Like a fairy tale 34





クルーゼとアスラン、はヴェサリウスからシャトルで評議会のあるアプリリウスへと向かう。

シャトルに入るとそこには国防委員長、パトリック・ザラがいた。

敬礼をする。

「ご同道させていただきます、ザラ国防委員長閣下」

クルーゼが言うと

「礼は不要だ。私はこのシャトルには乗っていない」

と言って制し、「いいかね、アスラン」と声を掛け、アスランが父に挨拶をする。

そして、アスランに続いた人物にパトリックは少し驚く。

か?」

突然名前を呼ばれては面を食らう。そして、敬礼をしそうになって、慌てて手を引っ込めた。

「私を、ご存知なのですか?」

「ああ。会ったのは、2度目だ。最初は12、いや、13年前..か?だが、写真では幼い君を何度も見ている。うるさいのと同じ隊に居たからな」

“うるさいの”が誰の事か分かったは恐縮して頭を下げる。

「母親に似てきたな」

「母のこともご存知なのですか?」

「同じく、写真で何度も。しかも、全て違うものだった。あいつはいつもどれだけ家族の写真を持ち歩いていたのか、今でも疑問だよ」

「大変ご迷惑をお掛けしておりましたようで...」

家に帰ったら文句のひとつでも言っておこう。

はそう思った。

「いいや、娯楽の少ない艦内ではそれなりに楽しめたよ。カインは、元気か?」

「私が着任するまでは、元気でした。その後は連絡を取っておりませんので不明ですが、元気だと思います」

が言うとパトリックは「ははは」と笑った。

父のそんな笑顔など当分見ていないアスランは困惑する。

「確かに、そうだろうな。カインに何かがあれば、誰かしら君に連絡を入れるだろうし、君に何かあれば、カインの耳に必ず届く。そういうことだろう。ああ、そういえば、ホーキンスに文句を言われたぞ。何故、をオレの隊に入れない、とな。知るか」

楽しそうにそう言う。

「ホーキンス隊長とも?」

「ああ、腐れ縁のようなものだ。あいつはバカみたいに突っ走ってたから私とカインが苦労した」

「そうでしたか」とが相槌を打つ。

これで話はお終いかな、と思ってが後方のシートに向かったとき

「ああ、もうひとつ聞いても良いか?」

と呼び止められた。

「何でしょう?」

振り返ると

「アイツは、まだ国防委員になるつもりはないのか?カインの功績なら、国防委員への就任はすんなり承認されるはずだ」

そう言われる。

「申し訳ありません。父の判断することですので、私も詳しくは聞いておりません」

答えると「そうか。長く引き止めて悪かったな」といわれ、は一礼をして後方のシートについた。


その後、クルーゼから受け取ったレポート内の、敵のMSのパイロットがコーディネーターという箇所を削除したとの話があった。

まあ、パトリック・ザラの信条を元に考えればそうなるだろうとは納得する。が、アスランは少しだけ困惑したようだ。

「我々ももっと本気になれねばならんのだ。早く戦いを終わらせるためにはな」

力強くそういうパトリックの言葉には静かに俯いた。

「この、新しい機体。ノルン、というのか。これは...面白い」

が顔を上げた。

「これに、今こちらにあるデータを移植できるということか?」

「まだ、予想の範囲ですが。互換性は多少見受けられます。同じ工場で作られたものですから。ただ、あの機体と他の機体ではまずフレームが違いますし、そうなると自ずと組み込めるプログラムの選択も狭まってくると思われます。それと、レポートにも書かせていただきましたが..」

「汎用性のことか。確かに、量産には向いていないだろうな。今の段階では。だが、もう少し改良を重ねればいけるとは思わないか??」

直接聞かれては少し考え、

「量産すると、恐らく“成長する”、と表現させていただきましたがその性能、私は長所だと思っているのですが、それは消えると思われます。量産型には、寧ろ邪魔ですから。そう考えると今お話した他の機体のプログラムの組込みについても、最初から作るのならそれを入れて作れば良いだけの話ですし。つまりは、生産する事に関しては手間が掛かるだけになると思われます」

と意見を述べた。

パトリックは「ふぅむ」と何やら考えはじめて黙り込む。

「そう、かもしれんな。それに、そんなに簡単に扱える機体でもなさそうだ。実際、このOSの構築の解析を見ても、今のザフトの全てのパイロットが手に負えるものとも思えん。最初に手にしたのが、“”で良かったな」

そう纏め、クルーゼと査問会の話を始めた。

...私、もしかして査問会に出る必要なくなった?

は首を傾げながら2人の会話を聞いていた。









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桜風
08.3.3


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