Like a fairy tale 49





カーペンタリア基地内を赤い軍服が並んで歩いていた。

「高いところがいい」

「ああ。何とかとバカの仲間だったもんな、は」

そう返すイザークを半眼で見上げるだったが、イザークは気にも留めないで上の方をキョロキョロと眺める。

どこか上がれそうな棟を探しているようだ。

管制塔、はまずダメだし...

「あの屋根の上は?」

が指したのはMSの格納庫の屋根だった。

「昇れるのか?」

イザークが聞くと「たぶん...」とは少し自信なさげに応えた。

まあ、行ってみてダメだったら他を探して、それでもダメなら海岸に行けばいいだろう。

そんなことを思いながらの指した格納庫へと向かってみた。


格納庫の中から上方へ向かう。

「梯子だぞ?」

屋根の上に出るにはこの梯子をクリアしなければならないらしい。

「いっちゃおー!」

が言う。

「先に昇れ」

イザークは溜息を吐きながらの後に続いて梯子を上った。

先に昇り終えているは屋根の上ではしゃいでいた。

「見て、凄い!降ってきそう!!」

ああ、見える。見えてるとも...

そう思いながらイザークは頷き、の指す夜空を眺めた。

空の色も、プラントは完璧に再現をしているはずなのに何だか全然違う気がする。

砂漠は好きにはなれないが、こういう空なら好きになれそうだ。

イザークは何となくそう思いながら座った。

は立ったまま、飽きることなくはしゃいでいる。

「落ちるなよ」

イザークが言うと

「大丈夫!落ちるときはイザークも一緒だから」

と自信満々には笑顔全開で言った。

巻き込まれるんだな。

イザークは溜息を吐いた。


が鼻歌を歌う。先ほどのものとは違うようで

「それも、の母上が歌っていたのか?」

と聞いてみた。

振り返ったの表情にイザークは戸惑いを覚える。は、今まで見たことのないくらいのとても穏やかな笑顔を浮かべている。

「そうだよ。ママ..」

言ってはパシンと自分の手で口を塞いだ。

暗くて見えにくいが顔が真っ赤に染まっている。

イザークは苦笑した。

「別にいいんじゃないか。にとっての母上は4歳のときで止まっているんだ。まあ、他のやつの前で言うのはオススメしないが、俺は別に気にしないぞ」

イザークの言葉を聞いては嬉しそうに目を細めた。

「ありがとう」といつに無く素直だ。

イザークも危うく自分のペースを乱すところだったか、ここは立て直して、

「で、の母上がどうしたんだ?」

と話の続きを促した。

「うん。ママは、歌が好きだったの。たくさん歌ってくれてた。何だかよく分からない歌もたくさん口ずさんでいたなって」

「そうか」とイザークは返す。

そして、はまた何かを口ずさんでいた。それは過去を思い出すように、眩しそうに目を細めながら。



はひとしきりはしゃぎ、飽きることなく星空を眺めていた。

イザークが欠伸をし始めた頃、はすっくと立ち上がる。

「もういいのか?」

「ん。ごめんね、イザークお疲れなのに」

が言うと「別に。さっき寝たから気にするな」と返す。

そういえば、夕飯食べていないと思い出して2人は食堂へ向かった。

途中、事務官を見つけてが駆け寄る。

「先行ってて」と言われてイザークは食堂へと向かった。



翌朝、日の出と共にノルンとヘリがカーペンタリアを後にした。

その時間には目が覚めていたイザークも宿舎の窓からその様子を眺めて溜息を吐いた。

ノルンの整備等がある分、の方が休んでいないと思うのだが。

どうせ本人に言っても聞き入れないだろう。

朝食を摂りに食堂へ向かうとディアッカと会った。

「よー、ゆっくり出来たか?」

「ま、隊長殿のお陰で」

そんな会話をしながら食堂で朝食をとっていると声を掛けられる。

昨日、が声を掛けていた事務官だ。

さんは、ご一緒ではないのですか?」

「ああ、ちょっと出てるが。どうかしたのか?」

「ええ、頼まれた銃が用意できたので、受領しに来ていただきたいと思いまして」

その言葉にイザークとディアッカが顔を見合わせる。

はあの英雄と謳われた父から銃を譲り受けている。

だから、軍で支給される銃は要らないと以前言っていた。それはディアッカも聞いたことだし、何より、イザークは昨日の銃を目にしたばかりだ。

「えーと、それ。間違いじゃなくて?」

ディアッカが聞くと

「いえ、昨日頼まれて...」

事務官が困った表情をしたため、

「まあ、伝えておく。間違いだったら本人からその旨の説明をさせよう」

とイザークが請け負った。

昨日、銃を前にして泣いていたのは、壊してしまったからだろうか?

いや、に限ってそれはない。イザークは自分の頭にふと浮かんだそんなことをすぐに否定して食事を続けた。


アスランは早々に見つかったらしく、ニコルがヘリにグゥルを搭載させていたので、それに乗ってアスランは戻ってきて、もその知らせを受けて戻ってきた。

イザークが今朝の事務官との話をするとは頷き、銃を受領しに向かった。

やはりイザークとディアッカは首を傾げてお互いの顔を見合わせた。









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桜風
08.4.7


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