Like a fairy tale 33





隊長室に呼ばれてはそこに向かう。

入るように促されて入室した。

。出頭いたしました」

敬礼をする。

「本国、評議会から出頭命令が来た。それで、君の機体。ノルン、というのだったな。その報告もしておこうと思っているのだよ」

クルーゼの言葉には少し首を傾げて

「報告書は、提出しているはずですが...」

毎回、整備したときに出た結果の数値、調整過程、そして、パイロットの私見を纏めて報告はしている。

「ああ、目は通している」

クルーゼの言葉には「はい」と返事をする。

「今回の出頭、君にも一緒に評議会、査問会に出てもらいたいのだよ」

「私も、ですか?」

「そう。パイロットの、君の生の意見も議員の方たちに聞いて頂きたいというものあってね。不明な事は多いが、それと同時に興味深い機体でもある。どうだね?」

「ご命令と有らば、ご同行させていただきます」

が応えるとクルーゼは頷く。

「すまないね」

「いえ。整備班の話ですと、ノルンは本国で集中的に調査、調整した方が効率が良いとのことですし」

「それは、私も聞いている。はそのまま少し本国に残ってノルンの調整をしてくれたまえ。では、艦の修理が済み次第、本国へ帰還する」

「はっ!」と敬礼をして退出した。


廊下の向こうにアスランの姿がある。

は気にせず、そのまま足を進めた。

「貴方が何を選択したか、見てたわよ」

アスランの前で足を止めてそう言う。

...」

「今回、死傷者が出なかったけど。何処かのお馬鹿さんは危なかったわよね」

何処かのお馬鹿さんは今頃くしゃみでもしているだろうかとは何となく思った。

「すまない」

「謝ることはないわ。貴方は、ザフトの軍人としてあの行動が最善だと思ったのでしょう?」

アスランの瞳が揺れた。

「なんてね。冗談よ、半分は。怪我人が居なかったから良かったわ、本当に。イザークだって、あれは深追いでしょう?引き際くらい見極めてほしいものね。もっと冷静に物事を広い視野で見つめる修行を積んでもらわないと。
...けど、半分は本気よ。前、隊長が仰ったようにあの機体の撃破を命令されているときは、貴方は出ない方がいいかもね。貴方自身の命に係わる事よ、アスラン」

ポン、と軽くアスランの肩に手を載せてそのままは自室に戻る。

ノルンの報告書、もっとコンパクトに纏めておかないと。



自室に戻るつもりだったが、ふと思い出して寄り道をすることにした。

「帰れるよ」

医務室に着くなり、はそう言う。

「おー、やっと?」

既に起き上がることくらいは出来るようになったラスティがやれやれと首を振った。

「オレ、結構重傷者だったと思うんだけど。船は揺れるし、ねえ?」

「良いじゃない、入院中は誰もが退屈だって言ってるから、今回のラスティは刺激的でいい療養になったんじゃないの?」

のそんな言葉にラスティは肩を竦めて顔を顰める。

「怪我してるのに、何故動かす?」

が聞くと

「左肩だけ竦めるって難しいんだぜ?寧ろ、首を傾げた感じでちょっと可愛いぞ、オレ」

などと軽口を叩く。

医務室のブザーが鳴って入って来たのはミゲルだった。

「あっれ、ミゲル?」

「ガモフじゃないの?」

ラスティとが口々にそう言うが、

「んー、まあ。こっちに呼び戻された」

と首を傾げながらミゲルが答える。

「隊長機、もう直ってるから大丈夫でしょうに」



「向こうに帰ったら?」

とラスティ。

「お前等素直じゃないなー。オレが帰ってきて、なんてちょー嬉しいだろう?」

ガシガシと乱暴にの頭を撫で回すミゲルには顔を顰めて首を振って逃げ回っていた。

「お前、イザークと連絡取ってる?」

ミゲルに言われて「全然」とは返した。

「だって、イザークがガモフに行ってまだ殆ど経ってないのに。何、その期待に満ちた目」

ミゲルの目を見てうんざりした表情になる。

「いやいやいや。お前らってどうなのかなーって思って」

「“どう”とは?」

何故かラスティがこの話題に食いついた。

退席しようか、と思っていたが、それを察知したミゲルにベルトを掴まれた。

それからしばらく、この2人に質問攻めにされる。

「ほ、報告書を纏めないと...」

そんな訴えを聞いてくれる2人ではないことを開放されたときにはやっと思い出した。









NEXT


桜風
08.2.29


ブラウザを閉じてお戻りください