Like a fairy tale 50





母艦の受領が終わり、その足でアークエンジェルを追った。

前回、砂漠で見たスカイグラスパーは1機しか出てこない。

「アレは私が」

グゥルを使わずに大気圏を自力飛行できるがスカイグラスパーの相手を買って出る。

「頼んだぞ」

アスランがそう声を掛け、自身はアークエンジェルに向かう。

「おっこちるなよ」

「イザークの方がおっこちそうだけどね」

はイザークにそう返して上空へと向かった。

数発、ミサイルをそのスカイグラスパーへと発射した。

ギリギリとは言え、それを全てかわされは口角を上げる。

「中々...」

取り敢えず、このスカイグラスパーをアークエンジェルから遠ざけるの自分の仕事であるため、アークエンジェルを背にしてスカイグラスパーへの攻撃を向ける。



4機かかってアークエンジェルを落とそうとしているが、まずはイザークが落ちた。

派手な水しぶきを上げて海の中へと消え、それに続いてニコルも落とされた。

アラームが鳴り、オーブ軍の接近を知らせる。

「領海、ギリギリかぁ」

現在の煙を上げているアークエンジェルの位置はオーブの領海線ギリギリである。

オーブは武装した船舶等の事前協議なしの領海への侵入を認めず、それに対しての発砲剣を有している。

何せ、中立の自治国であるから。

は呆れた表情を浮かべて肩を竦めた。

イザークたちが持って帰った機体も、が今乗っているノルンもオーブのコロニー、ヘリオポリスで作られたものだ。これで中立というのだから...

取り敢えず、隊長の判断に任せようと思い、さらに、アークエンジェルの攻撃部隊が減ったため、スカイグラスパーを落とすことにした。

取りえず、海に落とせば何も出来ないだろう、と判じてはそのスカイグラスパーの左翼を打ち抜いた。

それは急旋回してにビーム砲を向けるがそれはに掠ることはなかった。

スカイグラスパーはそのままアークエンジェルへと戻っていく。

そして、が自分もアークエンジェルに向かおうとしたとき、オープンチャンネルの通信がアークエンジェルから発せられる。

驚いた事に、あのアークエンジェルの中にはオーブの代表、ウズミ・ナラ・アスハの娘が居るという。

「ご心配なくってね!領海になんか入らせねぇよ。その前に、決める!」

ディアッカがアークエンジェルに攻撃を仕掛けるが、その砲がそれ、オーブ艦の傍の海に水柱を作る。

「ディアッカ、オーブ艦に当たる。回り込め」

ディアッカがアスランの通信に気をとられた隙にストライクがビームライフルを撃ち、それがディアッカのグゥルに命中した。

苦し紛れのディアッカの砲撃がアークエンジェルのエンジンに当たる。

そのまま推力が落ちたアークエンジェルは高度が取れずに着水し、オーブの領海内に入った。

そして、オーブからの砲撃がアークエンジェルに向けられた。

「引くしかないねぇ。もう手が出せないでしょう?」

がアスランに通信を入れた。

「...ああ、引き上げるぞ」

「了解」

とアスランは帰投した。



艦に戻ってコックピットからドックの中を見る。

相変わらずイザークがご立腹だ。何故おめおめと帰投したのだとアスランに詰め寄っている。

「可愛そうに...」

少しだけ同情しつつもはハッチを開いた。

!貴様も何故戻ってきた」

「最初に、この艦に戻ってきたのはイザークでしょ?」

にそう指摘されてイザークはグッと言葉に詰まり、そのままを睨む。

「もう、オーブは一応声明を発表してくれてるんじゃないの?アークエンジェルはうちにはいませんって」

そう言いながらはブリーフィングルームへと向かった。

予想通り、オーブから声明が発表され、内容もアークエンジェルはもう既にオーブから離脱したとのことだ。

ブリーフィングルームではまたしてもイザークの血圧が上がる。

声明をプリントアウトした紙をテーブルに叩きつけてこんなものを信じられるかと叫んでいた。

ディアッカもそれに追従する。

「オレたち、馬鹿にされてんのかね。やっぱ、隊長が若いから?」

ディアッカの言葉を聞いてニコルが窘めるように彼の名前を呼ぶ。

「まあ、隊長が若かろうが、そうでなかろうがオーブの対応は変わらないでしょうね。で、どうする?カーペンタリアに戻って体勢を立て直してから、アラスカまでの航路に網を張ってみる?」

が言うと、アスランは溜息を吐いた。

「これがオーブの正式回答というなら、此処でオレたちが嘘だと騒いだところでどうにもならないという事は確かだろう」

アスランの言葉にイザークは「何を!?」と噛み付くが、は頷く。

「だね。無駄な事だわ」

!」

イザークが振り返って睨む。

「だったら、貴様は。あの足付きをこのまま見過ごせというのか?!」

「押し切って通れば、本国を巻き込む外交問題だ」

アスランが言う。

「ふぅん?流石に冷静な判断だなアスラン。いや、ザラ隊長」

イザークがいい、「だから?はい、そうですかって帰るわけ」とディアッカがアスランを挑発する。

「カーペンタリアから圧力を掛けてもらうが..」

「ま、無理でしょうね。丁寧な対応をしながらもオーブは意見を変えない。そうやって話を長引かせている間にそのまま無事にアークエンジェルがオーブを後にするわ」

アスランは頷く。

「ああ。だから、すぐに解決しないようだったら、潜入する」

その言葉に皆は驚く。

「それでいいか?」

イザークは不快そうな表情になる。

「足付きの動向を探るんですね」

ニコルの言葉にアスランが頷く。

「どうあれ、相手は仮にも一国家なんだ。確証の無いまま、オレたちの独断で不用意なことは出来ない」

「突破していきゃ、足付きが居るさ。それでいいじゃない」

「居なかった場合、どうするの?」

ディアッカにが問う。

「そ、それは...」

「『ごめんなさい、間違ってました』では済まないことくらいは、理解してるでしょう?」

「ヘリオポリスとは違うぞ」

にアスランが続ける。

軍の規模も。そして、オーブの軍事技術の高さは周知のとおりだし、その上、軍の構造がどうなっているのか計り知れない厄介な国だと。

イザークはふん、と笑って「オーケー、従おう」と言い、それにディアッカが驚きの表情を見せる。

「俺なら突っ込んでますけどね。流石、ザラ委員長閣下のご子息だ。ま、潜入ってのも面白そうだし?案外ヤツの、あのストライクのパイロットの顔を拝めるかも知れないぜ」

そう言ってイザークは出て行き、ディアッカもそれに続いて出て行った。

は溜息を吐く。

「まあ、オーブにアークエンジェルが居るってのは多分間違いないと思うな、私も。アレで離脱は出来ないでしょう。推進部分やっちゃってるし。けど、イザークが隊長じゃなくて本当に良かったわ。突っ込んで行ってるって。今の状況で。そりゃ、まずいでしょうに」

は言って、ね?とニコルに向かって微笑んだ。

「え、ええ。まあ...」

「で、アスラン。潜入って?」

がアスランに聞く。

「オーブにもこちらに協力する人物が居るだろう。地球軍に協力した人物が居たように」

なるほど、とは頷いてブリーフィングルームを出て行った。









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桜風
08.4.7


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