Like a fairy tale 66





アラスカの作戦から数日後。

カーペンタリアにパナマ侵攻の命令が降りた。

残存部隊のみでパナマを落とすようにとの無茶な命令だ。


新しいシステムを施されているので、ノルンの計器や設定を確認しながらは溜息を吐いた。

「おい、。聞いているのか!」

さっきからイザークから通信が入って来ている。

「ごめん、全く」

「また聞いていないのか!?貴様はどれだけ集中力がないんだ!落とされるぞ!!」

イザークのお小言が最近増えてきたから聞く気がないだけ、などと言えばイザークはまた説教をするんだろうなと思いながら「落ちない、落ちない」と返した。

「ったく...」と言いながら溜息を吐き、「いいな、もう温い戦いはするなよ」と言ってイザークは通信をきった。

「それは出来ない相談だなー」

は呟き、ノルンが射出されるのを待った。

イザークの言うところの“温い”というのは、コックピットを狙わないとか、そう言うことだ。

が、ザフトに入る前に決めたことなのでは変える気がない。

イザークが言うには、それは勲章からを遠ざける行為らしい。が、勲章にも興味が無いのでそれで構わない。

艦に収容されているMS全てが射出されて、最後はノルンだ。ノルンはグゥルが必要ないため、いつも一番最後の射出となっている。


戦闘が開始された。

ザフト攻勢の中、地球軍が新たな兵器を出した。

MSだ。

ストライクかと思われたが、そうではない。

「動きは、悪くないわね」

はその地球軍のMSの頭を打ち抜いていく。モニタとセンサーが使えなければ、怖くない。

その後、自力で脱出するか、それともザフトの的にされるか。

は溜息を吐く。

が殺さずに残した地球軍の兵士は、大抵トドメとばかりに別のMS等に殺されている。

「これって、同じよね...」

結局は自分が殺しているのだ。

自らは手を汚していないかもしれないが、彼女が攻撃した事で地球軍の平気は無力化されてそれは必ずと言って良いほど叩かれている。

「確かに、温いわ」

は自嘲気味に笑った。

それでも、コックピットは撃たない。此処で折れたら、自分はただの兵器だ。

またしても敵軍の中に突っ込むイザークを見つけては肩を竦めて取り敢えず彼の背に降りた。

「また突っ込む!」

態々通信回線を開いて文句を言う。

「やかましい!まだあんな温い戦いをしているのか、貴様は!」

が打ち抜いたMSは頭部を持たない。

そしてに向けてライフルを構えればそのライフルを持つ腕を撃ち抜く。

しかし、イザークはが撃たなかったMSのコックピットを狙わない。一応、彼女の意思を尊重してくれているようだ。

「いつも悪いわね」

「全くだ!」

そんな軽い会話をしている中でグングニールが到着した。

グングニールが発動しEMP対策を取っていない地球軍の全ての兵器の機能は破壊され、本当に鉄の塊となる。

そして、機能を果たさなくなった本部。マスドライバーすら破壊された。

地球軍は投降したが、ザフトのMSパイロットたちはそれを受け入れずに、銃口を向けて引き金を引いていた。

地球軍の兵士たちの悲鳴があたりに響く。

「動けない敵を撃って、何が面白い」

イザークはその様子を遠くから眺めていた。


はモニタのスイッチに手を伸ばしたけど、それを止めて代わりに目を瞑った。

何かがあったときにはモニタは映っていないと困るし、センサーだって切るのは自殺行為だ。

だけど。

「情けないなぁ」

喜々として人の命を奪っている自分の同胞の行為に呟く。

とにかく、今回のパナマ侵攻はマスドライバーの破壊が主な目的だったから成功したというコトだ。

は帰投命令が出るのを静かに待った。









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桜風
08.5.16


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