Like a fairy tale 60




アスランとの別れを済ませたあと、は再びノルンの元へと向かった。

イザークは別の用事があり、そこまでは一緒に行かなかった。

ノルンのOSの再構築を済ませ、自室に戻る。

部屋に戻ったときには日付が変わっていた。

どうも、ノルンの調整をしていると時間感覚がなくなってしまうなと反省する。以前イザークに指摘されて以来、一応気をつけてはいるのだが、やはり難しいものだ。

通信が入っていたようで、それを開ければニコルが目を覚ましたとの連絡だった。

急いで病院へと向かった。


夜間出入口からニコルの病室に向かう。

看護士詰所に声を掛けると凄く迷惑そうな表情をされたが、面会を少しの間だけ許可された。

ブザーを押すと中から微かながら声が聞こえる。

ドアを開けて「ニコル」と声を掛けると、「...?」と返事がある。

ベッドの傍まで近付いてニコルの顔を覗きこんだ。

「ああ、。また、会えるとは思いませんでした」

凄く小さな、力のない声だが、頭はしっかりしているようだ。

「そ?寂しいこといわないで」

そう言いながらは椅子を引き寄せてニコルの顔の傍に座った。

ニコルは弱々しく笑う。

「アスラン、は?」

「転属。ストライクを討ったらしいから、その功績を称えてネビュラ勲章。で、本日付で国防委員会直属の特務隊になっちゃった。あ、昨日付けだ。昨日、プラントに帰ったよ。新しい機体の授与があるらしいの」

「そう、ですか。良かった。アスラン、生きてるんですね」

嬉しそうに呟くニコル。

「うん、生きてる。ニコルも、ちゃんと生きてる」

そう言ってそっと頬を撫ぜた。

ニコルはくすぐったそうに目を細める。

は時計を見た。

「ごめん、もう行かないと。無理を言って面会をこの時間でも許可してもらったから。また後で来るわ。今度はイザークも一緒に」

の言葉にニコルは微笑んで頷く。

椅子を元の位置に戻しては部屋を後にした。



自室に帰るとイザークがのベッドの上に座っていた。

「鍵くらい掛けていけ」

は目を丸くして「開いてた?」と聞く。

イザークは不機嫌そうに頷いた。

「そっか、ごめん。で、何か用?」

「怪我人がウロウロするな!」

怒られた。

「あのー、ね?そんな動けないような重症患者じゃないんだから」

が言うとイザークは睨む。

よっぽどが居なくなったときの衝撃が大きかったようだ。

こっそりあの艦のオペレーターに、イザークの動揺と激昂ぶりを聞かされたときには「大変ご迷惑をお掛けしました」と艦長に頭を下げに行くべきか悩んだものだ。

「明日、と言ってももう『今日』か。潜入捜査の指揮をしていたクルーゼ隊長が帰ってくる。スピットブレイク、発動になるだろう」

「さっき、呼び出されたのって、それ?」

イザークは頷いた。

「そっか。じゃあ、明朝出発だね、きっと」

「ああ、だからちゃんと体を休めておけ」

そう言ってイザークはベッドから立ち上がる。

「ノルンの方はどうだ?」

「OSの再構築は終わった。修理も98%完了だって。明日調整したら、もう出られるよ」

「腕は?」

「『ひび』だからね。言うほどじゃない。大丈夫、問題ないよ」

の言葉にイザークは眉間に皺を寄せる。が、何を言っても無駄というのはよく分かっているから強くはいわない。

「明日は、休め。調整はパナマへ行く道すがら出来るだろう」

そう言ってイザークはの前に立った。

「無茶はしてくれるな」

「それは、お互い様」

「減らず口め」と言いながらイザークはの額に唇を寄せて部屋を後にした。

目をぱちくりとしながら

「キスをする前に言う言葉として果たして正しいのか...?」

と首を傾げた。

ああ、ニコルが目を覚ました事を言うのを忘れた。

ま、明日の朝食時にでも言えば良いか。

はそう思い、シャワールームへと向かった。









NEXT


桜風
08.5.2


ブラウザを閉じてお戻りください