礼しました」と敬礼し、は言われたとおりイザークの隣に座ろうとした。

が、ノルンが体を乗り出して「ママ、ママ」と手を伸ばすため、困ったフレイがにノルンを渡した。

子供を抱いたまま座ろうとするに「、」とイザークが名前を呼んで窘める。

オーブの代表の前でそれは失礼だろう、と。

も分かってはいるが、このまま放っておけば泣き出しかねない。

席を外すべきか、と思っていたが

「可愛いな。ノルンと言うのか?」

とカガリが声を掛けてきた。

ちょっと困惑気味に「はい」とは返した。

「抱かせてもらっても良いか?」

とカガリが言って立ち上がる。

も椅子を引いて立ち上がり、カガリにノルンを渡そうとしたが、ノルンがから離れない。

知らない人だから、どうも嫌がっているようだ。

カガリは「嫌われてしまったな」と苦笑した。

「人見知りが激しい方ですの。見るだけなら構わないようですけど、知らない人が近づくと泣き出すということが何度かありました」

エザリアがフォローを入れる。

「そうか。では、ゆっくり仲良くならないといけないな」

カガリはノルンに向かってにこりと微笑んで再び椅子に座った。


「それで、さっきの話の続きだが」と話を再開させる。

何を話していたのか分からないは大人しく事の流れを見守った。

どうやら、カガリは今回の一件に関わった人物を行政府でもてなしたいといっている。

イザークはそれを断っているようだ。

まあ、そうだろう。任務中だし、行政府にはザフトを良く思っていない人物だっているはずだ。

そうなれば、今回協力してくれた人物全員を危険にさらすし、同じく全員を守りきれるかといえば疑問が浮かぶ。

しかし、カガリはそれを頑として譲らない。

特にはオーブに向けられたレクイエムを撃ってくれたという。オーブと言う国の恩人だ、と。

別にそんなつもりでアレを撃った訳ではないので、そういわれると何だか困惑した。

「イザークの思いも分かる。だが、今回はカガリの顔を立ててくれないか」

アスランが言う。

「警備については、ちゃんとするし」とも言い添えた。

ディアッカとはイザークを見ている。

2人はイザークの部下で、今一番権限があるのはイザークだから彼の判断に従うのが普通の流れだ。

そんな応酬をしている中で「あらあら」と言いながらまた新たな人物がやってきた。

ピンクのハロもぴょんぴょん跳ねながら遣やってくる。

ナタルの家は本日、千客万来だ。

ノルンはピンクのハロに興味津々で体を乗り出していた。

「降りる?」と声を掛けるとノルンは何も言わずに体を乗り出すのではノルンを床に置いた。

てとてととおぼつかない足取りでノルンはハロを追いかけ始める。

ミーアの、赤いハロとはよく遊んでいる。

だから、ノルンはピンクのハロにも興味を持ったらしい。

そして、今この部屋に入ってきた人物を見てはそっと溜息を吐いた。

イザーク、敗退。

結局、元プラントの歌姫、ラクス・クラインの笑顔で穏やか且つ有無を言わせない説得により、本日は行政府での宿泊が決まってしまった。見事な鶴の一声だ。

「ところで、ミーアさんは?」

キョロキョロと室内を見渡す。

「ああ、彼女は、その...出てきたくないらしい」

ナタルが言いにくそうに話した。

「私がいるからですか?」

の言葉にフレイが驚いた。

「ミーアって誰の事か知ってるの?」

は赤いハロを指差した。

ラクスのハロがやって来てあの赤いのも出てきてノルンは大はしゃぎだ。

「あれ、議長のラクス・クラインの持ち物でしょう?だから、彼女の事かな、と。そして、私は彼女と顔を合わせている。ディオキアの基地でね」

の言葉にフレイは感心した。

「そうですか。どの部屋にいらっしゃるのですか?わたくし、彼女とお話しする約束していますの」

ラクスがそう言い、ナタルはそれに答えた。

「では、またあとで行政府でお会いしましょう」と言ってラクスはミーアの部屋に向かう。

キラはラクスについていった。

「...相変わらず、ラクス・クラインに弱いね」

は呆れたようにこっそりとイザークに言った。

「やかましい」とイザークは居心地悪そうに応える。

はー、と溜息を吐いては立ち上がった。そして「振られん坊、ディアッカ」と彼に声を掛ける。

「枕詞は余計だ」とディアッカは拗ねて顔をそらせた。

「さっき、ミリィとデートしてきたの。で、これ。預かった」

そう言いながらジャケットの内ポケットから封筒を取り出す。

ディアッカは途端に明るい表情を浮かべてそれを受け取り、封を開ける。

そして、首を傾げた。

8桁の数字が並んでいる。

「これ、何?」

「それが、ラストチャンスだって」

その言葉を聞いてディアッカは真剣に悩み始める。

たぶん、その8桁の数字は日付と時間だ。

が、待ち合わせで何でも肝心の場所が分からない。『いつ』は分かったが、『どこで』がさっぱりだ。

「他には?」

「何も。ま、愛の力で乗り越えなさいな。半年はあるんでしょ?」

からからと笑いながらが言う。完璧に、楽しんでいる。

を軽く睨んでディアッカは再び受け取った葉書に視線を落として眉間に皺を寄せながら悩んでいた。

全く緊張感のない部下たちを見てイザークは盛大に溜息を吐く。

アスラン、ラスティ、ニコルはそんな3人の様子を見て苦笑した。自分たちがザフトに居たとき、アカデミーに居たときと様子が変わらない。

カガリは行政府の方に連絡を入れて慌しく戻っていった。

アスランが護衛につこうとしたら断られた。

慣れているアスランがイザークたちをつれてきてくれと言うのだ。

代わりに、カガリの警護はマリューとフラガがついて出て行った。

「迎えを寄越すから」というカガリの言葉を受けてそれを待つことにした。









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桜風
09.8.10


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