Like a fairy tale 32





オペレーターから艦内放送でパイロットは控え室にて待機、という指示に従い、も一応パイロットスーツに着替えて控え室に向かった。

途中でアスランに会う。

向こうは少し気まずい雰囲気を纏っていたが、はそれに気付かないフリをして声を掛けた。

「もう、乗ってないと良いけどね」

が独り言のようにそう呟く。

「え?」とアスランが聞き返したがはそれについて返すことはなく、「ちゃんと無事に帰ってきなさいよ」と言って控え室のドアを開けた。


「よー。おそろいで」

既に控え室で待機をしていたミゲルが手を挙げる。

「早いわね」

「そろそろだと思って準備してたんだよ。、お前のジン、借りるぜ」

ミゲルの言葉にが頷く。

「って言っても。私のじゃないと思うんだけど」

「そりゃそうだ」

「そうそう。ミゲル。壊してもいいけど、ちゃんと持って帰ってね」

の言わんとした事が分かったミゲルは苦笑をする。

「3度もヘマはしない」

2人の和やかな雰囲気に馴染むことができずにアスランは少し離れたところに腰を下ろした。

アラームが鳴り、オペレーターにコンディションレッドが伝えられる。

「焦って出てきたか!」

ミゲルがそう言って傍に浮かんでいる自身のヘルメットを手にした。

「行くぞ、アスラン!」

「あ、ああ」

部屋を出て行く2人に「生きて帰ってくるのよ!」とは声をかけ、ミゲルはそれに応えるように軽く手を挙げて廊下に出た。



アスランとミゲルは、捕獲できなかった、あのアスランの友人がパイロットだというMSに向かう。

「アスラン、あいつには借りがある。オレにやらせろ」

そう言ってミゲルの乗るジンが駆ける。

「ミゲル、待て!」

アスランの制止を聞くことなく、ミゲルは地球軍のMSに向かって行った。

舌打ちをしてアスランもその後を追う。

アスランは友人の、キラの乗る機体と直接通信をして説得に掛かる。

キラはコーディネーターだ。だから、敵ではない。敵ではないのに、何故自分たちが戦っているのか。それは、おかしなことではないか、と。そして、何故地球軍にいるのか。

アスランの問いにキラは答えた。自分は地球軍ではない、と。しかし、あの船には友人が乗っている。だから、それを守るためにこのMSに乗っているのだ。

そして、アスランに問う。何故、ザフトに居るのか。何故、戦争をしたりするのか、と。

ミゲルのライフルを逃れながらキラはそう訴える。

そして、アラームが鳴り、別の敵の攻撃を知らせその場を離脱する。

「何をモタモタしている!」

それは、ガモフから出てきたイザークで、艦の攻撃はニコルとディアッカに任せてアスラン、ミゲルとともにMSを撃破せんと来たのだ。


ミゲルとイザークがMSを追い詰める様子をアスランはじっと見つめながら、友人を助けたいと思う気持ちと、ザフトの兵士である今の自分の立場のジレンマに陥っていた。

そんなアスランを余所に、ディアッカとニコルもそのMSを囲む。



はモニタでその様子を見ていた。

アスランのMSの動きから、きっとまたあの機体には彼の友人が乗っているのだろうと推測される。

彼が撃てないのなら、仲間に撃ってもらうのも手だろう。

はそんなことを思っていた。

突然、艦が揺れる。

「まさか、直接艦が攻撃されているの?!」

は艦内の情報を拾う。

どうやら、艦底部に直接攻撃をされたたようだ。その被害は大きなものだった。

もう1機MSがあれば...

そんな歯がゆさを感じながら、は自分の拾ってきた機体、ノルンを見遣った。


「ヴェサリウスが被弾?!」

コックピットにもたらされた情報にイザークが思わず声を上げる。

頭に浮かんだのは素直じゃない婚約者の事で、一瞬ヴェサリウスのある方に目を向けた。

「何故?」

「オレたちにも撤退命令?」

ニコルとディアッカもその命令に驚く。

彼らの動揺の隙に地球軍のMSが離脱をする。

「しまった」

イザークは思わず呟き、地球軍艦の砲撃の射線上にはヴェサリウスがあることに気がつく。

またしてもヴェサリウスに被害が及び、その隙に地球軍艦はMSへの帰艦信号を出す。

「させるか!」とイザークは帰艦する前に撃破をしようとMSへ向かっていく。帰艦命令だと主張するアスランだったが、それに反してディアッカ、ニコル、ミゲルも先ほどと同じように包囲した。

敵MSのエネルギーが切れ、イザークのデュエルがソードを翳して接近し、両断する寸前にアスランはイージスをモビルアーマー形態に展開し、その機体を捕獲した。

「何をする、アスラン!」

イザークの言葉に

「この機体、捕獲する!」

とアスランが返す。

「何だと!?」

「命令は撃破だ。勝手な事をするな」

「捕獲できるものなら、その方がいい。の機体は今はまだ乗れないのだろう。だったら、この機体。艦に持って帰る。..撤退する」

アスランがそう締めるが「アースラーン!」と不満いっぱいのイザークの声がコックピット内に響いた。

アスランが機体を捕獲したままガモフに向かうが、その途中、モビルアーマーに襲撃され、捕獲していた機体を逃してしまう。

そのMSは、自艦へと戻っていった。

途中、それを目にしたイザークとディアッカで追うが、敵艦の砲撃を前に中々MSに近づけない。

イザークがライフルの照準を合わせ、ロックをして引き金を引いた。

しかし、その爆煙の向こうからのビーム砲によってデュエルの右腕を失う。

深追いをしそうになったイザークとディアッカに撤退するようアスランが言い、ニコルもそれを支持する。こちらのエネルギーの残量が心配だ。

「イザーク、深追いすんな。お前、それで怪我でもしたらに冷ややかに『お馬鹿さん』とか言われんのがオチだぞ」

ミゲルに言われてイザークはギリ、と歯を噛み締めて撤退した。









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桜風
08.2.25


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