Like a fairy tale 22






「そういえば、お前ら。モビルスーツ戦は?」

ナイフでトップだったアスランとを交互に見ながらミゲルが聞くと

「モビルスーツ戦も、アスランとがトップでした。イザークが2番で僕は3番です」

「え?」と信じられないものを見るような目で2人を見た。

は肩を竦めただけだったが、アスランは慌てて「あ、いや、まあ..そう、ですね...」と歯切れ悪く応える。

「ふぅん?」というミゲルにどうして良いのかわからず「あの..」とアスランが声を掛けるとミゲルは掌をアスランに見せて「いやいやいや」と制止する。

「実に優秀なルーキーが来てくれて、オレはうれしいですよ。しかも、2人一遍に!」

アスランは恐縮している感じに反応に困っていたがは適当に「どうも」と返す。

「んー、射撃は?」

ミゲルが聞くとニコルが目を輝かせて

「射撃は、がトップでイザークが2番。僅差でアスランが3番でした。爆薬処理は僕が1番でアスランは2番。3番はイザークとでした」

「うーん」とミゲルが唸り始めアスランがニコルを窘めるがそれが耳に届く事はなく

「情報処理はやっぱりとアスランが1番でイザークが2番で僕は3番でした」

まだ続ける。

「それは、ただ..」とアスランが何か言おうと取り敢えず言葉を口にしたが、「お前..」とミゲルが声を掛ける。

「そのイザークってのと仲、いい?」

は思わず噴出す。

「良くはないですよね」

ニコルの言葉に「だろうなー」とミゲルは納得する。

その納得の様子が可笑しくてはクスクスと笑っていたが

「あ、でもとイザークは婚約者同士なんです」

というニコルの言葉に慌てた。

「ちょ!ニコル!?」

「へぇ...そうなんだー」

ニヤニヤとおもちゃを見つけたような目でを見るミゲルの視線には顔を顰めた。

このタイプの人間は本当に人をからかって遊ぶのが好きだろうから。

「あ、でも。それは飽くまで訓練での事であって、実戦とは違いますから」

慌ててアスランが言う。

「ん!そう!まあ、そこんとこ分かってんなら、よろしい」

そして、現在のクルーゼ隊の作戦成功率の高さ、その要因。そして、戦場へ赴く時の心得を口にし、アスランとニコル、そしては敬礼をしながら「はい」と返事をする。

流石に、実戦を経験している人物の言葉には重みがある。



「んー、あとお前らの方から聞いておきたいって事はないか?」

ミゲルが3人を見渡して言う。

3人はそれぞれアイコンタクトを取るが、これと言って何もない。

「ま、アカデミートップテンの赤を着ているお前らだ。そうそう分からんことはないと思うが..ほら、喩えば。『何で隊長はあんなマスクをしているんですか?』とか...」

ミゲルは聞いてほしそうに言う。因みに、『何で〜』はニコルのマネだろうか?

これも結構似ているように思える。

しかし、は既に興味をなくし、早く自室で荷物を解きたいなどと思っていた。

「『あのマスクって、本当に全然外さないんですか?』とかぁ...」

やはり聞いてほしそうに言う。今度はの方をしっかり見ているが、はそれに気付かないフリをしていた。

が興味を持っていないことを察したニコルはアスランを肘で突く。アスランも自分が聞きたいわけでもないため、ニコルに聞くように言う。

「んー、ホントに全然無いかなぁ。聞いておきたいこと」

チラチラとアスランとニコルを見ながらミゲルが言う。

アスランとニコルが少々もめていたようだが、結局は仕方無さそうに溜息を吐いてニコルが「あの、」とミゲルに声を掛ける。

待ってましたとばかりに目を輝かせるミゲル。

「クルーゼ隊長って、何であのようなマスクをされているんですか?」

真剣な声音でニコルが聞く。

ミゲルはもったいぶって間を置いて

「そいつは...聞いちゃいけないことになってる」

と重々しく言った。

「はぁ?」とニコルが思わず返し、「何なんだよ、もう」とアスランは小さく呟く。は溜息を吐いた。

「隊長のマスクの下は、マジ秘密なんだ。未だ誰も見た者は居ない」

早く部屋に行きたいなー...

は既にミゲルの話は耳に入っていない。

「ぇえ?!」というにニコルの声が届き、が目を遣るとアスランが首を傾げていた。

「ま、隊長のマスクのことは詮索しない、と。それがクルーゼ隊唯一の特別ルールだな」

ミゲルがそう締めると

「はぁい」と溜息混じりにアスランが返事をし、ニコルは今まで気にならなかった隊長のマスクが気になり始めたという。


ミゲルが室内の時計を見て慌てる。

「もうこんな時間か。お前ら、荷物を解いたら昼飯にしな。おっし、。部屋に案内するぞー、ついて来い」

「はい」と返事をしてが先に部屋を出る。

続いて部屋を出るミゲルが足を止めた。

「お前ら..死ぬなよ」

アスランとニコルに声を掛けてミゲルはドアを開けて部屋を後にした。



は、本当になんだよな」

を案内するため少し前を歩くミゲルが不意に聞く。

「...言いたい意味が分かるようで分かりません」

の言葉に苦笑する。

「いや、なんっつうか。噂もあるんだけどさ。ってのは名前だけで実力ないってのがこう、今のザフトの常識っつうか...」

そう言ってちらりと振り返る。

「今日、こちらに来る前に父に言われました。『の名は、気にしないことだ』と。私はそのつもりで居ますので」

の言葉に「ふうん、」と言って首を傾げる。

「お前の親父さんの名前、聞いていい?」

「カイン・です」

「え?!」と言って勢いよく振り返った。今度は体ごと。

「マジ?!」

「ええ、まあ。ご存知でしたか?」

「や、カイン・知らない人間なんていないぜ、ザフトのパイロットで。最後のだって言われてる人だよ。へー、そうか。うわ、納得だ」

うんうんと頷きながら歩くミゲルの後ろを肩を竦めながらはついて歩いた。

部屋の前まで案内され、中の事は同室の者に聞くように言われた。

「んじゃ、お前も荷物を解いたら食堂で昼飯食えよ。オレはランドリーに寄ってくから」

「ありがとうございます」と言っては部屋のドアを開けた。

「なあ、

が振り返ると

「期待してるぜ」

と言われた。

はフッと笑って

「了解いたしました」

と敬礼で応じた。








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桜風
08.2.4


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