| 翌日、はジュール邸から直接軍本部へと向かった。 ノルンの調整を本格的に始めるためだ。 「よー、」 声を掛けられて振り返るとミゲルが居る。 「ああ、ミゲル。実家に帰らなくていいの?」 が聞くと 「や。折角昨日帰ったのに今朝早くにオレは何故か呼び出し」 と返ってきた。「は?」と聞かれて昨日の出来事を話すと声を上げて笑い、更には笑いすぎて足腰が立たなくなりその場にしゃがみこむ。 「そんなに笑うこと?」 が聞くと 「いやぁ、そのときのの表情。オレは見たかったな」 とミゲルは頷きながらそう言う。 「じゃあ、その場にミゲルが居なくて良かったってプラス思考で行こう」 が言うとミゲルは笑って「そうだな。そうしとけ」と言いながらの肩をポンポンと叩いた。 「」 今度は別の声で名前を呼ばれてそちらを見ると数ヶ月前にあったホーキンスが居た。 その隣にはオレンジ色の髪をした人物が居る。 が首を傾げる。誰だろう? しかし、それを解決したのはミゲルの呟きだ。 「おい、ハイネ・ヴェステンフルスだよ...」 その名前なら聞いたことがある。 はひとつ頷いた。 「お?出戻りか?それとも、この素敵なオジサマの隊に入りたくて直談判しに来たのか?よーし、即採用だ!!」 相変わらず何となく陽気な人だと思った。 「お久しぶりです、ホーキンス隊長」 は敬礼をし、ミゲルも慌てて敬礼をする。 ホーキンスと隣のハイネも敬礼を返す。 「ま、噂はかねがねだ。変なの拾ったんだって?」 ホーキンスが言う。噂ってそういう感じで広まっているのか... 「ええ、まあ...」 が歯切れ悪く答えるとホーキンスは楽しそうに笑った。 「まっ、若いときに沢山苦労しておけば私のように年を重ねると、渋みってものが出るからオススメだな。んで、その隣に居るのは?他の男を連れて歩いていると婚約者が怒るんじゃないか?」 ホーキンスの言葉にはそっと溜息をつく。 「パイロットは明らかに男性の方が多いんですよ?それで一々何か言われたら溜まったものじゃないですよ。そこまで狭量ではありません」 の言葉にまたしても楽しそうに笑う。 「そうか、そうか。婚約者に対して失礼だったな。ところで、知ってるかもしれないが、一応紹介しておこう」 そう言って隣に立つ人物を見遣る。 「ハイネ・ヴェステンフルス。まあ、忘れても良いぞ」 「隊長、それは酷いです。ハイネ・ヴェステンフルスだ。君が、あのカイン・のご息女か。会ってみたいと思っていたんだ」 握手を求められてがそれに応える。 「ばか!親父のことは言うな。、気にすんな。親父が優秀でもばかは生まれるし、逆もまた然りだ。ついでに、此処で親父の名前を出すばかも沢山いるだろうけどな」 ホーキンスがとハイネの手を早々に剥がしてそう言った。 は苦笑をして 「ザフトに入ると決めたときから、覚悟しておりますので大丈夫です。ありがとうございます、ホーキンス隊長」 頭を下げた。 「んで、お前の隣に居る奴は?ハイネに憧れているのはよーく分かったが名前が分からん」 憧れの眼差しを只管ハイネに送っていたミゲルは自分のことに話を移されて少し焦る。 ハイネもミゲルの視線には気付いていたが、気にしないフリをしていた。 「は!ミゲル・アイマンです。と同じく、クルーゼ隊に所属しています」 「ああ、お前か。今日、本部に呼び出されているだろう?」 ホーキンスの言葉にミゲルが頷く。 「配置換えがあってな。というか、ムカツクからクルーゼ隊からパイロット引き抜いてやった。本当は、・を希望したんだが。パトリックに即却下された。ムカツク!」 「「は?」」 とミゲルは同時にそう聞き返す。 「うーん、上手くいかないよな。エースパイロットだって聞いたし、まあ仕方ない。というか、うちの隊って花がないと思わないか?」 ホーキンスは構わず続けているがその隣のハイネは呆れたように溜息を吐いた。 「そんな理由で配置換えさせられるミゲルの身にもなってやってくださいよ。『ムカツクから』って...せめてその腕を買って、とか。まだ他に言いようがあるでしょうに」 「ん?勿論、腕は買ってるぞ?その判断力も。そんな使えないやつを態々引抜するほど物好きでもない。お?どうした、ミゲル?」 突然の異動に放心するミゲルの顔の前で手をヒラヒラと動かす。 はその様子を見ながら少しだけ顔が引き攣っていた。 「当分、本部付きだからも遊びに来ても良いぞ」 ホーキンスはそう言って去っていく。 その日付で、ミゲルはホーキンス隊所属となる。 身分は何も変わらないので降格でも、左遷でもない。どちらかといえば、引き抜きという扱い、つまりはヘッドハンティングだから、その腕を買われていると静かに噂は広まった。 |
桜風
08.3.7
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