Like a fairy tale 24





着任して数日たった。

クルーゼ隊にも慣れて、古参のクルーたちとも打ち解けてきた頃、とイザークはミゲルに呼び出された。

「何でしょう?」

ブリーフィングルームに集まっている面子を見ては聞いた。全員パイロットだ。

「いやな、何つーか。MSでの実戦の申し込みがあってさ」

何だか言いにくそうにミゲルが言う。

「どういうことだ?」

イザークが聞いた。

何でも、ザフト内では時々決闘のようなことが行われるらしい。

出港前に景気づけに、というか訓練の集大成にという感じで他の隊との模擬戦を行うとか。

「ウチにそれを申し込むってのは本当に珍しいんだ」

「そうなんですか?」

「ほら、ウチは作戦成功率が高いだろう?それって、話したと思うけど。情報収集や立案、隊長の指揮その他諸々の要素が全て噛み合っての結果なわけよ」

ミゲルの言葉にとイザークが頷く。

「で、その諸々の要素の中にパイロットの資質というか、腕もあって。自分で言うのも何だけど、いいパイロットも揃ってるわけ」

「ええ、そうですね」

が同意する。

「だから、景気づけのための模擬戦のお声はかからないんだけど」

「今回は、その申し込みが有ったということか」

イザークが言葉を引き継ぐ。

「そういうこと」

ミゲルが頷いた。

「では、何故私とイザークが呼び出されたのですか?アスランやニコル、ディアッカとラスティも同期です」

が聞くと

「ああ、5対5でさやるから。大人数は要らないの」

ミゲルが手を振りながら言う。

益々分からない。

とイザークは顔を見合わせた。

「あー..だから、先方からのご指名なんだよ、お前等2人。勿論、断っても良いけど、あんまりオススメできないな」

つまり、臆病者等のあまり嬉しくない噂が広がったりするということだろう。

は短く溜息を吐く。

「何処の隊ですか?」

「ラコーニ隊って知ってるだろう?」

イザークは首を傾げながら「ラコーニ?」と呟いてを見る。

は全てを悟ったらしく呆れた表情を浮かべていた。

「...ジョン・ですか」

その名前を聞いてイザークも納得した。ああ、あの人の所属する隊か...

「そういうコト。お前等、なんかしたの?」

「チェスを、少々」とイザーク。

「射撃を、少々」と

その場に居たパイロットたちはその試合の結果が目に見えたらしく「あー...」と諦めの表情を浮かべた。

負けたんだ、あいつ。しかも、完膚なきまでに。

それはミゲルも同じで

「お前等。“手加減”って言葉、知ってるか?」

と2人に向かって声を掛けたが

「アカデミーをトップで卒業してザフトのエースパイロットをしていると聞いていたから、手を抜けないかなと思って」

とイザーク。

「あそこまで的に当てられないなんて知らなくて...」



ミゲルは盛大な溜息を吐いた。


「んで、どうすんの?」

「受けますよ、一応」と。「同じく」とイザークも続いた。

「おっし。んじゃ、説明するな」

たちの返答を聞いてミゲルがこの模擬戦の説明を始める。

試合場所は軍港の外。つまりは宇宙だ。宙域は粗方決まっているが、線が引いてあるわけではないので結構曖昧らしい。

弾は勿論実弾は使わない。サーベル、カッター等の使用も不許可となっている。

つまりは景気づけのものだから、機体を破損させるなんて以ての外ということだ。

「勝負を吹っかけられた方は負けないといけないんですか?」

が聞くと

「いいや、そこまで付き合ってやらなくていい。此処で負けてもそれを反省材料に出来るしな」

とミゲルが答え、は安心した。

もうあの人に負けたくない。負ける必要なんてないのだから。

のそんな表情にイザークは小さく笑う。少しだけ、安心した。

「ま、お前等シュミレーションでも動きはいいし、大丈夫だろう。同期の他のやつらよりも早く宇宙空間での実戦経験が出来てラッキーじゃん」

とイザークは頷いた。








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桜風
08.2.8


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