| 作戦地点についたはノルンを停止させる。 コックピットに衝撃が有り、はハッチを開けた。 イザークのグフがノルンの腕を掴んでいる。 エンジンを落としても流されないようにするためだ。 「、大丈夫か?」 「大丈夫。OS、落とすね」 そう言ってはノルンのOSのスイッチに手を伸ばした。 けど、中々落とせない。 スイッチを押せば良いのに、それが出来ないのだ。 コックピットのモニタでその様子を見ていたイザークどうしたものかと悩んだ。 そろそろ砲撃が向けられる。 「、」と促すが、彼女は動かない。 「」 別の声が通信を向けてきた。カインだ。 「、早くしろ。時間だ」 ユグドラシルのブリッジからそう通信を入れた。 「おい!」とホーキンスが声をあげるが、 「出来ないなら、もういい。そこから出ろ。一斉砲撃を加えれば、事前にOSを破壊しなくてもどうせ粉々だ」 カインは構わず続けた。 「まだ少し時間があるだろう!?待ってやれよ」 カインの腕を掴んでホーキンスは言った。 だが、カインはホーキンスに一瞥をくれただけで、に猶予を与えようとしない。 「・。お前が着ている服は何だ?どうして、それを着ている。何故、そこまでその機体を破壊したいと思った」 カインの言葉に俯いていたが顔を上げる。 「失礼しました」 そう返してノルンのOSのスイッチに手を伸ばす。 「今まで、ありがとう」 そう言ってスイッチを切り、母の形見の銃を目の前の計器に向けて引き金を引いた。 数発の銃声が聞こえ、がノルンのコックピットから出てきた。 ハッチを蹴って開いているグフのコックピットへと向かう。 「もう、いいな?」 イザークの言葉には頷く。 「入ってろ」と言ってイザークはハッチを閉めた。 「イザーク、外に出して」 ボルテールに帰投するグフの中でが言う。 「モニタじゃなくて、自分の目で見たい」 「分かった」と溜息交じりにイザークは返してボルテールの甲板に着艦し、ハッチを開いてグフの左手の上にを乗せた。 を包み込むようにもう右手を添えた。爆風に煽られて飛んでいかれたら堪ったもんじゃない。 グフが戻ってきたことを確認したカインは号令を発する。 「全ての砲門開け。目標、シルバーレイ、ノルン。もう、ゆっくり休ませてやろう」 カインの号令で3隻の艦の照準が向けられる。 全ての艦の砲撃準備が整ったのを確認した。 「ってーーーー!」 全ての砲がノルンに伸びていく。 は敬礼を向けて目を逸らさずにノルンの最期を見送った。 漏れそうになる嗚咽は唇を噛み締めて堪える。 大きな爆発を目にしてカインも敬礼を向けた。 どんなことがあっても、を守ってくれた機体だ。 カインの姿を見てユグドラシルのブリッジクルーは起立して敬礼を向けた。 あの機体がいつもミネルバを守ってくれていた。 突然離反したときには驚いたが、最後もまた、あの機体によってゴンドワナまで安全に運んでもらえた。 あの機体はザフトにとって、英雄で。プラントにとっても救世主のようなそんな存在だった。 先の戦争でノルンがプラントを救ったことはプラントに住む者たちは勿論、地球に居る人たちだってそれは知っている。 ロゴスを討つということになって、あの機体と共に戦った地球軍もある。 戦場でも奪った命以上に、救った命が多い。 そんな珍しいMSだった。 オーブでその様子を見ていたアスランとメイリンも敬礼を向けた。 オーブ軍のものではなく、ザフトのそれだ。 それを咎めるものは誰も居なかった。 レクイエムを撃ち、オーブを救ってくれた機体。 あの機体は、最後に平和への誓いという存在になった。 「、帰艦するぞ」 イザークに声を掛けられて頷く。 ハッチの傍までを運んでイザークはコックピットから体を乗り出し、をコックピットに乗せた。 ブリッジに連絡を入れてそのまま艦へと戻った。 長かった“・”の仕事はこれでやっと終わった。 |
桜風
09.8.31
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