Like a fairy tale 28





は隊長に呼び出された。

隊長室に行くと出撃を命じられる。

本当なら、ラスティが乗るはずだったあの機体だが、どうやら地球軍が手にしてしまったらしい。

その捕獲に向かうとの事。

今回の負傷で一時的にもラスティは前線からの離脱を余儀なくされている。

そこで、最後の5機目のMSを捕獲できればそれはの機体となる。

「自分の機体となるものだ、君も出撃して、君の手で捕獲したまえ。ミゲルとオロールも出る」

クルーゼにそう言われては敬礼した。

「捕獲できないと判じた場合は、破壊、ですね?」

確認するとクルーゼの口元がニヤリと笑い肯定する。

は隊長室を後にした。


今回、が捕獲した機体は全く情報がないためすぐに実戦に使うのは得策ではないということのようで、そのための5機目だとか。

元々ははモルゲンレーテの情報収集に配置されたもので、Gシリーズの搭乗は予定されていなかった。

はD装備に設定されたジンで出撃することになった。

出撃隊の中にアスランの姿があることに驚く。

「アスラン?!許可取って来たの?アスランが出撃するってのは聞いてないわよ?!」

の言葉にアスランは応えない。

地球軍の戦艦からガンダムが出てくる。

「まあ、良いだろう。ついて来てしまったものは仕方ない。オロールとマシュー、は戦艦を。アスラン!無理矢理ついてきた根性、見せてもらうぞ!」

ミゲルの言葉に「...ああ」と少し思い詰めたようなアスランの返事がある。

はそれが気になったが、取り敢えず目の前の作戦に集中することにした。



はオロールたちを援護していた。彼らは先ほどの戦闘で機体を大破したと聞く。そのため、艦の撃墜を譲ろうと思ったのだ。

実際、あの艦の装備やクルーは腕がいいようだ。重装備ミサイルでが多少着弾したくらいでは墜ちてはくれない。

ふと見上げるとガンダムを相手にしていたミゲルたちの様子がの視界に入る。

どうも、アスランの動きがおかしい。躊躇っているような...

そんな中、ガンダムがビームブーメランをミゲルに投げつけた。

それを避けたミゲルがライフルの銃口をその機体に向けるが、戻ってきた先ほどのブーメランに足を切り落とされ、ガンダムのサーベルが迫る。

はライフルでそのサーベルを撃ち、ガンダムの動きを止めた隙にミゲルの機体を抱えて距離を取る。

「ミゲル、平気?」

「くそッ!油断したとは言え、ナチュラルに!!」

通信越しに忌々しげに呟くミゲルの声が聞こえたが

「戦闘中に油断するほうが悪い」

はぴしゃりと言い切った。

艦隊の砲撃でオロール機が爆破される。

「オロール!」

マシューの声が聞こえた。

ヘリオポリスの崩壊が始まる。

「マシュー、アスラン。ここは引きましょう」

はそう声を掛けて、ミゲルの乗る足を失ったジンを抱えて帰投した。


ドックについてミゲルの機体をそっと下ろす。

は自身の乗っていた機体から降りた。

ミゲルの機体もハッチが開いて彼が出てくる。

「怪我してるわね」

が言うと

「ちょっとコックピットの中で爆発があったし」

MSの足を切られた衝撃で計器類が破裂等したのだろう。

「医務室、着いて行こうか?」

が声を掛けると

「いや、いい。は悪いけど隊長に報告してくれ」

ミゲルの言葉に「了解」と返してはアスランの帰投を待った。


そう待つことなくアスランは帰投してきた。

すぐに報告に向かうつもりだったが、ヘリオポリスの崩壊と逃してしまった地球軍の艦の追跡のため、隊長はブリッジで艦長と話をしているらしい。

一度自室に戻る事にした。


暫くして2人は隊長からの出頭命令を受け、共に隊長室へ向かい、先ほどの戦闘の報告を行う。

「そうか。やはりあの機体の破壊も出来なかったか」

「申し訳ありません」

が応えた。

そして、クルーゼがアスランに問う。先ほどの“らしく”ないアスランの行動の理由だ。

は下がろうとしたが、「君も聞いておいたほうが良いだろう」と言われて同席した。

アスランの話に依れば、あの機体に乗っているのは彼と月の幼年学校で一緒だった友人のコーディネーターだと。

そして、その人物は優秀な人材であるが、お人好しなところがあるから、地球軍に騙されているのだろう。だから、もう一度話をさせてほしい、と。

アスランの話を聞きながらは不機嫌そうに目を眇めていた。



クルーゼに退出を促されて部屋を後にする。

「ねえ、アスラン。今言ってた話だけど」

に声を掛けられてアスランは彼女を見る。

「忘れないで。貴方の幼馴染が、ミゲルを殺そうとしたこと。あのパイロットは貴方の昔の友達だったかもしれない。けど、さっきは貴方の、私たちの仲間を殺そうとしたわ。貴方があのパイロットのことを好きなのは分かった。信じていることも。だけど、その迷いが仲間を危険な目に遭わせる事も忘れないで。
さっき貴方が本気で戦闘に加わっていたらあの機体の破壊は完了していたのだから。あの機体が地球軍にあることで、私たちはとてつもない不利な状況に置かれるかもしれない。その時、貴方は何を選ぶの?...覚悟はしておいて」

はそう言ってアスランに背を向ける。

2、3歩歩き出して足を止めた。

「さっきの、パイロットの話は皆には言わないけど。隊長がどう判断するかが問題ね」

そう一言言って再び歩き出す。

コツコツというの靴音が静かな廊下に響いた。









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桜風
08.2.18


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