Like a fairy tale 61





気がつくとベッドにうつ伏せになっていた。窓の外が明るい。日が昇って結構時間が経っているようだ。

体を起こして頭をかく。髪もボサボサのようだ。

顔を洗いに行って鏡を見て思わず声が漏れる。

「うーわー...」

流石に自分でも驚く。

どうしよう...

途方に暮れていると来客を告げるブザーが鳴る。

?いい加減起きろ」

その声の主はイザークで、こんなところを見られたらまた怒られると思い、ドアを開けない。

すると「どうした、。何かあったのか?返事をしろ」と段々心配そうな声を出されて罪悪感を感じ、ドアを開ける。

慌てて部屋に入ってきたイザークが見たのは、何ともコメントしづらい婚約者の姿だった。

「どうしたんだ、それ」

呆れて聞いてみる。

「いやぁ。昨日シャワーを浴びたところまでは覚えているんだけど、気がついたらこんなんなってた」

イザークは盛大に溜息を吐いた。

「そこに座れ。あと、ブラシを貸せ」

イザークに言われたとおり、は椅子に座ってイザークにブラシを渡す。

「軍人なら、身だしなみにも気をつけろ」

の髪にブラシをかけながらの小言が始まる。

「申し訳ない」

は小さくなって呟いた。

「自分の体調管理も仕事だろう。シャワー浴びて力尽きて寝るってことはそれだけ体が疲れているんだ。今日は、ノルンに近づくなよ。またブレーキが利かなくなるからな」

「はい...」と渋々返事をする。

取り敢えず、今は「はい」といわないとイザークがうるさいから。

が、

「じゃあ、今日は俺に付き合え」

と言われて、こっそりノルンの様子を見に行くことが叶わなくなる。

「付き合うって?」

「ニコルが目を覚ましたらしい」

イザークの言葉には頷く。「動くな」と怒られた。

「知ってる。昨日の夜、会いに行ったんだ。またイザークと一緒にいくって話してるから」

の言葉にイザークの眉間に皺がよる。

「夜中に行くな。迷惑だろう」

呆れたように言われた。

「だって、居ても立っても居られなかったから...」

ぼそぼそというに苦笑をして

「ほら、これなら悪くないだろう」

とイザークが声を掛ける。

目の前の鏡にはいつもどおりの自分が映っていた。

「すごいね、イザーク」

「まあ。も自分で出来るようになれよ。それが出来ないなら、ちゃんとブローをして寝ろ」

イザークがそう言ってにブラシを返す。

「んー。でも、イザークがしてくれるからいいじゃん。気持ちよかったし」

の言葉にイザークはまたしても盛大な溜息を吐いた。

が、別にそんなに嫌じゃない。けど、そう言ったら本当にこれ以上無頓着になりそうで黙っておいた。

「髪、切ろうかな...」の呟きに「却下」と返して「早く用意をしろ。因みに、もう朝食はないぞ」と付け加える。

「えー!」と不満の声を上げるに「自業自得です」とイザークは返して笑った。

頬を膨らませる

「病院に行く前に何か食べていけば良いだろう」

と宥める。

「はーい」と未だ不満げなに苦笑してイザークは「廊下で待ってる」と声を掛けて部屋を出て行った。


は急いで服を着替えて廊下に出た。

腕を組んで壁に凭れていたイザークが腕を解く。

「行くぞ」

「うん」

はイザークの隣に並んで歩き始める。

基地内の食堂に向かう。

宿舎の食堂は決まった時間にしか食事を取れないが、基地内の食堂は軽いものならいつでも食べられる。

イザークはコーヒーを注文し、はイザークと同じくコーヒー、そして空腹のためサンドイッチも一緒に頼んだ。

「お花、持って行くべきかな?」

が呟き、

「何処でそんなものが手に入る?」

とイザークが返す。

は暫く沈黙して

「そこら辺に咲いてるのを摘んでですね」

「却下」

の言葉にイザークは静かに一言短く言ってコーヒーを飲んだ。

ちょっと膨れた『フリ』をしてみたが、イザークは『フリ』というのが分かっているので全く気にせずに新聞を読みながらコーヒーを口にしていた。

「何か面白いニュースでもある?」

が聞くと

「いいや。評議会のザラ議長の支持率とか、現在の戦況とかだな、主に」

イザークは新聞をテーブルの上に放って肩を竦めた。

「デュエルの調整は?」

「もう殆ど出来ている。まあ、まだ細かいところは見ておきたいがな。パナマまでの暇つぶしに持って来いだ」

暇つぶしとは不謹慎な、と思いながらもは「へぇ...」と返した。









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桜風
08.5.5


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