| はイザークが寝たのを確認してイザークの頭を浮かせて抜ける。 じん、と痺れた足に苦笑いを浮かべて枕を取り、イザークの頭の下にそっとしいた。 「こっちの方が良く寝れるでしょうに」 は呟いて静かにデスクに戻った。 「ごめんね、ノルン」 暫く悩んで電源を落とす。 振り返ってイザークの寝顔を目にする。 目が覚めたとき、自分が居なかったらイザークは結構ショックを受けるだろう。 疲れを溜めているようだから、今日くらいはイザークの望みでも叶えてあげよう。そんな気分になった。 しかし、ノルンの整備をするはずだった時間をこの部屋で過ごすことになると今度はすることがない。 そういえば、当分手にしていなかった銃の整備でもしようと思い立った。 引き出しから銃を取り出す。 分解していって、違和感に気付いた。 今まで何度も分解して整備をしていたというのに、今始めて気がついた。 「何だろう?」 そこに力を入れるとパカリと割れる。 父から貰ったその銃を壊してしまったかと一瞬焦ったが、どうやらそうではなく、元々改造してあったもののようだ。 その中から薬莢が数個出てきた。 手にとって違和感を感じる。 重さが、違う。 は慎重にその薬莢を開けてみた。 中からはデジタルチップが出てきた。 自身の好奇心に従い、そのチップの中身を今此処の端末で見てみることにした。 フォルダの中には何個もの圧縮ファイルがあり、そのひとつ、一番日付の古いものを開けてみた。 それは動画だった。 はその動画の映像と声に驚く。そして、すぐに溢れてきた涙には気付かないかのようにそれを拭うことをせず、ただモニタから目を離すことができなくなっていた。 別のファイルはテキストで、そこに綴られた文字に目を細める。 全てを見終わることは出来なかったが、は分解した銃を元に組み立て、そして、その椅子の上で膝を抱えて丸くなった。 少し肌寒い気がしてイザークは目を開ける。部屋の中はすっかり暗くなっている。 その先には天井で、の姿はない。 まあ、途中で抜け出すと思ったが... そう思って体を起こした。 すると、がデスクの前の椅子の上で丸くなっている。 てっきりノルンの元へと行ったと思っていた。何せ、は親馬鹿だから。 「」 声を掛けてみたが反応がない。 寝起きの、少しだるい体を動かしてベッドから降りる。 時計を見ると、この部屋に来てから既に2時間経過しており、意外とぐっすり寝たんだと自分でも驚いた。 面倒くさい、と思いながらもブーツを履いての下へと足を進める。 「どうした?」 寝たのか、と思ったがどうやら違うようで鼻をすする音がした。 「、泣いてるのか?」 は膝を抱えて俯いたまま首を振った。 いや、泣いてるだろう... どうしたもんかと少し悩んだイザークはその丸くなってるをそのまま抱き締めた。 「どうしたんだ、全く」 少し、困ったと思いながらも優しく声を掛ける。 「何でもないの」 「じゃあ、泣くな。生憎と、俺は気の利いた何かが言えるほど口が達者というわけじゃないんだ。正直、今どうして良いのか分からなくて困ってる」 イザークの言葉にはクスリと笑う。 「大丈夫、期待してないから」 あ、ちょっとムカツク。 イザークはそんなことを思いながらも、が少しだけいつもの調子を戻したようで安心した。 は顔を上げた。 やっぱり泣いてたんじゃないか... あきれてそう思った。 の鼻の頭と目が赤くなっている。 しかし、今それを指摘してもは素直に認めないだろうし、寧ろ頑なになって何を言い出すか分からない。 イザークは言葉を飲み込んだ。 「取り敢えず、顔を洗って来い」 がきょとんとイザークを見上げる。 「基地の中、少しくらいなら散歩できるだろう?今晩は晴れている」 は嬉しそうに頷いて勢いよく椅子から飛び降り、洗面所へと向かって行った。 はぁ、とイザークは溜息を吐きながら自身の軍服の上着に手を伸ばす。 ふと、デスクの上においてある拳銃が目に入った。 それはがアカデミーを卒業したときに父から譲り受けたものだ。 「ホームシックか?」 まさかな、と自分の呟きを否定してイザークは大人しくを待った。 |
桜風
08.4.4
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