Like a fairy tale 29





アスランと別れた後、はドックへと向かった。

先ほどヘリオポリス内のモルゲンレーテ地下から奪取してきた機体について何か分かっているかもしれないと思ったのだ。


ドックに入るとメカニックのひとりがの姿を見て

「チーフ!さんが来ました!!」

と声を掛ける。

「何?」

そのメカニックに声を掛けたら

「いいから。さん、あの機体、何なんですか?」

と言いながら彼女はその機体のハンガーにを案内した。

「どうしたの?」

機体の傍にはディアッカとニコルの姿もあった。

「や、何つうか...アレ、何?」

ディアッカが言う。

「MSでしょ?」

が言うと首を傾げる。

「今、イザークが挑戦しているんですけど...」

ニコルがそう言った。

「どういうコト?」

「良いから、。起動させてみろよ」

おかしなことを言う。

ハッチを開けたまま四苦八苦をしているイザークに声を掛けてみた。

「パスワード、あってるの?」

「スクルド。エス・ケイ・ユー・エル・ディ」

イザークが答える。

スペルに間違いはない。

イザークが再度それを入力してみる。パスワードを認識した音を出すが、その後はうんともすんとも言わない。

「代われ」

そう言ってイザークはコックピットを出た。

首を傾げながらはシートに座る。

「さっきここに呼び出されてオレたちもチャレンジしたんだけど。オレもニコルもダメだったんだよ。その前には散々メカニックたちもチャレンジしたみたいだぜ」

コックピットを覗き込みながらディアッカが訴えた。

はMSを起動させてパスワードを入れてみる。

此処まではイザークたちだって出来た。

そして、

「...起動したよ?」

は自分を見守っている周囲にそう訴える。

「はあ?!」

「ちょっと待て。何故だ!?」

全く納得いかないという風にイザークが訴える。

「理由はわかんないけど、起動した、ねえ?」

同じくコックピットを覗き込んでいたチーフが「手を煩わせて悪かったな」と声を掛けてと交代してシートに座った。

そして、OSに関係する箇所を調査しようとすれば、またしても落ちる。

「何、この子」

が眉間に皺を寄せた。


チーフは溜息を吐きながらコックピットから出てくる。

「整備は出来るんだが、それ以上はさせてもらえないんだ」

「どういうコトですか?」

「例えば、この機体の腕が破損したとしよう。そのため、オレたちが回路の修復、装甲の取替えその他。人間で言うところの外科的なことをするのには何ら問題は無い。けど、中から修理しようと思ったら起動しないんだ、OSが」

そんなMS聞いたことない。

「あの、意味が...」

「これは飽くまで推測だが」と一言言い置いて「刷り込みって分かるか?」と言った。

チーフの言葉に

「あの、卵から孵った雛が最初に見た動くものを親だと思い込むって、あれですか?」

とその単語で思いつくものを言ってみた。

チーフは深く頷く。

ちょっと待って、何それ?

そう思いながらもチーフの話をおとなしく聞く。

「恐らく、がこのMSを初めて起動させた者だろう。勿論、中に組み込んであるOSは誰かが作ったものだろうが、このMSに組み込んだ時点でリセットなり何なりしていたんだろうな。そして、その後初めて乗ったのはだ。これを起動させてOS弄っただろう?」

そう聞かれては頷く。

「到底宇宙で行動できるものではなかったので、多少は弄りました。ただ、どういうものか分からないのでその最低限の推進部分しか弄っていないのですが...」

「えーと。つまり...はコイツの母親って事?」

まさかな、といった感じでディアッカが聞くとチーフは真面目な顔で頷く。

少し気が遠くなる

ちょっと待って。つまりは何だ?自分は鉄の体でオイルの血を持つ、推定身長18mの子を持った状態なのか?

は眩暈を覚え、傍に立っているイザークの肩に手を置いて少し体重を掛ける。

「えーと、つまりはこの子の調整は私が全部?」

「オレたちを受け付けてくれないからな。協力してもらうしかない。ついでに、この艦内での調整には限界があるから本国、本部に戻って研究しながら調整するのが妥当だろうな。
ただ、今はあの艦を追っているから本国に送ることは出来ないだろう。今の作戦が終わるまでこの艦内での調整だな」

開いた口が塞がらないとはこのことで。

、何というか。とんでもない物を拾ってきちまったな」

ディアッカがポンと肩に手を置いた。

は「どうも」と返事をして天井を仰ぎながら深く溜息を吐いた。









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桜風
08.2.18


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