Like a fairy tale 113





翌朝、カガリに挨拶をしてプラントに戻る。

命令の中に名前がなかったが、此処に来た経緯を聞くときっとミーアも一緒に連れ帰った方が言いのだろうと思って声を掛けておいた。

だが、「でも、わたくし。まだミーアさんとたくさんお話がしたいですわ」とラクスに言われた。

とディアッカの視線がイザークに向く。

「何故俺を見る?!」

少しその視線に居心地の悪さを感じてイザークが怯んだ。

「「だって、イザークが隊長だもん」」

と2人は声を揃えて言い、顔を見合わせて「ねー?」「なー?」と言った。

完璧イザークの反応を楽しんでいる。

イザークはグッと奥歯をかみ締め「覚えてろよ」と心の中で呟き、どうしたものかと悩んだ。

「おいて帰っちゃえば?ラクス・クラインが一緒なら手を出しにくいだろうし」

が言う。

イザークが視線を向けた。

「それに、アスランは一度プラントに上がってこないといけないから。そのときに一緒に連れてきてもらえば良いし」

が続け、その言葉にイザークが驚いた。

「何故、アスランがプラントに!?」

「だって。辞表、出してないでしょう?」

がアスランに向かって言う。彼は頷いた。

「どういうこと?」とラスティが聞いた。

機密事項かもしれないけど、まあ、それだったらは言わないだろう。

「今、アスランは休暇中で、オーブに来ているの。どうするかを決めたら一度はプラントに上がってこないといけないのよ。国防委員長に話をしにね」

イザークがアスランに顔を向けると「そういうことだ」とアスランが頷いた。

「それに、ミーアさんはフレイと一緒にの本家ってまずいと思うし」

の言葉に今度はフレイが声を上げる。

「え、危ないの?!」

「ミーアさんは、ね。フレイは大丈夫よ。ホーキンス隊長、じゃなかった。国防副委員長のご息女ですから」

「...え!?お父さん、そんなのになってたの!!??」

イザークとディアッカ、そしては顔を見合わせた。

そういえば、言っていなかったかも...

プラント帰還組にかいつまんで現在の状況を話をする。

ニコルとラスティ、そしてエザリアは驚いていた。評議会の強権が発動されていたとは思いも依らなかった。フレイはイマイチその凄さがわからなくて首を傾げる。

プラント市民全員が知っていることでもない。法には書いてあるが、それを全部記憶していないのは不思議なことでもない。

そんなフレイに気がついたニコルがその権力の説明を始めた。

「アスランの親父さんすら出来なかったのにな...」

呆然と呟いたのはラスティだ。

あの強硬派だったパトリック・ザラすら持ち出せなかった権力。

「むしろ、強硬派だから出せなかったのよ。全ての議会の全会一致の賛成が必要だから。今回みたいにどうしようもないときじゃないと全会一致は難しいでしょう?」

エザリアが言い添える。

「えーと、それで。何でミーアはダメなの?の本家」

「お父様か誰か、言わなかった?って、呆れるくらいその名前にプライドを持ってるの。だから、議長が『なんて大したことない』って言ったでしょう?それで武力蜂起しちゃったんだし。そして、ミーアさんはその議長の傍にいた。彼を支持する者として。目の敵だわ」

大人気ないけど、と付け加えていうにディアッカは溜息を吐いた。

あの母艦とオーディンとテュールはが作ったものだと聞いたときには何者かと思った。

勿論、資金的なものは周囲から集めたといっていたが、それにしても全額他から調達できるとは思えない。

だから、本当にあらゆる意味で敵に回してはいけない一族だと言うことを今回の事で思い知った。

「フレイさんも、で居心地が悪いと思ったらマティウスにいらっしゃい。お部屋、まだ余ってるし。大丈夫よ」

エザリアが声を掛ける。

フレイは笑顔で「ありがとうございます」と返していた。

今回の一件でどうやらこの2人は仲良くなったようだ。

「ミーアさんも。早くプラントに上がってくることがあったら、マティウスのジュールを訪ねていらっしゃい」

エザリアはミーアにもそう声を掛けた。

彼女は深々と頭を下げた。



とりあえず、ミーアは置いて帰るということで話がまとまった。

そして見送りに来ていたキラが声を上げる。

「フレイ、」と名前を呼ばれて振り返った。

「えっと、君のお父さん。ホーキンス隊長」

今、隊長ではないと話をしたのに、とは思った。

「レイって子にも声を掛けてたよ。子供にならないかとか」

「...レイ?って、誰?」

振り返ってを見る。

「ミネルバのMSパイロット。元々は、議長の信望者。けど、今は違うよ。何となく、感覚だけど。この間話したときには雰囲気が変わってた」

その言葉にフレイは頷いた。

「つまり、きっと行き場のない人なんでしょう?身寄りがないとか。分かったわ、ありがとう。たぶん、お父さんの仕事が一段落ついたら、そんな話が出てくるんでしょうね」

フレイはそう言って苦笑した。

その反応に、キラが少しだけ驚く。

「一応、お父さんのそういうところ、嫌いじゃないの。私だって、感謝してるしね」

フレイはそう言い置いてシャトルに乗り込んだ。

「それでは、」と今回仕事でオーブまで降りてきたザフト3名はカガリと見送りに来ていた人物に向かって敬礼を向ける。

「ああ、またプラントに上がることがあると思うが。そのときにはまたよろしく」

カガリがそう言葉を掛けた。

最後にシャトルに乗り込むが振り返る。

「アスラン。メイリンとミーアさん。頼んだよ」

「ああ」

メイリンもまた、今のところ休暇扱いだった。

だから、きっとアスランと共に一度戻ってくる。

後方でメイリンは敬礼を向けていた。

きっと、それは彼女のさよならだと思った。

も敬礼を返してシャトルに乗り込み、ドアを閉める。

操縦室ではイザークとディアッカが既にシートに座っていた。

が声を掛けるとシャトルを発進させ、プラントへと向かっていった。









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桜風
09.8.17


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