| 明日、ヘリオポリスに潜入する。 そんな日もは射撃場で訓練規定以上の練習を積んでいた。 「相変わらずだな」 ヘッドホン越しに何か聞こえた感じがして振り返ると緑色の軍服を纏ったミゲルが居た。 「ああ、何?」 聞き取れなかったため、ヘッドホンを首に掛けて先ほどの言葉を聞く。 「相変わらずだな、って言ったの。作戦は明日だぞ、体を休めておけよ。それとも、緊張して眠れないか?」 からかうような言葉には肩を竦めた。 「そんなの、柄じゃないと思うけど?」 「自分で言うなよ。ほら、もういいだろう。寝とけ」 そう言ってが首に掛けているヘッドホンを没収し、さらに手に持っている練習用の拳銃も奪った。 「ミゲルっておせっかい焼きだ」 が言うと 「弟居るから仕方ない。ほら、寝ろ。ついでに添い寝してやろうか?」 ミゲルがそう笑いながら言う。 「遠慮しておきます」 も笑って答えて、「じゃあ」と射撃場を後にした。 ミゲルはの出している射撃の結果を見ながら唸る。 「何でこんなに当たるんだ...?」 翌日、作戦が開始された。 情報ではMSは5機とのこと。 は機体の奪取ではなく、その他開発のノウハウ等の情報を得るために潜入することになっている。 白兵戦が一番得意なだからこその抜擢だ。 コロニーに潜入し、イザークたちは運搬中の3機を奪うために向かう。そして、残りまだ2機あるはずだからあるため、アスランとラスティも工場内に潜入することになった。 は工場内で設計に係わる情報を得るためにアスランたちとは別行動をしていた。 しかし、ふと目を向ければラスティを狙っている者が居た。 はそいつの肩を撃ち抜いたが、それと同時に引き金が引かれた。 アスランの横で血しぶきが散る。 アスランは慌ててラスティを物陰に引き込んだ。 「ラスティ!」 「おー、生きてるぞー」 痛みに顔を歪めながらラスティが答える。 離れたところに居たはずのが近付いてくる。 「ラスティ?」 「助かったよ」 ラスティを見れば肩をやられたようだ。もしかしたら骨を砕かれているかもしれない。 「アスランはアレの奪取作戦を続けて。私はラスティをどうにか脱出させるから」 の言葉に頷いてアスランは機体に向かって行った。 「ラスティ、立って」とラスティの腕を肩に掛けながらが声を掛ける。 酷く汗をかいている。痛みを堪えながら立ち上がった。 足元で銃弾が跳ねた。 は振り向きざまに一発放ちその銃弾を放った人物に当てる。 「ちょっと気合入れて走ってね」 そうラスティに言ってラスティを半ば引っ張るような感じで建物の影へと駆けていった。 倉庫らしき部屋に入る。 「ラスティ。気は失わないでね、重いから」 何気に酷いことを言う。 「なあ、」 息が上がっているラスティが名前を呼ぶ。 「何?こっち見ないでね」 そう言ったはヘルメットを取って、パイロットスーツの上半身を脱いだ。 アンダーシャツを脱いで再びパイロットスーツの前を合わせる。今脱いだアンダーシャツを引き裂いて一枚の布にし、ラスティの肩に縛り付ける。 「痛い...」 「我侭言わない!止血なんだから強く縛らないと」 「なあ、。お前さ、知ってるんだろう?」 「何を?」 そう言いながらも力いっぱいはラスティの肩を縛る。 「オレ、好きだ」 少し動揺したかのようにの手が止まる。 「知ってた」 小さく呟く。 「だよなー。分かってないのって、アスランくらいだろうなー」 「そういうの、全くダメっぽいからね」 は笑って応える。 「『何で今頃言ったの?』とか聞かないの?」 「どうせ碌なことを言わないって思ってるから聞かない」 「遺言」 ラスティがそう言った瞬間はすぐ傍においていた自身のヘルメットで思いっきりラスティの頭を殴った。一応、ラスティもヘルメットだが、響いて痛いことは痛い。 「、優しくない」 「今度そんな笑えない冗談言ったらこの傷口に塩を塗りこむから覚悟しなよ」 の表情を見てラスティはもの凄く後悔した。 「ごめん」 「全く。私は任務を放ったらかしにして、ラスティを助けたんだからね。ふざけた事を言わないでよ。はい、この話はお終い」 そう言って深く溜息を吐く。 「なあ、。ごめん、最後。もう1個だけ」 ラスティがそういい、は仕方ないとばかりに視線で続きを促した。 「、イザークのコト好き?」 はその問いには答えなかった。 普段のを見ていたらそれは分かっていた。そのつもりだったけど本人から聞きたかった。 それで、自分の気持ちにケリをつけたかった。 は答えなかったが、でも、その表情を見たらラスティはすっきりした。 「ま、振られたらオレの元に来いよ。大切にする自信あるし」 「どうだか」 「って、酷いな」 ラスティがそう言って情けなく笑う。も応えて笑う。 そして、2人は歩き出す。 生き抜くために。 |
桜風
08.2.12
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