Like a fairy tale 53





母艦に戻り、アスランが言った。

「足付きはオーブに居る、間違いない。出てくれば北上するはずだ。此処で網を張る」

イザークが異を唱え、今回はニコルもカーペンタリアに戻る事を具申する。

は、どう思う?」

ディアッカに突然水を向けられては少し驚いたが、

「まあ、ね。隊長が言うならそれに従うものでしょう。それに、あの足付きの推進力から考えてオーブを出ていたとしたらもうアラスカの、地球軍の勢力圏に入ってるし。そうなったら追いかけらんないでしょ?」

と返した。

「だったら、ここで指を咥えて居もしない足付きを待つことのほが馬鹿馬鹿しいだろう!」

と怒鳴るのはやはりイザークで

「居ない確証はないでしょ?つまり、居るかもしれない。この物の言い様だったらアスランには確証がある。詳しくは教えてくれないみたいだけど。だったら、それに従っても良いんじゃないの?」

は冷静に返した。

「ここで大人しく忠犬よろしく、居もしない足付きを待っていても笑いものになるだけだろうが!今動けば足付きに追いつけるかもしれない!アレだけ艦に損害が出ているんだ。そういつもどおりの動きは出来ないだろう」

「それこそ、地球軍の勢力圏内に突っ込んで海の藻屑なんてことになったら、笑いものでは済まないくらいの評価をいただけると思うけど?」

「なん、だとー!?」

「とにかく!此処で網を張る。いいな、イザーク」

アスランが強引にまとめてブリーフィングを終了させ、カーペンタリアに連絡を入れて補給を受ける手続きをする。



「どういうつもりなんだか」

自室でイザークがベッドに寝転んで呟く。

「マジだよね。ホントに補給まで受けちゃってさ。も妙にアスランの肩を持つし」

イザークはゴロリと寝返りを打った。

先日のブリーフィングを思い出して抑えられない。

「これでここにもう2日だ!違ってたら足付きはもう遙か彼方だぞ」

「のしちゃう気なら、手ぇ貸すよ」

煽るディアッカの言葉にイザークは虚をつかれた。

「どうする?クーデターやる?」

そう言ってディアッカは笑う。

イザークはふん、と笑い

「残念ながらそれほど単純な頭でもないんでね」

とディアッカの提案を断った。

が、イザークの眉間に刻まれた皺はまだ取れない。



「アスラーン」

ニコルが駆けて来る。

向こうのデッキからトビウオの群れが見えるから一緒に見ないかと声を掛けてきた。

潜入作戦から戻って以来気落ちしているようなアスランを元気付けようとニコルは何かと気を使っている。

はそれを上から眺めていた。

「不安、なんですか?」

ニコルの言葉にアスランは驚いて聞き返す。

「大丈夫ですよ。僕はアスラン、じゃない。隊長を信じています」

アスランの表情が柔らかくなった。

少しニコルとアスランはデッキで話をし、ニコルは先に戻った。

「で、あのロボット鳥の子が幼馴染?」

上から降ってくる声にアスランは驚いて見上げる。

そこは逆光になっており、目を細めて手で日陰を作る。

「ああ、ごめん」

そう言ってが飛び降りてきた。

「あそこに居たのか」

「そ。盗み聞きするつもりはなかったんだけどね」

は、何故?」

さきほどニコルに問うたそれをにも向ける。

「私は...わかんない。ただ、うちは軍人家系で、ザフトに入るのが当たり前だと思ってたから。英雄と呼ばれる父も居たし。
けど父は、別にそう言うのを気にしなくても良いって言ってたけど。そう言う割りに、私に体術、射撃、ナイフ。軍で必要な事を沢山教え込んでくれたのよね。何か、もう必然って感じかな?まあ、アカデミーに入るのは少し遅かったけどね」

「そうか」とアスランは呟き、「の言うとおりだ」と言う。

一瞬何のことか分からなかったが、先ほど自分がアスランに投げた言葉の答えだと気がつき、「そっか」と呟く。

「何で、わかったんだ?」

「頑なまでに、アークエンジェルがオーブに居るって言うからね。たぶん、アスランの性格なら、確証がないからカーペンタリアに戻って情報を洗うっていうニコルの意見に同意したんじゃない?けど、それはしないけど、理由はいえない。ま、そう言うことでしょう?あのロボット鳥を返しに行くときも何だか変だったしね」

の言葉にアスランが力なく笑う。

「イザーク、相当怒ってたよな」

「まあ、いつものことでしょ...理由なんて言えないもんね、此処まで来たら」

は困ったように笑った。

きっとまた顔を合わせたら睨まれるんだろうな...

それを思うと少しだけ憂鬱ではアスランに気付かれないようにそっと溜息を吐いた。









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桜風
08.4.14


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