Like a fairy tale 55





母艦に戻ったイザークは更衣室で荒れていた。

ロッカーに拳を入れ、けりも入れる。

その衝撃で、ニコルのロッカーが開いてしまった。

中の制服が目に入り、思わず手を止める。

「イザーク」

ディアッカが窘めるように名を呼ぶ。

「何故あいつが死ななきゃならない!こんなところで!ええ!?」

アスランがイザークの胸倉を掴んでロッカーに押し付ける。

「言いたきゃ言えば良いだろう。オレのせいだと。オレを助けようとしたせいで死んだと!!」

「アスラン!」とディアッカが窘める。

目じりに涙を浮かべてイザークはアスランを睨む。

「イザークもやめろ。此処でお前らがやりあったってしょうがないだろう」

ディアッカが2人を引き剥がす。

「オレたちが討たなきゃならないのはストライクだ!」

「分かってるそんなことは!仲間が沢山やられた。俺も傷を貰った!次は必ず、あいつを討つ!!」

着替えることなくイザークは更衣室を後にし、ディアッカもそれを追いかけた。


独り更衣室に残ったアスランは開いたロッカーの隙間からニコルの制服を目にする。

制服を取り出すとスコアが床に散らばった。それは、ニコルが時間を見つけては作っていた曲だ。

優しいニコルの表情を思い出す。

彼の制服を抱き締め、アスランは慟哭した。そして、親友のキラを討つことを心に誓った。



「おい、イザーク!」

ディアッカがイザークの後を追いかける。

このまま放っておくと何をしでかすか分からない。

が居たら、少しは...?!おい、イザーク!、見てない、よな?」

ディアッカの言葉にイザークは足を止める。

まさか、という表情を浮かべてそのままの部屋へと向かった。

は更衣室を利用しないからパイロットスーツにに着替えるときも自室だ。だから、帰ってきたらすぐに自室に向かうため、彼女の部屋に行かないと会えない。

ブザーを何度押しても反応がない。

!!」

ドアを叩いても反応がない。

「くそッ」と毒づいてドックへと向かった。

それぞれのハンガーには、イージス、デュエル、バスターの3機しかない。

いつも5機あるのに、2機足りない。

「ノルンが、ない...?」

呆然と呟いた。

急いでデュエルに乗り込み、通信を試みる。

!返事をしろ、!!」

電波状態は悪くない。だから、機体が動けなくなっていても彼女が生きているのなら、ちゃんと救難信号を発しているはずだ。

それなのに、その信号をキャッチしてはいないし、応答もない。


イザークは操舵室へと向かった。

から何か通信とか、信号は?」

艦長に向かってそう言う。

艦長は静かに首を振った。

「足付きの砲撃を食らったところで通信不能になっている。これはもう、MIAとしか...」

「ふざけるな!アイツはこんなところでは死なない。あいつを誰だと思っているんだ。だぞ!!」

艦長に食って掛かっているイザークを見つけてディアッカが止める。

「やめろって、イザーク!」

「離せ、ディアッカ!!」

「いい加減にしろ!」

ディアッカはイザークを殴り飛ばした。

「いつもに言われてただろう。熱くなりすぎだって!冷静になれよ!!お前だけが心配してんじゃないんだからな」

イザークは奥歯をギリ、と噛み締めた。

「いいから、ほら。お前はまず着替えろ。んで、足付きに追いつくまで寝ろ」

そう言ってイザークを操舵室から追い出す。

ディアッカは艦長に向かって小さく頭を下げた。



イザークも制服に着替えて少しだけ休息を取り、アスラン、ディアッカと共に操舵室へと向かった。

「センサーに艦影。足付きです」

オペレーターが言う。

イザークたちはそのモニタの前に向かった。

「間違いないか」

艦長の言葉に「有りません」と返す。

「今日でカタだ、ストライクめ」とイザークは低く唸った。

とニコルの仇も、お前の傷の礼もオレがまとめてとってやるぜ」

「出撃する」

アスランがそう指揮を執り、イザークたちはパイロットスーツに着替えてドックに向かった。

アラームが鳴り、3機が射出される。

...」

自分が受けた傷よりも、仲間の死よりも、許せない。

という存在を奪ったあのストライクが。









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桜風
08.4.21


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