Like a fairy tale 39





翌朝早くが本部に出勤しよう玄関に向かっていると寝起きらしき父が出てきた。

「毎日うちから通う気か?」

「今のところ、その予定ですけど...」

が答えると

「きついぞ。昨日は早めに切り上げただろうし、実戦をしていないから体が楽だったと思うが、この先、ノルンの訓練もするんだろう?」

父の言葉に頷く。

「私は寮の部屋を借りる事を勧めるよ。勿論、が毎日帰って来てくれたら嬉しいが、疲れが取れなくてMSに乗った挙句に負傷するなんて目も当てられないぞ」

は頷いて、「考えてみます」と言って家を出た。


本部に着いたのは時間ギリギリであり、先輩のいうことは聞いたほうが良さそうだと納得した。

昨日移植したプログラムにあわせてメカニックが多少改造を加える。

はそれに合わせてOSの微調整を行い、少しずつ改良が加えられた。

午前中その作業を終了させ、午後はMSの動きのチェックに入る。

新しいプログラムを組み込んだ事で動きが悪くなればそれはそのままマイナス要素だ。

数日間、そんな調整を続けていった。

メカニックも、パイロットもお互い不都合のない機体になり、今度はMSを相手に戦闘を行ってみる。

プラント内での戦闘に慣れたら、今度は宇宙空域で、といったように段階を上げつつ、ノルンの調整をしていった。

こんなに大切にされる機体だろうか?

そんなことを思いながらもはそのペースに合わせて調整をしていった。

規則正しい生活にすっかり慣れた頃、プラントでのノルンの調整は終わった。

すぐにクルーゼ隊に合流したいが、それも中々難しいようで。

ノルンだけで合流するのははっきり言って燃料的に無駄な動きである気がする。

現在、クルーゼ隊は地球の傍にいて足付きを追っているのだから。




何とかしてクルーゼ隊に合流する術はないだろうかと悩んでいると声を掛けられた。

「うわ、久しぶりねー」

声を掛けてきたのはミゲルだった。

「おう、本当にな」

そう言ってくしゃりとの頭を撫でる。

「ノルン、もう出れるんだって?」

ミゲルの問いには頷いた。

「ノルンの調整は済んだけど、クルーゼ隊に合流するのにどうしたものかと思って」

が言うと「ついでだから、ホーキンス隊に入れば?」とからかわれる。

「遠慮しとく」というに「やっぱ、イザークと離れ離れになるのは寂しいか」などと言い出す始末。

それに答えずは肩を竦めた。

「こらミゲル!何をナンパしてんだ」

とゴツンといい音がしたかと思えば、ホーキンスが居た。

「お久しぶりです」

「おー、元気そうだ。明日、うちは18:00に出港予定なんだ。ボアズにちょっと駐留するんだけどな。本部の方にちょっと遠回りするって申請したら通ったから送ってやるよ。もんの凄く近くまでは送れないけど6割近くまでなら、まあ、許容範囲だろうし」

と言われての目が輝く。

「いいんですか?」

「おう。本部もどうしたもんかって思ってたみたいだし」

と言われては首を傾げる。

「嫌だろうけど、親父のご威光ってやつだよ」

つまりは、あの英雄の子供に便宜を図っておいたほうがいいだろうなんてことのようで、はまたしても肩を竦めた。

「ま。今回は親父に感謝しとけ。んでもって、プラント駐留最後の日だし、家に帰れよ」

ホーキンスに促されては実家に帰ることにした。

しかし、その前に寄り道をすることにした。


「元気?」

病室を覗くとそこには退屈そうにボーっとしているラスティが居た。

「暇。人って本当は暇すぎて死ぬことがあるんじゃないかな?」

「それはないでしょう」

ラスティの言葉をあっさり否定してはベッドの傍の椅子に腰掛けた。

「どうなの?」と肩を指す。

「放っておいた時間が長いからな。その分、治療にも時間が掛かるって」

「あーあ」と呟いてラスティは窓の外を見た。

「もう行くのか?」

「うん、ノルンの調整、終わったから。明日、ホーキンス隊がボアズに向かうのに迂回して送ってくれる事になった」

ラスティは納得したように「そっか」と呟く。

「ラクス嬢、無事でよかったよな」

行方不明から1週間して彼女は無事プラントに帰ってきた。

そして、クルーゼ隊とアスランの株が上がる。

アスランの株が上がれば、父親の株も上がる。

「よく出来た方程式だ」

の言葉にラスティも

「さすが、アスランの親父さんだな」

と応えた。

暫く話をしていたが、自分は実家に帰るのだったと思い出しては慌てて病室を後にした。



今度は前以て父に連絡を入れていたため、歓迎される。

が帰りにスーパーで材料を買ってきて久しぶりの手料理を振舞った。

「腕落ちたんじゃないか?」

からかうように父が言うが、

「食べれなくもないでしょう?」

というの言葉に笑う。

「そういえば、お父様」

「何だ?」

「部屋のあの荷物、何ですか?」

以前家に帰ったときにあった荷物が増えていた。

これは、やはり物置と化すのか...

そう思っていたら

「ああ、エザリア殿が。に似合いそうなあれやこれやを送ってくださっててな。まあ、そういったものだ。プラントを発つ前にお礼を言っておきなさい」

約10日であんなにも荷物が増えるのか...

「あまり着る機会がないんだけど...」

「この戦争が終わったら、また一緒に買い物に行きたいと仰ってたぞ。...頑張れ」

娘の表情を見て思わずエールを贈る父。

は肩を竦めて「はーい」と間延びした返事をした。









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桜風
08.3.14


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